表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女の呪いの行く末は  作者: 露(つゆ)
伊草 真央編
PR
21/26

第4話 ~推理しよう~

 頭が回らない。

 何も、推理できない。

 あなたの気持ちがわからない。

 何故、人を殺すの?

 何故、私を生かすの?

 何も、わからない……。


 日常のほとんどの事を真央さんにされながら私は生き続けていた。

 食事を口移され、担いで歩かれ、呪いの発作が起きる度にキスをされ、そして人を殺して得た物品で私は生きていた。

 私、なんで生きているんだろう……。地獄の先は地獄だった。王子様なんかじゃなかった。助けて、助けて、助けて。

 ポタ。

 え……。見上げると、真央さんが泣いていた。悔しそうな、悲しそうな、切なげな表情で。今まで見たこと無い。なんで、そんな顔で泣いてるの……?

 推理、しよう。

 ああ……そっか……わかった……。

 私は真央さんの頬に手を伸ばす。

「あなたは奪う事でしか生きられなかった……。他の生き方になんて今更なれなかった……。でも、私の事は奪えなかった……。傷つけたくなかった……。こんな気持ちは初めてで……だから戸惑いながら私と一緒にいた……。私を生かし続けた……」

 真央さんは私を抱き締める。

「不器用な……王子様……」

 私も真央さんを抱き締め返した。


 それから、私は心を決めた。真央さんの生き方と共に生きていく事を決めた。地獄に堕ちようが彼と一緒にいよう。

 いつの間に、そんなに真央さんの事が好きになったのか? きっと、そんなに深い理由なんて無い。真央さんが一目惚れしたのと同じ様に。

 恋って愛ってきっとそんなものだ。

 真央さんが強盗に行った時は、寝ずに待っていて。帰ってきたら遠くに逃げる。そんな生活を一年、続けていた。


 ある日、危険地帯を歩いていると、大きな大きな建物が目に入った。

「なんだろう?」

 真央さんもそちらを向く。

「えっと……水族館、って書いてある」

 水族館なんて、話でしか聞いた事がない。

 真央さんにぐい、と手を引っ張られた。

「え、行くの?」

 真央さんはずんずんと歩いていく。

 推理しよう。

 きっと私の顔に「行ってみたい」と出ていたからだ。そういうところが好きなんだ。私は思わず顔を綻ばせた。


 水族館といえど、水槽があるだけで生き物はいなかった。死んだのかな? 水は濁ってないけど。

 でも綺麗だな……。それに吸い込まれる様な静けさ。世界から二人取り残された様。

 大水槽の前に行くと真央さんは立ち止まった。

 推理しよう。

「綺麗?」

 真央さんは何も言わないで私を見た。

「あのね、私、真央さんと一緒なら……何人か残してくれたらそれでいいよ」

 星月さん、ちおちゃん、あと誰だろう?

 真央さんは私の頬に片手を添える。私は背伸びして、真央さんは屈んで、口づけを交わした。


「おめでとう、って言うの?」

「推理力が鍛えられたね」

 何もない空間からリーリアが現れる。真央さんは警戒するが、私が大丈夫、と言うと臨戦態勢をといた。

「もう君達は大丈夫。見事な愛だ」

 リーリアはパチン、と指を鳴らし、いつもの庭に連れてくる。

「ゆっくりしていきなさい。明日の為にね」

「うん」

 真央さんには後で説明しておいた。


 いつもの部屋、いつもの大きなベッド。私達はそこに腰掛ける。

 やる事は一つ。私は真央さんを押し倒した。彼は驚いている。

「今ならいいよ」

 私がそう言うと、真央さんはむっとしてくるりと私を押し倒し返した。

 推理しよう。

「抱くのは自分だ、でしょ?」

 彼は奪う様な口づけをしてきた。


「あのね、明日は決戦、ってパターンだったでしょ、今まで」

「ごめんなさい……」

 呆れるリーリアにベッドに横たわる裸の私は謝った。服を着てベッド脇に立っている真央さんは、何が悪い? とでも言いたげな表情だ。

 そう……ハッスルし過ぎて私の足腰が立たなくなってしまったのだ。

「お楽しみ過ぎだろう」

「ごめんなさい……」

「まあそれも愛故か……しょうがない、決戦は引き延ばす」

「はい……」


 リーリアが去った後、真央さんは私の体をぺたぺたと触る。

「ちょっと立てないだけだから大丈夫だよ」

 真央さんはそれを聞くと服を脱ぎ出した。

「あのっ! それやっちゃうと永遠にブランシェのとこ行けないからね!」

 真央さんはしゅーんとした。なんだか可愛い。


 数日後。

「もう立てるね?」

「う、うん」

「はい、じゃあいってらっしゃい」

 パチン。

 景色が変わる。いつものブランシェの居場所だ。

 真央さんは、扉を開ける。

 ブランシェは私を激しい憎悪の目で睨んでいた。

「まだじゃ……まだ妾はやれる……!」

「ブランシェ……いつまでこんな事をやる気?」

 ブランシェは吼える。

「世界を滅ぼすまでじゃ!!」

 ブランシェがそう言ったと同時に、真央さんは槍でブランシェの喉元を突いた。

「妾は……絶対に……」

 ブランシェは塵となって消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ