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少年は、全てを捨て復讐者となる。~Another World~   作者: 高瀬利糸
第五部〜テサー王国革命編〜

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60章 偽物のエラー

 完璧な角度で壁に跳ね返り、襲いかかる弾丸を、リテネは二つ目の電気の弾で、撃ち落とし、続けて二発の炎を発射する。


 時差で飛んでくる炎と電気を、玲人は炎で撃ち落とし再び拳銃を撃ち、俺は電気の速度で避けながら一気に間合いを詰めた。


「馬鹿なのかい?君は」


 詰めた瞬間、もうそこにリテネはいなかった。


 頭上から冷静な拳銃の音が響くが、俺はあえて勢いを殺さずに切り込み、その弾をかわしきる。


「君と同じ能力を使える以上、君の速度で押し切る戦い方は通用しないよ」


 玲人の弾丸を空中でかわしながら、いつもの小馬鹿にした口調で絶望的な事実を告げる。


「黙れよ……」


 自分でも抑えきれない感情任せの遅い攻撃は軽く交わされ、反撃を喰らいかけるが、玲人の弾丸に助けられた。


「流羽人、一旦引け!」


 感情任せにもう一度パイプを叩き込もうとする気持ちを鎮めて、投擲ナイフを投げながら、距離を取る。


 その間にも玲人が拳銃を撃ち続けるが、能力を使って舞うように軽く避けられる。


「そんな使って……残りの魔力は大丈夫なのか?」

「魔力量による制限リミットを疑っているのかい?……じゃあ感じさせてあげる。……Nightmare flame」 


 直径1m程の大きな炎が生成され、部屋の中心で爆散する。

 玲人は炎で身を守ったが、足も限界に達している俺は、体が焦げるような爆風を受ける。


 炎が消えた直後に、リテネのいた足元にナイフを投擲した。

 おそらく、投げる瞬間が見えていなくともあいつは避ける。


 ただ、狙いはその先。

 その逃げた直後。


 わずかにでも動揺していれば、当たるかも……


 そう期待していた。


 気づけばリテネは俺の目の前にいた。


 パイプの先端を地面に叩きつけて近づかせないようにしながら、その反動で体を無理やり引き、すんでのところで、ナイフを避けた。


 しかし、無理やり引いたせいでバランスを崩し地面に倒れ込んだ。


 ……立ちあがろうとしても、足首が鋭い痛みを放つ。


 その隙をリテネが見逃すはずもなかった。


 玲人は、リテネが俺との直線上にいるせいで攻撃できない。

 リテネの電気をまともに喰らって、体から一瞬力が抜けるが、ある程度の電気耐性で耐える。


 震える指でパイプを掴もうとするが……すぐに取り落とす。


 ……動け……動け……

 心の中で唱えても、体は制御できない悲鳴を上げ続ける。


 そんな俺に死神のように、彼は一歩一歩近づいてくる。

 背後からの玲人の炎をものともせずに。


 冷たい刃が俺の視界に広がった。



「お前……血の槍はどうして使わないんだ?」



 俺の眼前で、ナイフの刃が止まる。

 ……仮面が一瞬外れたかのように、目が宙を浮いた。


 思考が止まったその一瞬。

 左足を天に蹴り上げた。


 ナイフが放物線を描き、石畳の入り口を滑っていく。


「流羽人!今すぐ全部の魔力を使いきれ!」


 玲人が、先ほどのリテネと同等の大きさの炎の弾をリテネに向かって放つ。

 腹を押さえながら、間一髪でかわしたリテネに不敵な笑みを見せる。


「撃ってみろよ……Nightmare flameを……血の槍を……」


 答えることもできず、リテネが予備のナイフで玲人に電気の速度で切り込む。


「……Another world……!」


 声にならない声をあげて起き上がりながら、特大の電気を叩き込んだ。


 追い込まれていたリテネは、反応が僅かに遅れた。

 ただ、その僅かなタイミングが命運を分けた。


 リテネの身体中を電気が蠢き、スピードを完全に失う。


「お前のコピーの制限<リミット>、それはその能力者が、現在その能力を使えること……そうだろ?」


 リテネは無言で肯定して、拳銃を発砲する。


「お前は、明らかに血の槍を使うべき場面があった……流羽人が後ろに引いた時、血の槍なら仕留めれた……。でも、お前は使わなかった」


 リテネの銃口がぶれて、動かずとも弾は勝手に避けていった。


「……だとしてなんだ……。そっちのやつは動けねぇ。お前だけだ……!」


 怒り任せの銃弾は大きく逸れて、静かな玲人の弾丸が、右腕を撃ち抜いた。


 ……二人の戦闘を遠目に、俺も壁に寄りかかりながら立ち上がった。


「……クソが……クソが……!」


 左手に拳銃を持ち替えて、リテネが拳銃の引き金を引く。


 空虚な音がその場を一瞬支配した。

 ……弾切れの音だった。


「詰みだな。リテネ」

 絶望の顔のリテネの腿に銃弾が突き刺さる。


 リテネが苦痛の呻きを上げながら、瞳は最後の希望を捉えていた。


 3発目の弾丸とともに、リテネは走り出し、ナイフをフラマの首に突きつけた。

「……動くな、よ……」


 リテネの言葉は最後まで続かなかった。

 部屋の入り口からの大きな弾丸が、脳天をぶち抜いていた。


「流羽人、玲人。大丈夫か!」


 若い男達を率いたルーメンのライフルが火を吹いていた。

3月は結構投稿したい……

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