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魔女の呪いの行く末は  作者: 露(つゆ)
天川 星月編
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8/10

第7話 ~『魔女の呪いについて』~

「わあ……」

 私は見たことのない街並みに心踊らせていた。別に故郷とはなんら変わらない。けど、それでも新鮮だった。

 そんな私に星月さんは微笑ましそうに言う。

「観光でもするか?」

「えっ、でも聞き込み……」

「ずっと気を張っていたら疲れる。息抜きじゃ」

 なんだかとっても……。

「はい!」

 ワクワクする。こんな気持ちあそこに留まっていたらできなかった。


「ここはスーパーがあるの」

 故郷とは違う名前のスーパーだ。大きさは一緒くらい?

「スーパーが無い所もあるんですか?」

「ああ、八百屋、果物屋、缶詰屋なんてのもあったな」

 缶詰屋……気になる。

「缶詰は旅で重宝するからの」

「確かに」


「ここって……」

「図書館か」

 星月さんの言葉に私はやる気が漲る。

「いろいろ調べられますね!」

「後でな」

 星月さんは笑った。


 私は星月さんといろんな所を回った。まるでデートみたい、なんて考えてドキドキした。やっぱり私は星月さんの事……。

 歩き回って疲れたら、カフェで休憩。星月さんはコーヒーとサンドイッチ、私はミックスジュースとクロワッサン。美味しい。

「季行はミックスジュースが好きなんか?」

 星月さんはコーヒーをすすりながら聞く。

「はい。そういう星月さんはコーヒーが好きなんですか?」

 星月さんは苦笑する。

「好きとか言うより最早癖じゃな。なんでもないのに茶を飲む様に」

「そういうものなんですか?」

「季行も大人になったらわかるかもな」

「子供扱いしないでください」

 私がむくれると星月さんは笑う。

「すまんすまん」

「むー」

 なんだかモヤモヤ。


 休憩を挟んだら調査開始。魔女について道行く人達に聞き込む。大抵は変な顔をして去って行かれる。その度に傷つくが星月さんは優しく私の頭を撫でる。

 そしてついに……。

「魔女? なんか図書館にそんな本あった気がするな……。タイトルしか覚えてないけど」

「! 教えてください!!」

「確か……『魔女の呪いについて』だったかな。たぶん創作だと思うけど、何あんたら、そういうの好きなの?」

「まあ、そんなものです」


 教えてくれた人にお礼を言って図書館へと向かう。

 しかし司書さんにタイトルを告げると、怪訝な顔をされた。

「そんな本あったかしら……?」

 ? どういう事だろう?

 司書さんは探してくれたが、ついぞ見つからなかった。

「なんで……?」

 私は星月さんに小声で話す。

「うーむ、わしにもさっぱりわからん」

 二人で唸っていると、本棚の間から黒いドレスの裾が見えた。

「!」

 あれは……まさか……!

 私は早足で近づく。ドレスの主と相対すると、それはやはり……。

「魔女……!」

 ふわりと揺れる金の髪。私に呪いをかけた魔女だ……!

 私は彼女を逃がすまいと腕を掴もうとすると……。

 スカッ。

「!?」

 幽霊か何かの様にその腕は掴めなかった。なんで……ここまで来て……!

 すると、魔女はゆっくりとどこかを指差す。

「?」

 綺麗に整えられた爪先が示す場所には本棚。私はそこに目を向ける。あるタイトルの本が見えた。『魔女の呪いについて』。

「これって……!」

 振り向くと魔女は消えていた。

「……何が目的……?」

 私は本を手に取り星月さんの下へ戻った。


 事のあらましを話すと星月さんはまた唸った。

「まるで自分を見つけろと言っておるみたいじゃな」

 確かに……。

「今は考えてもわからん。とりあえず本を読むか」

 読書スペースに二人並んで座り、本を開く。

『魔女の呪いは何も闇雲に与えるものではない。呪われた人間の感情を糧に自分の力にするのだ』

 感情……?

『世界を滅ぼしたければ無関心、不幸、憎しみ。世界を救いたければ愛、幸せ、喜び。あなた達はどちらだ?』

 まるで、私達に呼び掛けている様な書き方。

『魔女は直接人を殺せない。そういう風にできている。特に昨今は力を失くしている。なので呪いをかける。一発逆転のチャンスを虎視眈々と狙っているのだ』

 昨今って、いつの昨今なんだろう。

『だから私は呪いをかけた。世界を滅ぼそうとする唯一の友を止める為に。望みを、あなた達に託す』

 そこから先は白紙だった。

「この書き方って……まるで……」

 星月さんは私の言葉にうなずく。

「魔女が『二人』おる様じゃの」

 私に呪いをかけた魔女は……どっちなんだろう……。世界を滅ぼそうとする方なのか、世界を救おうとする方なのか……。けど、私にこの本の場所を教えたって事は……世界を救おうとしている……?

「行くか」

 星月さんは立ち上がる。

「はい」

 私もいてもたってもいられなかった。本を元あった場所に戻して図書館を出た。


「……」


 私達を見ている魔女には気づかず。

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