第6話 ~この世界で~
「きゃー! お姫様の部屋みたーい!」
ちおちゃんは、きゃっきゃとはしゃぐ。道中、説明をして「なるほどね~」と真剣な顔をしてたのと大違い。
ちおちゃんは大きなベッドにダイブする。
「ふっかふか! きゆちゃんも来なさいよ!」
私も楽しくなってちおちゃんの隣にぼふり。私達は笑い合った。
すると、ちおちゃんは不意に真剣な顔をする。
「私ってね、細かい事は気にしないの。男とか女とか……」
ちおちゃんは私に覆い被さる。
「子供とか大人とか」
つまり、そういう事で。
「怖い?」
私が震えているからだろう。やっぱり初めては怖いもので。いや、初めてじゃないけど。
「ちおちゃん……」
私はちおちゃんの頬に触れる。
「優しくして……」
「もちろん」
ちおちゃんは優しいキスをしてくれた。
「昨日は……」
「お楽しみでしたね、はもういいの」
リーリアの言葉を断ち切って私達は朝食の並んだ席に座る。
「リーリア、この世界は何? 私の記憶は何?」
私は立て続けに聞く。
けれどリーリアはどこ吹く風。
「まだ、言うべき時ではない。けど……」
「けど……?」
「いつか必ず伝える。約束しよう」
「……わかった」
私は朝食にフォークを入れる。
「ん~! このフレンチトースト美味し~!」
ちおちゃんが嬉しそうだから……聞かないでおいてあげる。
「準備はできたね?」
「うん」
「ばっちりよ~!」
ちおちゃんは拳銃を手に持つ。
「では、任せたよ」
リーリアが指を鳴らす前に聞こえた気がした。
「君に苦労をかけてすまない」
それは、どこまでの事を言っているのだろう。
見た事のある野原。見た事のある一軒家。
ちおちゃんは一軒家の扉を開ける。
「貴様は……一体なんなのじゃ……」
ベールに隠れて見えづらいが、ブランシェは私達を……いや、私を睨み付けた。
「それは私が聞きたい」
「まだ……終わった訳ではない……」
ブランシェは立ち上がる。
「撃て」
ブランシェはそれだけ言って、ちおちゃんは引き金を引いた。
バァン!
耳をつんざく銃声の後、ブランシェの額に穴が空き、彼女は塵となって消えた。
「これで……終わり……?」
ちおちゃんは呆気にとられながら言う。
「わからない……」
「この世界では終わりだよ」
リーリアの声がした。気づけば私達はあの結婚式場にいた。
「『この世界』?」
「言ったね、まだ言うべき時ではないと。でも気にしなくていい。この世界の君達はもう自由だ」
何か気になる事はいっぱいあるけど……。
「じゃあアタシ達はめくるめくラヴの世界を堪能するわ~」
ちおちゃんは嬉しそう。なら、それでいいや。
「それじゃあ、息災で」
リーリアはそう言って消えた。
「これから、どうしよっか?」
私はちおちゃんに聞く。
「そおねぇ~、どこかのバーで働いて、カフェ開業の資金でも稼ごうかしら」
「カフェ?」
「ミックスジュースが美味しいカフェ」
ちおちゃんは笑って頬に人差し指を当てる。私は嬉しくなる。
「私は何をすればいい?」
「ウェイトレスさん」
きっとこれで終わりじゃない。けど、私はこの世界でちおちゃんと生きていく。
「じゃあ、行きましょ」
ちおちゃんは私の手を取る。
「うん!」
ワクワクしながら、私達は未来に向かって歩みを進めた。




