第14話
ギギィーーッ!
「到着。」
「…そのブレーキ音どうにかならないのかしら?」
「無理やりついてきたのにさぁ。」
途中、最近廃線になった魔導列車の線路がまだ残っていたので、拝借して付近まで移動したのだが、もともとブレーキ音のうるさい騎獣に、手入れのされていない傷んだ線路と重なって、恐ろしく乗り心地が悪くなってしまった。
…トンネルが一番ひどかったかも。
そういえば以前、魔導列車のこの路線に乗ったことがあったんだけど、もう既にひどかったからなぁ。そろそろ経営も怪しくなってきたのか、旧型の車両を使い続けていて、揺れもひどいし、加速も鈍いし、何より、座席がめっちゃ硬かった!
「…あー。ま、とにかく到着だね。」
さすがラノン君。華麗に話題転換ありがとう。
すかさず俺はそれに飛びつく。
「じっ、じゃあ、俺はここら辺を探索しておくから、みんなはどっかで待ってて。」
「えっ、何言ってんの?当然付いてくるよねぇ?」
「えっ?」
「そうだそうだ!」
「ん?なんか言ってたん?」
「えっ、なんで?」
1人違う反応をしていたが、それはそれとして、なぜに俺がダンジョンを攻略しに行くことになっている?
「いっ、いや、あのー。武器持ってきてないんすけど〜…。」
「だいじょぶ!そこらへんにあったロングソードあるから!」
「…。」
1つ言いたい…。俺の得物はクレイモアという、小ぶりの大剣だ。片手剣には全くと言っていいほど適性がない。
ーークレイモア。地球では、スコットランド人が好んで使用していた大剣である。スコットランド・ゲール語で、「大きな剣」を意味する、クライァヴ・モールから来ている。大剣の中では小ぶりで、素早い動きを恐れられた。ーー
…結局、俺は、ロングソードを携えて、本来やるつもりはなかったダンジョン攻略をさせられるハメになった。
◇
「ルーク!そっち行ったよ!」
「はぁっ?」
スカッ、ガキィン!
いつもと比べて軽い武器に慣れなかった俺は、力加減を分からず、大きく狙いを外した上に、思い切り床に叩きつけてしまった。
「ぐわっ!?」
手が痺れる。咄嗟に一番接近してきていたゴブリンを蹴り飛ばす。蹴られたゴブリンは、「ぶほげっ?!」とかなんとか言いながら、少なくとも20mは飛んで行った。
ほかのやつが近づいてきたとき、ロングソードを横薙ぎに振ったのだが、勢いよく振り抜かれた刃は、ゴブリンを滑らかに真っ二つにした後、予想外の速度で全く追いつかなかった俺の体がバランスを崩したところへ、オークの重撃が襲う。
「かっ!」
反応はしたものの、目測を誤り、反対側の刃で自分を斬りそうになりながら、洞窟の壁に叩きつけられる。
「ルークっ?!」
「俺は生きてる。」
「…よかった…。」
他のみんなの攻撃力では、周りのゴブリンやオークを倒すのが限界で、俺の方まで助けられない状態だった。
…えっ?なんで?学園内でも1位2位を争う攻撃力のみんなが?
これは要研究だな!
そこで、俺は、サッと魔法でカタパルト(構造はバリスタに近い)を作り、オークの首を狙って、ロングソードを発射した。結果として、オークを綺麗に貫通したロングソードは、射線上にあった他の魔物を斬り裂きながら、反対側の壁に深々と突き刺さった。
「なあ、ちょっと待て?これってさ、『そこらへんにあった』ロングソードで間違い無いよな?」
「うん。そうだよ?」
その頃には、他のみんなはなんとかある程度魔物を倒しきることができていたみたいだった。
「普通の鋼の剣で、ただでさえ硬いオークを?、その上で、深々と岩に突き刺さるって、そんなわけあるかい!」
いや、相当な業物だぞこれっ!
『そこらへん』から業物が出てくるという現象に軽く目眩を覚えながら、今日の俺のダンジョン攻略は幕を閉じた。
次の話で第1章「黎明」が終了します。




