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スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜  作者: 櫛田こころ


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第728話 教えを請われた

「リオーネでの噂はこちらまで聞き及んでおります!!」

「ポーションとしてでも、食事にしても美味のパンだと!!」

「「ご教授願えませんか!!?」」



 夕飯あとに、料理人さんたちに囲まれた僕でした。王族お抱えくらいの料理人さんのご飯も結構美味しかったのに、僕がリオーネで作るパンはそれ以上らしい?みたい。エディがマブダチの腕だとわざわざ広めてくれているお陰があるにしたって……ちょっと誇張し過ぎてない?



「え、そんなにも??」

「一度。一度だけ、食したことがあるのですが」

「効能はもちろん、とても美味しかったんです!! なにか秘訣でも!!?」

「えーっと」



 そもそもが機材の揃い方も違うし、技法も異なっているから美味しさも違うだなんて。


 さすがに、この人たちには教えちゃまずいよね……と、エディに振り返ったが苦笑いされちゃった。



「あんま、無茶言うなよ? 半分錬金術師なんだから、そもそも作り方が違うかもしれない」

「「あ」」

「……そういうことです。けど、水温とか酵母の管理をこまめに気を付けるだけでも、だいぶ違いますよ?」

「「おお!!」」

「そんな大事か?」

「めちゃくちゃ大事」



 なので、いきなりパン教室になることはなくなったが。それぞれの部屋でのんびりするよりも散歩がいいかなとカウルとスインを連れて、施設内をぐるっと回ってみた。半分は、女子フロアにエリーがいなかったらしいから探しているんだけどね?



「いないでやんすねぇ?」

『……どこ、だろ』

「うーん。まあ、女の子たちのとこにいないとなると??」



 ひとりで出歩いているのかな? 個人の自由だし、それは全然いいんだけど。


 きょろきょろしていると、廊下側の方から『はっ』とか『せいっ』とか声が聞こえてきたんだ。小さいけど、その声は聞き間違えるはずがない。きっと、エリーだ。


 カウルたちもわかったのか、先にぴょんぴょんと駆け足になるように動いて向かってくれたんだ。



「エリーは~ん」

『……エリー』

「あれ? ふたりだけ?」

「兄さんはもうすぐ来るでやんす」



 僕もちょっと駆け足はしたんだけど……ふたりが早すぎてちょっと息切れた。体力はそこそこあっても運動は別物って意味がよくわかったよ……。



「エリー。……なにしてたの?」

「これ? シェリーに教わった鍛錬法」



 軽装くらいで、どうやらストレッチ以上のトレーニングをしていたらしい。せっかく温泉に来たのに、一応は護衛任務として来ているからかな?



「んじゃ、あっしらはここいらで」

『あと、で』



 目的完了だからって、ここで僕とエリーを二人きりにしてしまうカウルたち。


 僕らが『え?』と振り返ったら、既にとっとこと~ってカウルがスインを運ぶ形で移動しちゃってた。なんて早さなんだ、カウルよ……。



「……えーっと。ケント、散歩してたんじゃ?」

「……エリーがいないから、探してた」

「そ、そう」

「……うん」



 さすがに稽古再開する気力はなくなったらしいけど。


 いきなりふたりきりになると、どうしていいのかわからないのはお互い様だったので……仕方ないから、庭を少し歩こうかと提案したが。


 もうひとつだけ、提案をした。手を繋ごうって。



「……いい、の?」

「僕たちだって、恋人同士じゃない」

「……そうね」



 恋人つなぎは恥ずかしかったから、そこは普通に手を繋いで歩きだしたけど……どっちも奥手だから、仕様がないや。

次回は水曜日〜

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