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魔女の呪いの行く末は  作者: 露(つゆ)
七里 千織編
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16/20

第5話 ~病める時も健やかなる時も~

 私の突拍子もない話を、ちおちゃんは真剣に聞いてくれた。

 一緒に、旅をしてくれた……星月さんの事も。

「そっか……おじいちゃんでもあり子供でもあったのね……。うーん、属性特盛」

 あれ? そっち?

「ち、ちおちゃんも負けてないよ……」

「あらやだ! 嬉しい!」

 ちおちゃんは私を抱き締める。ド、ドキドキする……。

 ちおちゃんは私を離すと、少し真剣な顔で言う。

「つまり、魔女……ブランシェを倒すには『愛』が必要。でも倒したんでしょ?」

「うん……そうなんだけど……」

 気になるのはブランシェの最後の笑み。もしかしたら……あれで終わりではないという事……?

「でも、きゆちゃんの時間は戻って、おじいちゃんじゃなくてアタシが来た……どうして?」

「うーん……」

 わからない……。

「わからない事以外の情報は出揃った。なら後やるべき事は一つね」

 うん……まあ……。

「アタシと愛を育んでくれる?」

 とっても……簡単で……とっても難しい問題……。


 それから、私達は旅を続けた。あてもなく、ただ『愛』を見つける為に。

 ちおちゃんの良いところ、いっぱい見つけたよ。

 ちおちゃんの好きなところ、いっぱいできた。

 でも、星月さんの事は忘れられなくて。

 そんなこんなで一年が経った。


 てくてくてくてく、今日も歩く。すると、ちおちゃんが口を開いた。

「あら、結婚式場」

 そちらを向くと、白い建物が目に入った。ここは危険地帯。きっと打ち捨てられた建物の一つだ。

「入っちゃおっか」

「え」

「行こ行こ!」

 ちおちゃんは戸惑う私の手を引っ張った。


「きゆちゃ~ん、どう~?」

「え、えっと……着れたよ……」

 私は扉を開ける。

「きゃ~! 似合ってる~! 写真撮りたいわ~!」

 今、私は純白のウエディングドレス姿。ちおちゃんに着て着て! と押され折れてしまった。私は押しに弱い……。

「ち、ちおちゃんも似合ってるよ……」

 ちおちゃんは白のタキシード。

「あらやだ嬉しい!」

 ちおちゃんと結婚式か……。できたらいいな……。でも、気持ちの整理がつかなくて。

「式場に行きましょ」

 ちおちゃんは私の手を引く。

「え、う、うん……」

 そうして式場。私達は部屋の真ん中に行く。

 ちおちゃんは私の手を取る。

「病める時も健やかなる時も~……って言いたいけど、アタシ、無理強いはしない。ごっこ遊びに付き合ってもらえただけで嬉しいから」

「ちおちゃん……」

 ちおちゃんは、ずっと私に向き合ってくれた。ずっと私を想ってくれた。そうだ。私はもう自分の心に向き合わなければいけない。

「ちおちゃん」

「なあに?」

 私は息を吸い込む。そして言った。

「私ちおちゃんの事大好き。でも、星月さんの事だって同じくらい大好き。そんな私でも……ちおちゃんは……愛してるって言ってくれる?」

 ちおちゃんは目を丸くして……そして私を抱き締めた。

「言ったじゃない……。その人の事好きなきゆちゃんを丸ごと愛するって」

「浮気かもしれない。不倫かもしれない。星月さんにもちおちゃんにも不誠実かもしれない」

 私の声は震える。怖いのだ。どちらの事も裏切るのではないかと。

 ちおちゃんは私から離れて肩に手を置いた。

「きゆちゃん、アナタはとっても誠実よ」

「だって……」

 ちおちゃんは優しく笑う。

「こんなに悩んでるんだもの。こんなにどっちも想ってるもの」

「ちおちゃんと星月さんを重ねてるかもしれないよ? ちおちゃんの後ろに星月さんを見てるかも……」

 ちおちゃんはそれでもなお、優しい。

「言ったじゃない。そんなきゆちゃんを愛するって。アタシ、誰にでもそんな事言わないわ」

「ちお……ちゃん……」

 私はちおちゃんの手を取る。もう、心は決まった。

「私は、病める時も健やかなる時もちおちゃんを愛する事を誓います」

 ちおちゃんは、笑って、解呪ではない初めてのキスを交わしてくれた。


 火照る体で私は言う。

「リーリア、見てるんでしょう?」

「ご名答。やはりあなたは賢い」

 すぅっとリーリアが何も無い空間から現れた。

「愛なら、もう持ってる」

 私の言葉にリーリアはうなずく。

「充分だ。よく悩んだね。そしてよく決断を出した」

 リーリアがパチンと指を鳴らすと、あの庭に景色が変わる。

「今日はゆっくり休みなさい。勝手ならわかるでしょう?」

「うん」

「え、え、何これ?」

 ちおちゃんだけが置いてけぼりだ。

「ちおちゃん、私が案内するよ」

 私はちおちゃんの手を取った。

「今日は、まだ長いから」

 最終決戦……ううん、きっとこれで終わりじゃないけど、それに向けて私達は動き出す。

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