事件8-5『光眩き超戦士』
〈前回までのあらすじ〉
シルバーキラーにマキシマムガジェットを奪われ、遂に最強の敵・マキシマムシルバーキラーが誕生してしまった!
勝つ術はあるのだろうか……。
マキシマムシルバーキラーがこちらを向いてフフッと笑う。
イエロー、ホワイト、グリーンの三人は武器を構えて警戒する。
「よっしゃ! シルバっちが来てくれたら鬼に金棒っしょ! マンモスうれぴー!」
冷蔵庫ヒドーダがそういってシルバーキラーに手を振る。
するとシルバーキラーは無言でマキシマムキンキラバスターを手中に出現させ、必殺技のチャージを始めた。
「いきなり必殺技! マジ? やるー!」
冷蔵庫ヒドーダのテンションが更に高くなる。助っ人が来てくれたことがよほど嬉しいらしい。
ゴールドファイブの三人は息を飲んで警戒する。
木陰で見ていた私とりゅうま隊長も、険しい表情でその様子を見つめる。
「さてと……、まずは試し打ちだ。喰らえ!」
そういうとマキシマムキンキラバスターから眩い金色に輝くビームが発射された。
ビームがものすごい勢いでゴールドファイブを貫く……。
――と思いきや、なんと冷蔵庫ヒドーダを身体を貫いてしまった。
「うそ……、なんで……」
冷蔵庫ヒドーダはそのまま倒れて爆発四散する。
先ほどまで冷蔵庫ヒドーダだった破片が、そこら中に散らばった。
「どういうつもりでござる!」
「何やってんの!? 仲間じゃないの!?」
「そんな……」
三人は目の前の状況に困惑する。同じ人間とは思えない所業に私も絶句してしまう。
「俺の目的は、俺の手でゴールドファイブの全員を倒して、俺がお前らより上であると見せつけること。バカの怪人に助けてもらったとあったら格好がつかないだろ」
それを聞いて、グリーンがゴールドアローを強く握った。
「よくも……!」
グリーンはアローについた刃でシルバーキラーに斬り掛かる。しかし、ヤツの着けたアーマーは硬く、まったくダメージ与えられない。
シルバーキラーはそんなグリーンをマキシマムキンキラバスターの大剣モードで薙ぎ払った。
「うわっ!」
グリーンが地面に転がる。
「今度は私たち! いくよ! いとし兄ちゃん」
「心得た!」
ホワイトとイエローはそういうと、今度は二人で連携攻撃を開始した。
どうやらホワイトがシルバーキラーの周囲で俊敏に動き周りながらクローで斬撃を喰らわし、その攻撃に翻弄されたところをハンマーで殴りつける作戦のようだ。
……しかし、まったく効かなかった。まずマキシマムアーマーに阻まれて、ホワイトの斬撃は一切効かない。そればかりか、イエローのハンマー攻撃ですらまったく通らない。
シルバーキラーは微動だにせず、ただため息をついた。
「弱いなぁ……、まるで三択問題で『固体と液体が当たり』のクイズみたいだ」
「気体がハズレ」で「期待外れ」って意味だろうか。まったく失礼なヤツだ。
するとシルバーキラーはイエローを蹴り飛ばした。ふっ飛ばされたイエローの身体はホワイトに直撃し、倒れたホワイトの身体にイエローが乗っかった。
白の上に黄色が乗ると、さながら玉子の寿司のようだ。
「重ーい! 上に乗らないで!」
「すまないでござるー!」
ゴールドファイブの三人はそれでも立ち上がり、武器を構えてシルバーキラーを見据える。
「頼むからもっと楽しませてくれよ……なぁ」
三人はそれを聞いて顔を見合わせる。
「次は三人で一気に行くでござるよ」
「うん!」
「分かった!」
そして、イエロー、ホワイト、グリーンの三人は一斉に走っていき、シルバーキラーに次々と攻撃を仕掛けた。
が、それでも駄目だ。攻撃は次々と躱され、たまに当たってもマキシマムアーマーのせいでまったく効いていない様子。
対して敵はマキシマムキンキラバスターで確実に三人をいなしていく。
三人の身体はあっという間にふっ飛ばされ、また地面に転がった。
「クッソ……、攻略法が見えない……」
グリーンがそう愚痴を吐いた、そのときだった。
「……やっと見つけた! そこまでだ!」
そこに駆けつけたのはゴールドブルー。冷蔵庫ヒドーダが倒されたことによって氷が溶けたらしい。
前の事件に引き続き今回も遅れて駆けつけてくれた。
「お願い!! みんなを助けて!!」
「任せてよ! ヒーローは遅れてやってくるってね!」
ゴールドブルーはそういうと、早速シルバーキラーと向かい合った。
「ゴールドワッパー!」
ゴールドブルーが放った光の輪は、シルバーキラーの方へ飛んでいき、その身体を締めつける。
「こんなもの! ……はぁ!」
しかし、次の瞬間、シルバーキラーが身体に力を込めると、その身体を拘束していた光の輪が勢いよく弾け飛んだ。マキシマムアーマーによる圧倒的なパワーで、簡単に破られてしまったのだ。
「嘘だろ!」
(これが……、マキシマムの力……)
「だったら、これならどうだ!」
ゴールドブルーはブラスターで銃撃しながらシルバーキラーに向かっていく。
「懲りないな……、何度やっても無駄だ!」
しかし、銃撃はマキシマムアーマーに弾かれてやはり効かない。
シルバーキラーは先ほどの三人と同様に、向かってきたブルーをふっ飛ばした。
ふっ飛ばされたブルーの身体は、イエローのすぐそばに転がる。
「んもー! 全然ダメじゃん!」
「カッコつけて現れた割にこれかぁ」
「ノア王国で駆けつけてくれたときには頼もしく見えたでござるが、今回はイマイチでござるなぁ……」
みんなが思いのほかダメだったブルーに対して好き勝手いう。
たしかに私もガッカリしたけど、ちょっと可哀想にも思う。
「うるさいな! 今さっき氷が溶けて目を覚ましたんだ! もう少し労ってくれないか!」
ブルーがそういって怒る。
(どうしよう……、このままじゃ……)
すると、横に居たりゅうま隊長が私の肩をトントンと叩いた。
「一か八かだが、俺に考えがある」
りゅうま隊長が真剣な表情で囁く。
「考え?」
「実はマキシマムアーマーを打ち破れる兵器が、一つだけあるんだ」
「え!?」
初耳だ。そんな強い武器があるなんて。
「何ですか? それ?」
「ゴールドファイブキャノンだ」
ゴールドファイブキャノン、それはゴールドファイブ五人の武器を合体させて完成する最強兵器。しかし、それには重大な弱点があった。
「無茶です! あれは発射まで十秒もかかる! ブルーのゴールドワッパーも効かなかったのに、どうやって時間を稼ぐんですか?」
そう、かつてタヌキヒドーダとキツネヒドーダの戦いでもこの武器を使用しようとしたが、その長すぎるチャージ時間のせいで敵に逃げられてしまった過去がある。
いったいりゅうま隊長はどうするつもりなんだ。
そう思っていると、りゅうま隊長はなおも続けて話した。
「四人の力で無理やり押さえ込んでもらう。イエローの怪力と三人の協力があれば少しの隙は作れるはずだ」
「じゃあ誰が発射するんですか、あれは発射の反動も大きいし、今の具合の悪いりゅうま隊長の身体では、いくら変身していたとしても、とても耐えられない」
すると、りゅうま隊長はゆっくりと、右腕についていたブレスを外し、こちらに手渡した。
「君に撃って欲しい。君がゴールドレッドになるんだ」
「!?」
無茶苦茶だ。私は戦闘経験も、戦闘訓練を受けた経験もない。いくらゴールドファイブキャノンの発射だけとはいえ、当てられる自信なんかない。
それに、ゴールドファイブはゴールドパワーと適合した戦士が変身してこそ、その力を最大限引き出せる。正統な変身者ではない私では、通常の五分の一の力しか出せない。
武器の威力には影響が無いとはいえ、身体能力も戦闘力も五分の一の状態でシルバーキラーに襲われたら、ひとたまりも無いだろう。
「無理ですよ! そんなの!」
「頼む! ヤツのマキシマムアーマーを破れる唯一の方法は、圧倒的で絶大な破壊力を持つゴールドファイブキャノンただ一つだ! もちろん、発射のときは俺もバックアップする!」
私は迷った。もし万が一失敗すれば、仲間の命にも関わる。でもこのまま指をくわえて見ていても何も解決しない。
でも、でも……、でも…………。
私は悩んだ……、悩んで悩んで、そして、決断した。
(……決めた。やってみよう)
仲間が、りゅうま隊長が、私を信じて託してくれた。だったら、私はそれに応えたい。
私はゴールドブレスを右腕につけると、木陰から飛び出し、みんなの前に姿を表す。
イエローも、ホワイトも、ブルーも、グリーンも、シルバーキラーも、みな驚いてこちらを見る。
「ちょっと、何でてきてんの! 危ないよ!」
「早く逃げるでござる!」
イエローとグリーンが慌てた様子で叫ぶ。
しかし、私はそれに、毅然とした態度で答えた。
「逃げない! 私だって……、私だってゴールドファイブの仲間だ!」
私は、力強く腕を振り上げて叫んだ。
「ゴールドチェンジ!」
私がみるみるうちに変わっていく。赤い衣装の上から、金色の鎧が装備される。
力が身体の奥の方からどんどん湧いてきて、溢れてくるのを感じる。
(これが……、ゴールドファイブの力……)
そして、私の姿が、完全に赤と金の戦士に変わった。
「ゴールドレッド! 綾川あずき!」
みんながキョトンとした様子で私を見つめる。私自身もまだ自分が本当に変身したという実感が無い。
「マジかよ……、とんだ番狂わせだな」
「あずき殿が……変身を……?」
「アリなの!? アレって!?」
「あずきちゃんが……金ピカに……!?」
「あずきお姉ちゃんすごーい!」
私は大きく深呼吸をすると、みんなに呼びかけた。
「みんな! お願い! 私にみんなの武器を貸して! そして、シルバーキラーを足止めして!」
それを聞いて、ゴールドファイブの四人は顔を見合わせ頷いた。
りゅうま隊長の思惑が、四人に伝わったのだ。
「分かった! ぼくのアロー、受け取って!」
「拙者の武器も!」
「私のクローも!」
「ボクのもあげるよ!」
みんなが私にそれぞれの武器を投げてくれた。私の目の前に四つの武器、そして腰についた鞘にレッドの武器。全ての武器が私のもとに集まった。
「どうした? 武器を捨てて、勝利を捨てたか!?」
シルバーキラーが四人を襲う。しかし、イエロー、ホワイト、ブルー、グリーンの四人は、生身の身体一つでシルバーキラーに立ち向かう。
「よし、ゴールドファイブキャノンを組み立てるぞ!」
いつの間にか木陰からりゅうま隊長も出てきて、私のすぐ横に来ていた。
私たちは二人で、急いで五つの武器を合体させる。
「できた!!」
私はすぐに、完成したゴールドファイブキャノンを持ち上げ構えた。横でりゅうま隊長が撃ち方の説明をしてくれる。
「いいか、照準はここで合わせるんだ。そこのトリガーを引くとチャージが開始され、十秒後にチャージ完了、もう一度トリガーで必殺技だ。発射合図は俺が出す、いいな?」
私は小さく頷く。目の前では、シルバーキラーを足止めすべく、四人が命懸けで戦っている。
と、イエローがようやくシルバーキラーを羽交い締めにした。ホワイトとブルーとグリーンもそこに抱きついて身動きを封じる。
「今だ、チャージを開始しろ!」
私はゴールドファイブキャノンのトリガーを引いた。キャノンのチャージが開始される。
「十……、九……、八……、七……、六……」
りゅうま隊長がカウントダウンを開始する。緊張で手が震える。それでもやるしかない。私は必死に意識を集中した。
「五……、四……、三……、二……、一……」
遂にチャージが完了した。
「今だ! 撃て!」
私はりゅうま隊長の合図に合わせて、もう一度トリガーを引いた。
「必殺! ゴールデンファイブボンバー!!!」
次の瞬間、ゴールドファイブキャノンから黄金に輝くエネルギー弾が発射された。
エネルギー弾は一直線にシルバーキラー目掛けてとんでいく。
シルバーキラーの身体に抱きついていた三人は即座に気づいて、シルバーキラーから離れる。
イエローは羽交い締めを解除すると、シルバーキラーの背中を押して、エネルギー弾が飛んでくる方向に突き飛ばした。
シルバーキラーは足がよろめいて、逃げる隙を失う。
そして、エネルギー弾は見事、シルバーキラーに命中した。ものすごい爆発が起きてシルバーキラーの身体はふっ飛ばされ地面に叩きつけられる。
纏っていたマキシマムアーマーが粉々になって周囲に散らばり、マキシマムガジェットは火花を散らしながらシルバーブレスから外れ、地面に転がった。
「馬鹿な……、この俺が……」
シルバーキラーは立ち上がると、すぐそばに次元の穴を開いた。そして、ふらついた足取りで、その穴へ消えてしまった。その場に残されたのは壊れたマキシマムガジェットのみ。
「勝った……?」
私は変身を解除して呆然とする。すると、仲間のみんなが変身を解除し、嬉しそうに走ってきた。
「あずきお姉ちゃんすごーい!」
「やったでござるな! あずき殿!」
「すごいよ! まさか本当に撃退するなんて!」
「流石、ボクの彼女だね」
みんなが私を取り囲む。嬉しいような、恥ずかしいような、でも、スッキリとしたような気持ちだ。
「やったな。君のお陰だ」
横に居たりゅうま隊長も晴れ晴れとした笑顔を見せる。
「いえ、私だけの力じゃありません。頼もしい仲間が居たからですよ」
私はそういって、自分の腕についたゴールドブレスを撫でた。
「とにかく帰ろうよ、ぼくもう疲れちゃったよ」
めぐむがそういって帰りたがる。きっと早く帰ってゲームがしたいか、推しの配信が見たいかのどちらかだ。
「そうだな。ここの現場調査をしたら、今日はもう帰るとしよう」
「りゅうま隊長、その前に少し良いですか? ちょっとだけ……」
◇ ◆ ◇
私は病院に戻ると、ナダ先生に頼んでともよさんに会わせてもらった。
空き病室へ行くと、俯いてベッドに座るともよさんの姿があった。ともよさんは私が入ってきたのに気づくと、すぐに立ち上がってこちらに頭を下げる。
「ごめんなさい……! ちゃんと自首します……ごめんなさい……」
「大丈夫だよ。顔を上げて」
ともよさんが顔を上げると、私はベッドに座るように促した。
ともよさんが座ると、その横に私も座る。
「あの……、えっと……、その……」
ともよさんが目に涙を浮かべて呟く。
「多分、あなたは逮捕されないよ」
「……え?」
ともよさんがキョトンとした。
「だって、私、怪人と共謀して……」
「共謀してなくない? あなたは怪人に騙されて利用されただけ」
この世界には怪人共謀罪という、怪人と共謀して悪事をした人を罰する法制度がある。
だが今回の場合、ともよさんのやったことといえば、そもそもコールドスリープをお願いしただけ、それも未遂で終わっているので、他者に直接害を与えるような悪いことはしていない。
彼女がしたことといえばカーテンを身体に巻いて変なマスクをつけるという謎のコスプレぐらい。
しいていえば勝手にカーテンを使われた病院側は訴えられるかもしれないが、多分訴えないし、この程度なら大した罪にもならないだろう。
「本当に……、良いんですか?」
「うん。それに、あなたが牢屋に入ったら、美依さんが目を覚ましたときそばにいてあげられる人が居なくなっちゃうでしょ?」
ともよさんの目から涙が溢れ出した。それを必死に腕で拭い始める。私はそっと持っていたポケットティッシュを差し出してあげた。
ともよさんは片手でそのティッシュを一枚掴むと、チーンと鼻をかみ、それを手に持ったままふたたび腕で涙を拭った。
(ティッシュ渡しても結局涙は腕で拭うんだ……)
涙を拭い終わり少し落ち着くと、ともよさんは切なげな目をして呟いた。
「またいつか、美依と話せる日が来るのかな……」
私は少し思案してから、それに答える。
「……私ね。間違ってないと思うよ。あなたが信じた未来」
「どういうことですか?」
「絶対なんて言えないけどさ、少し前までは考えられなかったようなことが、今は技術の進歩でどんどん現実になってる。夢が夢じゃなくなる未来も、きっとあると思う」
五十年以上前には、携帯電話はおろかスマートフォンだって無かったし、病気で死ぬ人だって、今よりずっと多かった。人間の平均寿命だってずっと短かった。
「物語の世界じゃ、万能の力とか、不老不死とか、そういうのは否定されがちだけど、私はあると思ってるし、いつかきっと実現できるって信じてる。未来を信じることはきっと間違いじゃないと思うんだ」
いつか、誰もケガや病気で苦しまなくていい、寝たきりになる人だっていない、誰もが永遠に幸せに生きられる世界が来る。
それは夢物語かもしれないし、実現するなんて根拠もないけど、私は純粋に、ただ信じたいと思った。
信じることを、やめないで欲しいと思った。ただどうしようもなく、なんとなく。
「……分かりました」
すると、ともよさんは急に立ち上がり、拳を握りしめギュッと握りしめ話した。
「私、医学の道に進みます。そしていつか、美依ともう一度話せる日を実現する。永遠に一緒に笑って暮らせる未来を、私が実現してみせる!」
ともよさんはこちらを向くと、深々と頭を下げた。
「本当に、色々とありがとうございました!」
顔をあげたその目はもう、先ほどまでの切なげな目ではない。瞳にしっかりと未来への希望を灯している。
ともよさんはそのまま、急いで空き病室をあとにした。
「さ、私も帰ろう」
◇ ◆ ◇
次元の穴から抜け出し、どこかの河川敷の高架下にでたこの俺、阿波連暴人。
竪壁に寄りかかり、胸を押さえる。ゴールデンファイブボンバーとかいう変な技を喰らったダメージはデカく、いまだ俺を苦しめる。
「……クソッ!」
なんで負けた。俺のシステムの方が圧倒的に優れているのに。俺の方が、常に誰よりも上でなきゃいけないのに。俺は……俺は……。
「暴人よ……、また負けたな……」
ブレスから声がする。ホロボスだ。俺の戦いを見て、また文句を言いたいらしい。
「まだだ! まだ、次こそは……!」
「落ち着け! 暴人!」
ホロボスが怒鳴った。
「暴人……。我がなぜ、人間を利用しようとしたか分かるか?」
「そんなの俺が誰よりも強いからだろ」
「うぬぼれるなと前にも言ったはずだ。単純な能力や力ならヒドーダ怪人にだって強いヤツはたくさんいる。我に仕える幹部たちだってそうだ」
たしかに、ヒドーダ怪人にはこの地球の人智を超えた能力や力を持った怪人がたくさんいる。
あの冷蔵庫ヒドーダの凍らせる能力だって、もっとうまく使えばゴールドファイブを壊滅させることもできるポテンシャルがあったと思う。
「……なぜだ。なぜ俺を頼った」
「頭脳だ……、他のヒドーダ怪人と違い、お前には人間らしい知恵がある。だから我は、わざわざお前にコンタクトを取ったのだ」
知恵……、たしかに俺は類まれなる天才だ。かつてがん治療の技術でノーベル賞を取ったこともあるほどの。
「力で勝つだけが勝利ではない。お前はゴールドファイブより自分が上であることを示せれば良いのであろう? ならばその手段は力でなくて良いはずだ」
「……」
……力で勝つ以外の勝利……。考えてもみなかった。というより、いつからか考えるのを忘れていたのかもしれない。
「暴人、お前の知恵でゴールドファイブが二度と我らの邪魔をできないようにしろ。これが最後のチャンスだ」
俺はホロボスに誓った。どんな手を使っても、必ずゴールドファイブに勝ってみせると。最後のゲームを、必ず成功してみせると。
――さぁ、ファイナルキラーゲームが始まる。
〈つづく〉
【おまけ】
〈事件解決から数日後〉
私は博士の車をふたたび運転していた。この間連れて行けなかった動物園に博士とすあまちゃんを連れて行くのだ。
カーラジオから流れる音楽を聴きながら、私は高速を走っている。
「しかしすまんな。私がペーパーなばっかりに」
「博士……、それ前も聞きました」
「あれ、そうだったか?」
博士がそういって、助手席で缶コーヒーを啜っている。
「ねぇ、あずきお姉ちゃん。聞いても良い?」
「まだ動物園にはもうちょっとかかるよ〜」
「そうじゃなくて……」
「えっ、なに?」
てっきり動物園まであとどのくらいか聞かれると思っていたので、少し驚く。
「この間のペストマスクの人が付けてたマスクってなんなの? 服はカーテンだったんでしょ」
……そういえば、全然考えてなかった。なんで女子高生があんなマスクを持っていたんだ?
一般人がどこでペストマスクを? たしかに調べるべきだったかもしれない。
そんなことを考えていると、カーラジオから流れていた曲が終わり、パーソナリティが喋り始めた。
「というわけでこの番組ではお便り、曲のリクエストをドシドシ募集中だぜ〜。採用された方の中から毎月抽選で一名様に、番組特製ペストマスクをプレゼント!」
(……え?)
「これ付けて学校行ったら、そりゃもうみんなから注目の的、一躍人気者ですからね。是非当てて学校のみんなを驚かせてください!」
(えぇ……)
「ということで今週の『朝からキラキRADIO』お相手はワタクシ、虹斗レインと……?」
「煌井光輝でした〜! 次回もキラめこうぜ〜!」
そうしてラジオ番組は終了した。車内が微妙な空気に包まれる。
「あー……、お姉ちゃん、もう答えなくていいよ。だいたい分かった」
「これは推理の仕様が無いな……」
「……こんなの、アリ?」
〈つづく〉




