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11話 確信

11話 確信

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 この間の視察もどきで、私には早急に確認しなければならない要件が出来ました。

 もし私の予想が的を得てしまっていたのなら、メーンベルトを利用して魔女を倒してお父様とカローイ様を解放するとかそういう次元の話で無くなってくるかもしれません。


 メーンベルトなんてたかが一組織、たとえ多少国が混乱していたり内部の敵を切り落としたせいで全体としては弱体化してしまったとしてもカローイ様をトップにまとまりさえすればどうとでもなると思っていました。

 魔女を倒すのに利用して後はポイって寸法です。


 でも、そうはいかないかもしれません。


「ガレアッツォ……」


 サクラといつもの部屋で待っていると、予定通りの時間に彼が姿を表しました。

 役職は確か秘書長だったはずです。

 どれぐらい上の人かはわかりませんが、私が直接話せる幹部は彼ぐらいしかいませんので選択肢がありませんでした。


 こういうのがお飾りの悲しいところですね。

 しかも私の場合、自分も周りもお飾りということを把握しそれで問題ないとなっているので、形だけのトップに対するそういう忖度も存在してくれませんし。


「マルシアさん、急ぎの用途のことでしたが如何様で?」

「視察の件でしたら前回の旧スグリフ領からまだそれほど時間も空いていないので、マルシアさんにあまり人目につくような行動は避けてもらいたく思っておりまして」


「視察はもういいの、スグリフ伯爵領の現状を見たおかげであなたたちの報告を素直に聞き入れる気になれましたから」


「それは、無理をした甲斐があったというもの」

「でしたら、一体如何様で」


 そうでした。


 そのために彼に散々無理を言ってスグリフ伯爵領の視察に行ったんでした。

 色々衝撃的すぎて忘れていましたが、まぁ報告を疑うとかそれどころではなくなったので目的は果たせてたといえなくもありませんね。


 でも、もうそんなことはどうでもいいのです。

 それどころの話ではなくなっていまいましたから。


「メーンベルトの支持母体はどこですか?」


「支持母体、ですか?」


 少なくとも、一貴族なんてものではないはずです。

 貴族の派閥の中で最大派閥と言われる第一王子派ですら、あそこまでのことをここまでスムーズに行えるとは思えません。

 そもそも第一王子派にはそんなことをする理由もありませんが。


 つまり、王国内に実行可能な存在がいないのです。


 ピンと来てないみたいな顔をしていますね。

 真面目に答える気はないということでしょうか?

 流石に私もバカ正直に答えてくれるなんてそんな甘い期待はしていませんでした。


 ただ、答えてくれないというのならば答えは決まったも同然です。


「この国を、国民を思う気持ちは本当なのですか?」


「……」

「なるほど、流石に気づきますか」


「その反応ってことは、本当に?」


 やはり私の予想は当たっていたということですか。

 当たってほしくはない、最悪な予想が。


 これは……どうすればいいんでしょう?

 俗にいう詰みというやつなのかもしれません。

 気づくのが遅すぎました。


 でも、


「だが、勘違いはしないでほしい」

「私のこの国を思う気持ちは本物だよ、もちろんメーンベルトのメンバーの彼らも」


「どの口がそれを」


 都合よく人々を騙して、

 私を利用して、

 愛する王国に……


 危うく私は売国奴に成り下がるところでした。

 いえ、もうすでになってしまっているといえるかもしれません。

 メーンベルトのトップに立つというのはそういう事を意味してしまうのですから。


 だから、せめてこれを失敗させなければいけません。

 私は国を売ることに成功した売国奴ではなく、国を売ろうとして失敗した愚者になる必要があるのです。


「戦で荒れ果てた、人のいない地になんの価値がある?」

「王国民がいてこその王国、そうだろう?」

「その民意を得てこそこの土地の価値を最も高められるというもの」

「だというのにお堅い軍部の連中がどうも反応が芳しくなくてな、陛下に直々に許可を得たのだよ」

「王国中心部への新軍の猶予をいただくことを」

「むしろ感謝してもらいたいぐらいだよ」

「サーラティ王国という国が今現在も存続しているのは紛れもなく私のおかげなのだから」


 ベラベラと気持ちよさそうに……

 さぞ気持ちがいいでしょうね。

 敵国の貴族令嬢を使い潰して絶望の真実を告げるというシチュエーションは。


 ですが、いいことを聞きました。

 そうですか、この作戦の指揮はあなたがとっているのですか。

 そして、反対の姿勢を取るものも多く存在しているのですか。

 メーンベルトの幹部なんて関係ありませんね。


 あなたさえいなくなれば、作戦は全部パーです。


「メーンベルトは帝国から資金提供を受けている。いや、メーンベルトはそもそも私が作ったのだから、初めから帝国の組織だというべきかもしれないな」


「それにしては、作戦が随分と中途半端じゃない」


 そう、だから彼の話を聞くまで確信を持てなかったのです。

 行き当たりばったりに見えてしまってならなかったから。


 私に即飛びついたのもそうですし、

 私という駒を手に入れたからといって急激に動きすぎですし、

 そもそも私というちょど良い駒が手に入らなかったらどうするつもりだったのかという疑問もあります。

 少なくとも綿密に計画が練られてる様には感じませんでした。


 皇帝からすれば、あくまでもサブプランうまくいけば良い程度に過ぎなかったのかもしれません。

 だとしても、皇帝はそれで良いかもしれませんが皇帝に直談判までした作戦が失敗すればこの男は間違いなく責任を取らされるはずなのに……


「何事にもイレギュラーはつきものだ」

「もっとも、君を利用すること自体は初めから決まっていたんだ、現在は想定とかなり近い状況にあると認識しているよ」

「だからこそ陛下もまだ進軍を遅らせてくれている訳だしね」


「……え?」

「まさか、あの婚約破棄は……」


 私を使うことは初めから決まっていた?

 たまたま私がメーンベルトに逃げ込んだのではなく、そうなるように初めから仕組んでいたということですか。

 だから、私という駒を手に入れた瞬間派手に動き始めた、初めからそういう作戦だったから。


 もしかして、魔女も帝国側?


 そんな……


 それでは、もう王国は落とされたも同然ではないですか。

 あとは国民の意思を誘導して自ら帝国の属国になることに納得させれば、魔女に操らせた王族の宣言で全てが終わります。

 多少の不満は出たとしても、不満?


 ……民主主義

 そうか、それで民主主義ですか。

 

 国民に選ばせた代表に王の権限を移し、そこで帝国の属国化の選択を行う。

 金で、利益で、庶民というものはそんなもので簡単に国を捨てることができますから。


 あれ?

 それだと私は必要なくないですか?

 もし私を使う予定があったとしても、いくらでも機会はあったのですから初めからフローラに洗脳させておけばよかっただけの話ですし。


「それは予定外というものさ、何でもかんでも帝国のせいにされてはたまらないな」

「あれは君の人徳が招いた悲劇だよ、もっともそれが唯一のイレギュラーだったがね」

「結果的には手に入った。それで十分だ」


 イレギュラー?

 ということは、魔女は別口?


 王国がすでに落とされているなんでのはありもしない絶望だったというわけですか。

 どちらにしても絶望的状況であることに変わりはありませんが。


 でも、突破口も存在します。

 この作戦の責任者は彼です。

 彼が死ねばこの作戦は中止、もちろん帝国の進軍が始まりますが確認作業など時間的猶予はあるはずです。


 それまでになんとかして軍を、

 そして奇襲をかければ……


 かなり無謀な賭けだと私ながら思います。

 でも、これしかないのです。


「あなたが私と1人で会ったのが悪いのよ、自分の愚かな判断を地獄で悔いるといいわ!」

「帝国は男尊女卑なのかもしれないけれど、公爵家の娘を甘く見ないでほしいわね」


『ファイヤボール』


 初級魔法、貴族なら誰でも使える程度の簡単な魔法です。

 簡単な分発動が早く魔力をめいっぱい込めたので威力も十分なはずです。

 カローイ様や魔女のフローラほどではありませんが、これでも魔法学園で三番手につけていたんですよ。

 甘く見ないで頂きたい。

 この至近距離、よっぽとのアーティファクトでもつけていない限りは致命傷のはずです。


「室内で火の魔法とはお転婆だね」


「打ち消した!?」


 無傷ですか、

 魔法の腕には自信があったのでちょっとショックです。


 でも……


「サクラ、今よ!」


「はい、お嬢様」


 ここの部屋には私一人じゃありませんから。

 これで、チェックメイトです!


 うっ……


 突然、背中を殴られたかのような強い衝撃を受けました。


 不意打ち?

 やはり伏兵ぐらいは仕込んでいましたか。

 不覚です。


 振り返ろうとして、体がそこに縫い付けられたかのように動きません。

 下を見ると、見覚えのあるナイフが私の腹部から生えていました。


 ……


 え?

 なんで?


「言っただろ、初めから君を使うつもりだったと」


 このナイフ、サクラの……

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