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第-話 ルーク

ちょっとシリアス回。

なぜ、4人以上で組むことが多いパーティを、ルークとティアは2人だけで組み続けているのかです。

カギカッコ(「」)の前後は一行開けるというルールを作る前に書いたもので、この話が全ての原点だったりします。

俺はルーク。ティアのパーティメンバーだ。パーティ名は特にない。そういえば、周りの人たちは、俺らのパーティを、2人組と見ているが、実は、登録上は、4人組なのだ。俺たちのほかに、あと2人いた。周りの人が2人組だと見るのも、このパーティが結成した理由が、俺のおふざけと、残り3人の悪ノリだったのもあって、メンバー数を公開していなかったからだろうか。

俺は、小さい頃に、イリア様に「拾われた」。正確に言うと、イリア様を連れていた執事が、彷徨い歩いている俺を見つけて、一時保護したが、いつまで経っても保護者が来ない。一度拾ったからには、イリア様が、もう一度捨てることを許さない。結果、俺は、将来的に、執事辺りになるための教育を受けることになった。そこで、初めて正式に、屋敷の面々に挨拶をしたのだが、そこに、何食わぬ顔で並んでいたのが、俺の、生き別れ(?)の幼馴染、ティアである。その時の俺が、10歳。拾われてから、実に5年の歳月が経っていた。俺(とティアの2人)は、少し特殊で、1歳や2歳頃の記憶をほとんど完全に覚えている。だから、3歳か4歳で生き別れた幼馴染の事を、10歳になっても忘れていなかったのだ。ただ、6年も7年も会わなかった人を、幼馴染と読んで良いのかは甚だ疑問だが。

挨拶を済ませてすぐに、ティアの方から接触してきた。

「パーティ組もうよ!」

「んぁ?…良いんじゃないかなぁ。…zzz」

その時の俺は、眠くて眠くて。何せ、10歳の子供が、夜中の1時に、同い年の子2人連れて、俺の部屋に襲撃をかけてきたのだ。普通なら、3人も部屋に雪崩れ込んできたら、目が覚めるはずだが、積み重なる勉強、勉強、さらに勉強。申し訳程度に実技。勉強だけで、死んでしまう、うわぁぁーっ!死んでしまう!ぎゃあぁぁ!な状態だったから、もはや頭も働かず。勢いでokしたのが運の尽き。

こうして、ルーク(男)、ティア(女)、ユーリ(男)、アイル(女)の、4人パーティが組まれたのだ。


じゃあ、なんでユーリとアイルはいないのか。一言で言うなら、死んだ。

11歳になった時、(参考までに、アカデミーには、11歳から入学できる。20歳までの9年制だ。)イリア城(と勝手に呼んでいる。イリア様の住んでいる本邸のこと。)の周辺に、突如として、ゴブリン、オーク、オーガなどの、「軍団」が攻め込んできたのだ。今考えれば、恐らくロード種が率いていたのだろう。分かっていれば、すぐに撤退できた。ダンジョンに潜れるようになったとはいえ、所詮は11歳の子供。今まで見たこともないほどに統率の取れたオークやらに、勝てるはずもなかった。まずいなと思い撤退を指示した時には、すでに手遅れで、俺たちの貧弱な魔法防御を破って、かなりの矢が、(恐らく指揮官と一番強いやつを狙って)俺とティアに降り注いだ。子供の足の速さでは、逃げ切ることはできない。「『もはやこれまでか』ってこういう時に言うのかな」なんて現実逃避しながら、目を瞑ってその瞬間を待った。ユーリとアイルは逃げ切れるかな、とも考える。でも、その瞬間は来なかった。不思議に思って目を開けた時、「先に逃げろ」と伝えていたはずのユーリとアイルが、身体から矢を生やした状態で、俺たちに覆いかぶさるように、守ってくれた。パニックになっていた俺とティアは、ユーリとアールをそれぞれ背負って、とにかく走った。でも、ユーリは間に合わなかった。最期にユーリが俺に向かって、

「何があってもティアとアイルを守れ。もし何かあったら、その時は、僕が化けて出るか、呪ってやるからな?」

俺が、まて、俺にはそれが遺言にしか聞こえないんだ。もう少しだから耐えろ。と言った時、彼は笑って、「じゃ、頑張れよ。お前ならできるさ…うーん…多分、だけどね」。それを最後に、彼は、俺の手の届かないところへ行ってしまった。

俺は気づきたくなかった。

ユーリの葬儀をする時になって、実感が湧いたのかもしれない。

葬儀が終わるや否や、俺たちは屋敷を飛び出して、街道をまっすぐ駆け抜けた。その時、俺たちは、「地獄に落ちた」。突発的に発生する、地獄と呼ばれる、魔物の巣窟へのポータルのようなものに巻き込まれたのだ。ポータル自体は、3から5分その場に存在する。どこに現れるか分からないのに、触れるだけで即地獄行きだ。なんなら、近くに寄っただけで引っ張り込まれるという悪質さ。まさに、「運が悪かった」。ふわっと浮くような感じがして、気づいたら、3人で地獄へ飛ばされた。俺とティアがパニックになる中、アイルだけは冷静に、

「帰る方法ならあるよ。」

といった。聞くと、アイルは魔道士の適性があったため、自分の命と引き換えに、2人を地上まで送り届けられる魔法は存在するんだと。でも、もともとは、自分と、あと1人を一緒に連れて行く魔法なんだけど、それに自分を載せなければ、2人を地上に返せると言うのだ。さらに、高位魔術であるため、『媒体』が必要なのだが、それも、自分の命で賄えるのだと。でも、俺たちは、アイルと一緒に帰る方法が見つかるまでは帰らない。と宣言した。つい最近ユーリを失ったのに、アイルまで失いたくなかったからだ。独学で魔法をいくらか勉強していた彼女は、あの矢傷から回復していた。でも、いくら魔法が万能でも、死者を蘇らせるものは存在しないとされているし、発見されても、禁忌として闇に葬られていた。だから、ユーリを生き返らせることは出来なかったのだが。そんな中、俺たちに、魔物が次々と襲いかかってくる。俺は、限界ギリギリで戦い続けた。しかし、健闘虚しく、数攻めでくる魔物達は、逃げ遅れたアイルに襲い掛かる。魔物の斬撃が届く、その前に、アイルは、問答無用で、自分の命を『媒体』にして、俺たちに、高位転送術を使った。突然、辺りに流れる時間がゆっくりになるなかで、俺たちだけは普通に動いていると言う不思議な現象が起こった。アイルは、その場にゆっくりと膝をついた。

おい、やめろ!と言っても、彼女は微笑むだけだった。そして、ティアに向かって、「ルークは、地獄(ここ)で限界ギリギリで戦闘を行っていました。もしかしたら限界を超えているかもしれません。恐らく現世に帰った時、反動で、しばらく体調がすぐれなくなるかもしれません。助けてあげてくださいね。」と言った後に、声高らかに、高位転送の呪文を叫んだ。

待って、と言ったのに、彼女は、「またいつか!あっ!私の魂は持って帰ってくださいね!じゃあ、帰ったら、ユーリと一緒にみんなを見守っておこうかなぁ。」と言い、ティアに、彼女がいつも使っていたミスリルの杖を手渡す。その次の瞬間、俺たちは、ものすごい勢いで、上に向かって打ち上げられた。最後に見えたのは、爆発魔法の爆風でほぼ粉末と化す大量の魔物達と、その真ん中に、仰向けに倒れて、こちらに向かって笑いかけていた最期の笑いがまだ残る、アイルの姿だった。あれは、アイルだけが唯一できた、属性の違う魔法を、2つ同時に発動すると言う技だった。最後に大技で


アイルの予想通りと言うのか、現世に戻った俺は、体調が優れないどころか、普通に死にかけた。かなり長い間意識が戻らなかったらしい。けど、ティアが、朝から晩まで、ずっとそばにいて、話しかけてくれていたんだって。今日の天気は晴れだって聞いた、だとか、どこどこの誰々さんのところに子供が産まれたんだって、とか、(田舎か?)日常の、ほんとになんでもないことを喋りかけていたんだと。後で聞いた話だと、俺がいないところだと、ティアは、寒気がするほどの負のオーラを発しながら、「ルークまでいなくなったら、あたしはどうすれば…」的なことをずっとボソボソ呟いていたらしい。むしろ他の召使いやメイドたちの精神衛生のために、同じ部屋にいることを許可することになったんだとか。

俺が目覚めた数ヶ月後、急にティアの戦法が、ユーリを彷彿とさせるものに変わったり、俺の魔力が、屋敷にある魔術具では計測ができないほど増えたりしたのだが、それにあの2人が関わっているのかどうかは、分からない。


その後、俺たちは、あの2人のことを忘れたくなくて、パーティ登録を4人のままにして活動している。

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