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魔女の呪いの行く末は  作者: 露(つゆ)
天川 星月編
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第10話 ~旅は続く~

 この空間がいつもの空間と同じなのであれば、日が暮れたのでもう夜という事だろう。

 私達はリーリアにお姫様が暮らす様な部屋をあてがわれた。もちろん、二人で一部屋。

 はあ……私、星月さんとキスしたんだな……。はあ……明日は決戦の日だな……。なんて落ち着いて考えるまもなく夜になってしまった。

 二人で大きなベッドに腰掛ける。

「寝るか?」

 星月さんが声をかけてくれた。

「どういう意味で?」

 その言葉に星月さんは吹き出す。

「お前さん! わしが今からお前さんを抱くとでも!?」

「抱いてくれないんですか?」

「いろいろツッコミたい」

 どこを?

「お前さんはまだ子供で……」

「キスしたじゃないですか」

 沈黙。

「大人になってから……」

「星月さんその時できる状態って約束できます?」

 沈黙。

「明日は決戦の日で……」

「まだ夜は早いです」

 沈黙。

「じじいのアレは勃たんのじゃ……」

「気にしないです」

 沈黙。

「……」

「……」

「ふっ……」

 最初に沈黙を破ったのは私だった。

「あははははっ! 星月さん完敗ですね!」

「変なところ強うなって……」

 すると、星月さんは私を押し倒す。

「本当にええんか?」

「う……え……」

 なんだか本当にするとなると怖い……。

「震えとるじゃないか」

「……」

 星月さんは私の唇に優しくキスを落とす。

「優しくするぞ?」

「お願いします……」

 星月さんはいつもの様に優しく頭を撫でた。


「んん……」

「今日はわしの勝ちじゃな」

 隣で裸の星月さんが私の頭を撫でていた。

 それを見ると、うわー、本当にしちゃったんだー、なんて羞恥心とか嬉しさとかいろいろない交ぜになって顔に熱が上る。

 私は布団で顔を隠した。

「お前さんが誘ったくせに」

「うう……だってだって……」

「まだまだ子供じゃのー」

「ひゃい……」

 星月さんは私の両わきを抱えて布団から引っ張り出す。

「さあ、最終決戦の前に風呂と飯!」

 そう言って私の唇に口づけを落とす星月さんだった。


「昨日はお楽しみでしたね、なんていう有名な言葉がこの国にはあるらしいですね」

 朝食を用意してくれたリーリアにそう言われ私は恥ずかしくて星月さんの後ろに隠れる。

「人の恋路を邪魔する奴は……っちゅうのは知っとるか?」

「何を言いますか。むしろ私は応援していますよ」

「国の違いかね」

「きっとそうです」


 朝食を食べて一息ついた私達は、リーリアに庭に呼び出される。カタナを一緒に持ってこいとも。

「さあ、今からあなた方をブランシェの下へ送ります。覚悟はいいですね?」

 星月さんと私は顔を見合せうなずく。

「はい」

「ああ」

 リーリアは微笑む。

「この国ではこう言うらしいですね。『では、ご武運を』」

 パチン。


 リーリアが指を鳴らすと、景色が変わった。のどかな野原に小さな家が一軒。きっとあそこにブランシェがいるのだろう。

 リーリアの姿は無い。

 私達はうなずき合うと、家へと歩み出す。そして、扉の前に着き、星月さんが勢いよく開ける。

「ノックくらいせんか、無粋者ども」

 長く切り揃えられた銀髪に、喪服の様な黒いドレス。頭に乗せたベールの中からはギラギラと赤い目が覗く。

「二度目ましてじゃな」

「妾(わらわ)はずっと見ておった。リーリアめ、余計な事をしおって」

 ブランシェは椅子から立つ。

「さあ、妾を殺すがいい」

 そう言って手を広げる。

「潔いの」

 星月さんの言葉にブランシェは鼻を鳴らす。

「これで勝ったと思うなら貴様らは大馬鹿者よ」

 どういう事だろう……。

「さあ! 切れ!」

 星月さんは刀を引き抜き、ブランシェの首を飛ばした。

 ブランシェの首からは血は出ず、塵となって消えていった。

 ブランシェが最後ににやりと笑ったのを私は見た。

「呆気ないの」

 星月さんは刀をしまう。

「何を言っていますか。あなた方の広大な愛の力があってこその結末です」

 リーリアの声がしたかと思うと、昨日、魔物達と戦った荒野に景色が変わる。

「本当に、お疲れ様でした」

「終わったの?」

 私の言葉にリーリアは少し困った様に笑うだけだった。

「あなた方はもう自由です。呪いにも、魔物にも悩まされる事は無い」

 リーリアは放り出された私達の荷物を指差す。

「幸せになってください。それでは」

 リーリアはそう言って消えた。

「……どうしましょうか」

 いきなり『自由』と言われると呆けるしかない。 

 星月さんは荷物を担ぐ。

「旅でも続けるか」

 星月さんは私に荷物を差し出した。

「旅?」

「じじいと少女が愛しあっとっても白い目で見られんからな」

 私は荷物を受け取り笑った。

「悪い人ですね」

「じゃから言ったじゃろう? 知らない人にほいほいついて行くな、と」

 私はリュックを背負う。

「幸せなら」

 星月さんは、ふっと笑う。

「それでOKです、か?」

 私達の新たな旅が始まる。二人一緒ならきっとどこでだって幸せだ。そこに愛があるから。

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