第722話 当日の移動(女子①)
サーラに打ち明けていなかっただなんて、陛下らしいわ。あ、今は一応『エディ』かしら?
あたしはあの方のマブダチ、ケントの恋人だから……公でなければ、普通に接してもいいような感じになっているし、今回は大丈夫ってとこ?
とりあえず、馬車の中でシェリーが宥めているサーラを落ち着かせてあげなきゃ。年齢、実はあたしたちより一個下なのよね? この子。
「えっと、えっと!? 皆さんも実はすごい家系の方なんじゃ!!?」
「違うから大丈夫よ」
「私も違うよー。普通の村娘出身」
「え、あ、そ……ですか」
「陛下は好きであの変装をしてたけど。冒険者でも有名な『修羅のエディ』なのよね?」
「……え。もともとスゴイ??」
「そうなの。あたしは、最初そっちで気づいたんだけど」
まさか、中身がヒーディアの賢王だなんて誰も気づかないわよね? 気さくだし、砕けた物言いもさっぱりしてるとこがあるし。あれでいて、あたしやケントとタメだってのが信じられない。びっくり以上な経験、こっちもしたことあったわね?
「はぁ……すごいとこの仕事、受かっちゃったんですね。私」
「ロイズさんの観察眼にかなったんだから、そこは誇らしく思って大丈夫よ?」
「あ、はい」
キリアはちょっと違うと思うけど、サーラの場合は能力できちんと仕事に採用したって言ってたしね? ケントが最終的に研修とやらを受けさせ、今の販売員の位置に置いたのは正解。外の行列並びは時々のアルバイトになったマリアナの仕事になったし、ギアラたちも担当区域から外されてはいないけど……前ほど、護衛任務はないらしい。
人員が増えたことで、役割が軽減するのも仕方なし。あたしも今はソロじゃないから、自分勝手に行動できないし……ケントがのびのびと仕事出来ているなら、それでいいの。ただ、女としての扱いがあまりないのが、ちょっと悲しい。大事にはされているけど……お互い、初心者だからこんなものなのか?
「けど、温泉か~! 陛下の保養地なんでしょ? 混浴はないにしても、どんな施設かなー?」
「……こんよく?」
「え? そんな施設あるんですか??」
「あれ? ヒーディアじゃ、湯着を着ての混浴ってないの?」
「あ、そういう」
「そ、それはありますね。言い方がないだけで」
「普通に風呂っていうもの」
メンバーに女性が多いだろうし、婚約者のリリア様もいるから……陛下的にはそっちを選んだのかしら?? ルカリアはラティスト、シェリーはジェフ。あたし……はケントって感じになっているから??
(え? ケントとお風呂なんて初めてよ!? 湯着を着てたにしたって!!?)
陛下とリリア様はともかくとして、あたしとケントはまだほとんど進展らしきものがないのよ!!? なんか、こっちが変に意識しちゃいそうじゃない!!?
「そう言えば、店長が美味しい飲み物を作ってきたからと言ってました」
「あら、気になるね? なにかな??」
それと、サーラの落ち着きは意外と早く……やっぱり女同士の相席で正解だったわと思っておくことにした。レイアの方はどうなのかしら?ルカリアが居ても、もう片方は将来の王妃なのに。
次回は水曜日〜




