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少年は、全てを捨て復讐者となる。~Another World~   作者: 高瀬利糸
第五部〜テサー王国革命編〜

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59章〜リミット〜

「どうだい?今からでも取引は受け付けるよ」


「受けるわけねぇだろ」


 玲人が吐き捨てて、まだ弾の残ったマガジンを入れ替える。


「君たちに勝ち目があるとでも?能力は無意味だよ?」


制限(リミット)


 ……?


 話していた2人が黙り、背後からの隙間風の音だけが響く。

 リテネは表情ひとつ変えないが、心なしか少しだけ顔が影がかっているようだった。


「何のことかな?」


「流羽人。当たりだ」


 リテネの返答を遮り、玲人が得意げに笑う。


「何なんだ、そのリミットとやらは」


「能力を使う上での制限。俺らは魔力量による制限がされていて、リエル達は血による制限がある。それと同じように、強い能力には必ずデメリットがある。そうなんじゃないか?」


「さぁ……どうだろうね?君たちも話をする気はないみたいだし、ここからは実力行使といかせてもらうよ」


「焦ってるのか?時間ではなさそうだし……回数によるリミットか?」


 煽り口調でリテネを挑発しながら、少しずつ優位に立っていく。


「黙れ!」


 ついに感情を少し表して、リテネが高速の炎と電気を放ってきた。

 その攻撃とほぼ同時に、フラマの重心が沈んで、投擲ナイフが髪を切る。


「そっちは任せた」


 俺に背を向けて、玲人はリテネの攻撃を受けることに専念する。


「分かった……」


 フラマに負けた記憶が一瞬頭をよぎるが、無理矢理頭の奥に押し込んで息を吸う。

 ……世界から音が消え始める。


 二個目の投擲ナイフを払った。

 強い金属音が鼓膜を打ち、ナイフが強く壁に叩きつけられる。


 こちらの鉄パイプのリーチ差をものともせず、フラマは素早く密着展開を作ろうとする。

 その軌道上に拾った投擲ナイフを投げつけた。


 力任せの全く飛ばない投げ方。

 ……それでも、彼女の動きを遅らせるには十分だった。


 彼女のわずかな迷いの中で、パイプを槍のように使い、自分のリーチを維持する。

 当たれば儲け物。外しても彼女はおそらく引いて仕切り直し。

 俺にとって、部の良い賭けのはずだった。


 ただ、突き出した瞬間。彼女は視界の中にはいなかった。

 ……脳が動くよりも先に反射的に体が動いた。

 電気の速度で体を引く寸前、左腿をナイフが掠めた。


 ……あの速度でも当たるのかよ……!


 微かに血が滲むが、それを気にする前に追撃が来る。


 体勢が崩れている俺にとどめを刺すように、顔へのナイフ。そして、低姿勢から回し蹴りが繰り出される。

 ナイフは運良く後方に逸れ、同じように姿勢を低くして、力の差でなんとか回し蹴りを受け切った。


 前はこの2連で即座に負けた。ただ、今は見える。


 即座に受けた手で、回し蹴りの後隙に胸元に拳を叩き込む。


 明らかな当たった感触があった。


 ただ、その直後にフラマは倒れることはなかった。

 代わりに、俺に殴った左手に深々とナイフが突き刺さっていた。


 ……

 少し遅れて痛覚が仕事を始め、痛みで右手のナイフを取り落とす。

 ……刺さったナイフがどこから飛んできたのか考える暇はなかった。


 ただ、理解させられた。

 バランスの崩れた一瞬の間に、真下。

 地面から足が伸びてきて、俺の顔を蹴り上げた。


 あの回し蹴りの後、フラマは回転に身を任せ、あえてバランスを崩したのだった。


 壁に頭から吹き飛ばされ、四肢から力が抜けて、赤い血が瞳に流れ込む。


「チェックメイトだね。流羽人」


 体が自分のものではないかのように、何も動かない。

 一直線にナイフが来ているのに……体が……


 ……今しかない。

 回し蹴りの後隙すら消す彼女の、物理的な隙を突くことは不可能だ。


 それでも、彼女は今、もう一つに隙を晒した。


 ……完全に動かない敵へのトドメ、チェックメイト。

 その状況に勝利をすでに確信してしまっている、彼女には精神的隙があるはず……。


 動かない体を無理やり動かして、心臓の位置を僅かにでもずらす。


 ……彼女の音速とも感じるそのナイフは、僕の心臓寸前で止まった。

 俺の震える右手が、赤く染まりながら、ナイフの刃を握りしめていた。


 フラマが勘付き、ナイフから手を離そうとしたが、もう遅かった。


「Another world……破壊し尽くせ……」

 全てが鉄でできたフラマのナイフに、命を奪わずとも、失神には十分すぎる電気が体を駆け巡る。

 フラマはそのまま体を小さく痙攣させながら、リエル達の隣に倒れ込んだ……



 ……終わったか……

 頭からの出血で意識が朦朧としている。


 ……

「流羽人、何やってんだよ!早く」

 顔の前を火の玉が通り過ぎて、薄れた意識が戻った。


 使い物になるかも怪しい右手で、の血で装飾されたナイフを左手から抜く。



「まさか……こうなるとは。現実とは面白いね」

 リテへが上着を脱ぎ捨て、大きく首を回す。


「余裕ぶってられんのもあと少しだな」

 玲人が再び、拳銃に弾を詰める。



「あぁ……壊してやるよ」

 ナイフを持ち直して、俺は大きく息を吸った。


 時間が固まり、部屋には僅かな静寂が訪れた。


 ……1発の発砲音、電気と炎の弾が同時に飛んだ。

……1月投稿予定が、文章が合わなかったりテストが挟まったりと、伸びてしまいました……

次章投稿も未定ですが……別作品が先に公開されるかもです。


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