第726話 極楽温泉プール
「ぬくいでやんす~」
『気持ち、いい……』
温泉に入ると、浮力が働いているお陰かでカウルとスインはぷかぷかと浮かんでいた。適温の温泉が気持ちいいのか、蕩けそうな表情で温まっている感じ。スインは表情がわかりにくいけど、なんとなくだね。
「ほんと、気持ちいい……」
「ねー?」
トラヴィスとたまたま並んで浸かっていたけど。座れる箇所もあれば、立ったまま移動とか出来るレジャー施設くらい大規模な温泉。というか、温水プールとでも言えばいいのかな? 僕らは今座ってのんびり浸かれる通路にいるけど、エリーやほかの女の子たちは思い思いに泳ぐような移動をしているらしい。
湯着は着ていても、ふくよかなお胸がばっちり見えちゃった……。顔に出てないか気になったけど、トラヴィスにはバレバレなので苦笑いされた。
「僕もケントのこと言えないけど。そんなんじゃ、キスもまともに出来ないんじゃないの?」
「……初心者に無茶言わないで」
「僕はこの旅行前にしてきたよ~?」
「え゛!?」
「可愛くて照れちゃうから、ハグでそれ以上は我慢したけど」
トラヴィスがどんどん大人の階段をかけ上っていく!? 僕なんか、手以外はよくてハグくらい? なんて稚拙な子どものようなお付き合いなんだ……。エリーも待っていてくれているにしたって……外見は、いつもどおりなんだよね? でも、鈍かったときも自覚無しを隠すのうまかったから、それかな?
とりあえず、今日から三泊四日もいっしょなんだ。あとでふたりきりになれる時間くらいは作ってみよう。出来たらだけど……。
「温泉って、透明よりは乳白色なんだね?」
水質とかよく知らないけど、温泉の花?とかが浮いているし。温度調節も川とかの水で調整しているのかもしれない。異世界だけど、水道設備は結構しっかりしているんだよね? だけど、ヒーディアでお家賃や納税義務以外の光熱費は支払ったことがない。
エディに聞いたけど、少し税金が高い以外は無償で提供できるところは先代の王様だったお父さんが、政策を頑張ったそうな。それで、ヒーディアに居住を構える他国民も割かし多いらしい。おかげで、国民のサラダボウル状態になったが栄えていることが出来ているんだって。それはすごいな……。
「温泉は透明とかは少ないかな? お兄さんたちといろんなとこ利用してきたけど。二、三か所くらい?」
「そうなんだ。僕が居たところは逆に入浴剤とか入れなきゃ透明ばっかりだね。自然のは少なかったかな?」
「面白いね」
「楽しんでるか?」
ひょいっと割って入ってきたのはエディ。リリアちゃんはいないからひとりでこっちに来たみたい。湯着がしっとり濡れているからわかったけど……なんか、筋肉の凹凸がすごい! 細マッチョだ!!
「うん。……エディ、いい体つきしてるね?」
「そっか? ケントはまあ、細身だよな?」
「うっ。イーシャ様がほとんどそのままで転生させたから……」
「そうなんだね? けど、腕の筋肉は結構しっかり出来ていると思うよ?」
「粉とか重いもん運んでいるしな?」
「……冒険者さんに比べれば、大したことないよ」
トラヴィスもなかなかに細マッチョが出来ている。貧弱ではないけど、腕っぷしが多少あるだけでエリーに呆れられないか……ちょっと心配になってきた。気にしないとか言われそうだけど、『男』としてはいい体つきっていうのは憧れるからね?
エリーが今どこにいるか目線で探してみたけど。いつのまにかカウルを抱っこしながらぷかぷか浸かっていた。なにげに女の子らしい遊び方が可愛く見える僕は、もう手遅れなくらいに重症だね……。
次回は金曜日〜




