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戦隊捜査官の事件簿 〜戦隊さん、その事件の犯人、怪人じゃないかもしれません!〜  作者: サイトーアツシ
事件6「過去の事件には秘密があったのかもしれません」

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事件6-6『暴走金光王(ぼうそうきんぴかおう)』

〈前回のあらすじ〉


遂に明かされたシルバーキラーの正体!

果たしてゴールドファイブの運命やいかに!

「シルバーチェンジ!」


 暴人ばくとの姿がシルバーキラーに変わった。シルバーキラーは変身を遂げると、その右腕をキンピカオーに向ける。


「暴走しろキンピカオー! 町を破壊しろ!」


 すると、キンピカオーが桃色の稲妻を纏いながら、周囲のビルを破壊し始めた。


 中に乗っていたレッド、イエロー、ブルー、グリーンが、ロボットのコックピットから振り落とされ、私たちのいるビルの屋上、それも私の足元に落ちてくる。


 キンピカオーの緊急脱出装置によって、強制的に追い出されたのだ。


 屋上に転がった四人の戦士は、すぐに身体を起こして、シルバーキラーの方を向いて体勢を整える。


 操縦者を失ったキンピカオーは、なおも暴れ続けている。


「まずい、アンコクオーを呼んでやつを止めるぞ!」


 アンコクオーを呼ぼうとするレッド。しかしシルバーキラーがそれを見てニヤリと笑う。


「いいのか? そんなことして」


「何?」


「アンコクオーを出したら、そっちも俺が操るぜ。それでもいいなら呼べよ」


 もしも二体のロボットが操られてしまえば、被害はさらに大きくなる。これではアンコクオーを呼ぶわけにはいかない。


「クソッどうすれば……」


 レッドが悔しそうに呟く。このままでは人類を守るキンピカオーが、人類を滅ぼすことになってしまう。


「そうだ! 良いこと思いついた!」


 そういうと、横にいたグリーンがレッドにヒソヒソと耳打ちをした。


「……なるほど! 分かった。俺が連絡を取る。グリーンはその間、時間を稼いでくれ」


「了解! ……ほら、早く」


 グリーンが手をクイックイッと動かしこちらに合図を送る。


 私はハッとして隠し持っていたマキシマムガジェットを取り出し、グリーンに投げた。グリーンは片手でそれをバシッと受け取る。


「待って! 私がやる!」


 ホワイトがグリーンからマキシマムガジェット奪おうとする。しかし、すぐさまイエローがそれに気づいてホワイトを抑え込んだ。


「待つでござる! 心が冷静でなければマキシマムガジェットは使えぬ。今はめぐむ殿に任せるのだ。マキシマムの力が無ければ、やつには歯が立たぬぞ」


 グリーンは暴れるホワイトには目もくれず、ブレスにマキシマムガジェットをセットする。そして、右腕を振り上げ叫んだ。


「マキシマムチェンジ!」


 グリーンの身体がキラキラした宝石を纏う。これこそ、グリーンのパワーアップ形態、マキシマムゴールドグリーンだ。


 マキシマムガジェットはゴールドファイブのメンバーなら誰でも使うことができる。使用した者はマキシマムアーマーと呼ばれる煌びやかな鎧を纏った戦士となるのだ。


「マキシマムキンキラバスター!」


 グリーンの右手に、巨大な大筒型の武器が出現する。グリーンはその武器を掴むと、側面についたボタンを押した。


 すると先ほどまで大筒の形をしていた武器がみるみる変形し、大剣の形に変わる。銃のトリガーだったはずの場所は大剣の(つか)となった。


 グリーンはその(つか)の部分を両手で握り、プルプルと震えながら構える。


 そう、実はマキシマムキンキラバスターは大砲モードと大剣モードの二つのモードに変形させることができるのだ。


「ぐぅ……、重い……」


 重い武器を持ってキツそうなグリーンを見て、シルバーキラーが嘲笑う。


「なんだ! まともに持ててもいねぇじゃねぇか! 無駄なあがきはやめとけ。お前は例えるならオンボロの車だ。廃車(敗者)になることしかできない。……シルバランス!」


 シルバーキラーの手中に銀色の槍、シルバランスが出現する。そしてシルバーキラーは、それを片手にグリーンに飛びかかった。


「ぐあっ!」


 しかし、グリーンも負けてはいない。マキシマムキンキラバスターを駆使し、なんとか攻撃を刃で受け流しつつ(かわ)していく。そして、僅かな隙をついて大剣で攻撃を食らわす。


「やるな……だがこれならどうだ! シルバランス!」


 なんと、シルバーキラーのもう一方の手にもまったく同じシルバランスが出現した。


 形勢逆転し、シルバーキラーが二刀流でグリーンを追い詰める。


 グリーンは何度も攻撃を受け、遂にマキシマムキンキラバスターを取り落としてしまう。


 シルバーキラーはすかさず落ちたソレを蹴り飛ばして遠くへやると、更に二本のシルバランスでグリーンに斬撃を喰らわした。


 グリーンの身体が遠くへふっ飛ぶ。

 

「ぐ……! 痛い……、けど!」


 地面に打ちつけられたグリーンはなんとか身体を持ち上げて叫んだ。


「ゴールドアロー!」


 グリーンの手中に、金色の弓・ゴールドアローが出現する。しかし、シルバーキラーはそれを見て更に笑う。


「ふっ、今さら何ができる! お前の負けだ!」


 シルバーキラーが二本のシルバランスを持ってこちらへ走ってくる。このままではまた攻撃を喰らって、ふっ飛ばされてしまうだろう。


「同じ手は二度と食わない! ぼくには攻略法が見えてるんだよ! そこだ!」


 次の瞬間、グリーンはゴールドアローを弓ごと思いっきり投げ飛ばした。


 ゴールドアローはブーメランのようにシルバーキラーの方へ飛んでいき、彼が持っている二本のシルバランスを弾き飛ばしてしまった。


 弾き飛ばされたシルバランスはビルの屋上から飛び出し、地上へと落下していく。


 流石のシルバーキラーも動揺し、思わず後退りする。


「どうだ! 武器が無ければこちらのものだ!」


 返ってきたゴールドアローをキャッチしてグリーンが叫ぶ。


「……」


 すると、シルバーキラーは下を向いて動きを止めた。かと思うと、今度はクククと不気味に笑い出した。


「何がおかしい!」


「……後ろ、見てみろよ」


 私たちが背後を振り向くと、キンピカオーが巨大な剣を、私たちのいるビルに向かって振り下ろそうとしていた。


 やつはグリーンと戦いながらもロボットを操り、私たちを攻撃しようとしていたのだ。


「やれ!」


 キンピカオーがそのシルバーキラーの合図に合わせ、思いっきり剣を振り下ろす。


 私は思わず目を瞑った。駄目だ。これで全滅だ。


 ……おかしい、いつまで経っても何も起きない。そろそろ斬られてもいい頃だ。


「……え?」


 私はゆっくりと目を開ける。見ると、キンピカオーの剣が、私たちを斬り裂くスレスレで止まっている。


 キンピカオーはパチパチと火花を散らし、微動だにしない。


「何だ! 何が起きた!」


 シルバーキラーが銀のブレスがついた右腕を突き出し、なおもキンピカオーを操ろうとする。

 しかし、やはりまったく動かない。


 そのとき、私のブレスから聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「もしもーし? みんな大丈夫?」


「その声……、デンデンちゃん!?」


「あー! デンデンちゃんだー!」


 さっきまで復讐の炎に燃えていたホワイトの声が、一気に友達の声を聞いて喜ぶ子どもの声に戻る。


 間違いない。以前私たちと友達になった魔法少女、マジカサンダー/江古田(えこだ)デンデンちゃんの声だ。


「さっき博士に連絡して連れてきて貰った。マジカサンダーの電撃魔法なら、簡単にロボットをショートさせて動きを止められると、グリーンが教えてくれたからな」


 レッドがそう言って笑う。グリーンは力こそ他の四人より強くはないが、その分頭の回転が早い。こういうときに頼りなる。


「……ねぇ、本当に壊して大丈夫だったの? けっこう派手にやっちゃったけど」


 ブレスから不安そうな声が聞こえる。いきなり呼び出されて、大事なロボットを壊してくれと言われたのだから困惑するのは当然だ。


「大丈夫! むしろ命の恩人だよ!」


 私は心配をかけないように、明るく伝える。実際、もし彼女が来てくれなかったら私たちは全滅していただろう。本当にファインプレーだ。


「ありがとー! デンデンちゃん!」


 すあまちゃんも私のブレスに向かって手を振りながら叫ぶ。


「え、あぁ……、どうも……、それでこれから……どうすれば……?」


 デンデンちゃんが不安そうな声で尋ねる。するとりゅうま隊長が冷静に答えた。


「あっ、もう帰っていいぞ」


「……えっこれだけ!? わざわざ昼休み抜け出して来たのにこれだけ!?」


 私はスマホの時計で時刻を確認した。


 ヤバい。あちらの世界の時間の流れ方はたしかこちら世界と大して変わらないはずだ、おそらく確実に五時間目に遅れている。


「デンデンちゃん! すぐに戻ったほういいよ!」


 私は急いでデンデンちゃんに学校に戻るよう促した。


「そんな時間やばいの!? じゃあね!!」


 そうして、デンデンちゃんとの通信は切れた。


 私とゴールドファイブのみんなは、ふたたびシルバーキラーの方へ向き直ると思いっきり彼を睨みつけた。


「シルバーキラー! 観念しろ! もうお前に勝ち目はない!」


 レッドが思いっきり怒鳴りつける。


「まだだ! まだ負けちゃいない! 俺はお前らを……グッ!」


 と、話している途中でシルバーキラーが急に胸を押さえて苦しみだした。ハァハァと呼吸も激しくなり、明らかに普通ではない状態だ。


「こんなときに……、クソッ!」


 そういうと、シルバーキラーは右腕のブレスについたスイッチを押した。するとシルバーキラーの頭上に見覚えのある次元の穴が出現する。


「あれは……、前のモグラヒドーダの!」


「モグラヒドーダの耳の機械も、シルバーキラーの発明の一つでござったか……」


「人質を取ってデンデンちゃんを利用する作戦も、アイツの入れ知恵だったってことだね」


 おそらく彼はゴールドファイブを超えるべく、今まで色々と準備してきたのだろう。モグラヒドーダにあの耳のような機械を渡したのも、おそらくシルバーキラーのシステムを完成させるための実験だったに違いない。


「今日のところはここまでにしてやる。じゃあな!」


 シルバーキラーはヒョイと跳んで、その次元の穴に飛び込んだ。そして、すぐに次元の穴は閉じてしまった。


「お父さん……お母さんの仇……。許さない……」


 イエローに押さえ込まれたホワイトが、拳を強く握りしめる。


 ――こうして、ゴールドファイブとシルバーキラーとの二度目の戦いは幕を閉じた。


   ◇   ◆   ◇


 私は刑務所の前で、りゅうま隊長と二人である人を待っていた。

 すると奥の方から見覚えのある顔が走ってくる。無実の罪で捕まっていた男、莫上(ばくじょう)ブンさんだ。


 ブンさんは私たちの目の前までくると、その場で立ち止まりそのまま深々と頭を下げた。


「あずきさん! 本当にありがとうございます!」


「そんな、頭を上げてください。私は捜査官として、やるべきことをしただけですから」


 ブンさんが頭を上げると、その目はキラキラと輝き、清々しい表情になっている。


「しかし、良かったな。雇ってくれるところが見つかって」


 りゅうま隊長がそういって笑顔を見せる。


 実は冤罪がわかってすぐに、りゅうま隊長が彼の元の職場に連絡したところ、再びその運送会社が配達員として雇うことを約束してくれたのだ。


「本当に感謝してもしきれません! 自分の人生のハンドルを握り直せたのは、お二人のおかげです!」


 ブンさんがそういって目に涙を浮かべる


「これからは届け屋として、みんなに笑顔を運んであげてください」


「はい!」


 ブンさんはそう答えると、私に別れを告げ、そのまま駆け出して行った。


 私は手を振りながらそれを見送る。


 小さくなっていくブンさんの姿を見送っていると、りゅうま隊長がボソリと呟いた。


「しかし、当の阿波連(あばれん)暴人(ばくと)はまだ捕まってはいない。ヤツがいる限り今後の戦いはもっと厳しいものになる」


 私はそれに答える。


「そうですね……、モグラヒドーダやネズミヒドーダと共謀していた辺り、彼にはホロボスターとの繋がりがあるかもしれませんし」


 ヒドーダ怪人と共謀して犯罪を起こす人間自体は、これまでも居なかった訳ではない。ただ、二体の怪人と繋がりを持っているケースは今回が初だ。


 それに、ヤツがノーベル賞を授賞したあと失踪した理由も未だ不明だ。何か理由があるのだろうか。


 私の胸中は、いまだ不安でいっぱいであった。


   ◇   ◆   ◇


〈異世界:???〉


 真っ暗な部屋にテーブルと椅子が一つ。テーブルには紫色の分厚いクロスが引かれ、その上に小さめの座布団、さらにその上に透き通った水晶玉がある。


 そしてそのテーブルの近くにある一脚の椅子に、セーラー服を着た一人の女性が座っている。年齢は二十二歳、名は九十九(つくも)さんご。とある王家に仕える、お抱えの占い師だ。


 さんごは水晶玉に手をかざし、まるでピアノを引くかのように指をピクピクと動かす。


 すると、透き通った水晶玉の中に、りゅうま、いとし、すあま、いつき、めぐむの五人の姿が浮かび上がった。

 五人は同時に腕を振り上げると、ゴールドファイブに変身する。


「ゴールドファイブ……、彼らならばきっと、我らにとって……」


〈つづく〉

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