63 勇者の剣と魔王の剣4
一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。
完結が近づきました。
1000年魔王となったザラの精神感応力は強力で、ほとんどの魔族は完全に服従した。
魔王宮の前には魔界中からほとんど全ての魔族が集まり、その数は1兆に達しようとしていた。
魔王宮のバルコニーにはザラと、母親で最高位の魔女サバトが立っていた。
「1000年魔王様、下級魔族から上級魔族にいたるまで、3人を除き全ての者が集まっています。さあ、人間界への大侵攻を開始しましょう。」
サバトがザラに進言した。
「まず、人間界との連結空間が開く特異ポイントの前にいる反逆者3人を殺すのだ。上級魔族の最高位にありながら、私に刃向かうとは絶対に許せない。私が直々に手を下そう。」
「いえ、あなた様が出るまでもありません。多くの、そうですね、ほんの1億ほどの魔族を差し向けるのです。いかに彼らといえども、全てを平らげるまでに魔力を使い切るでしょう。ただ、3人のうち竜人ドランの魔力が消えています。たぶん、人間界に逃げたのでしょう。」
「そうだな。1億の魔族を炎人バーンと魔神グリゲイドの元に向かわせる。」
そう言った後ザラの目が鋭く光り、強い精神感応力で命令が出された。
炎人バーンと魔神グリゲイドは、人間界への連結空間が開く魔界の特異ポイントの前で立っていた。
彼らは強い力で、1億の魔族軍の動きを感じた。
「来るな――ざっと1億くらいか。この年寄り2人の命を消すために大げさだな。バーン殿、我が最初出よう。ここでしばし待たれよ。」
そう言うとグリゲイドは足で地面を軽く蹴ると、その姿は瞬時に消えて1億の魔族達が進軍してきたすぐ前に出た。
魔族達は魔界でも伝説とされる魔神がいきなり姿を現わしたが少しも驚かなかった。
ザラの精神感応力による命令は、絶対的に魔族達を支配し恐怖心を完全に奪っていた。
「魔神グリゲイドが向こうからやって来たぞ。ザラ様の御命令どおり命を奪うのだ。これだけの数で襲いかかれば簡単に倒せるぜ。」
1億の魔族が魔神グリゲイドに殺到した。
魔神はほんの短い言葉を口ずさんだ。
「我が鼓動、魂の響き、打ち抜け! 」
魔界にものすごく大きな音が響いた。
ド――――ン
それはすべてが壊れてしまうと思えるほどのエネルギーのうずだった。
そのうずはグリゲイドに近づこうとした魔族を飲み込んだ。
1億全ての魔族が倒れ、そのうち5千万ほどの命はもうなかった。
ただ、魔力が高い者はすぐに立ち上がり魔神グリゲイドに再び殺到した。
「我も老いたな。200年ほど若かったら1億全てを倒していた。よい、後は剣で倒すだけだ。」
魔神は剣を抜き殺到する魔族達に向かって行った。
瞬間、感覚の中で1人で5千万もの魔族を相手にする最善の動きを選んでした。
「先に5千万人を葬るため、我が鼓動を最大限に使ってしまった。最善の動きでも、最後までたどり着ける可能性はわずかなのか――――」
そう言った後、魔神は光りの速さで剣を振り魔族達の数を減らしていった。
しばらくして魔族の数は目に見えて減っていった。
ただ、魔神グリゲイドのスピードも鈍り、人間が振る速さでしか剣を振れなくなっていた。
それとともに、魔族達から少しずつ傷つけられる割合も増えてきた。
1000、500、100、50、そして残り10ほどになった時はもうふらふらだった。
最後に魔神を取り囲んだ魔族達は、冷酷に心から喜んだ。
「もう少しであの伝説の魔神をしとめることができるぞ。」
「ザラ様に喜んでもらえる。」
「ひゃは――年寄りの魔神、もうふらふらだぜ。チャンスだ。」
魔族達は一斉に魔神グリゲイドに襲いかかった。
その時のことだった。
絶対高温の火球が飛んできて、10人の魔族達を全て消滅させた。
その後すぐに炎人バーンが、魔神グリゲイドのそばに姿を現わした。
炎人は強い口調で言った。
「品性下劣なやつら、おまえ達には魔族の未来に加わる資格は全く無い。グリゲイド、大丈夫か。」
「バーン殿。かたじけない、心から感謝する。しかし、後10くらいだったら切り捨てることができたかもしれない…………」
そう言った後、魔神は疲労で意識を失った。
炎人バーンはその一言を聞いた後、魔神を見て心の底からにっこりと笑った。
その後、魔神を抱えて姿を消した。
トランスファー城の訓練場でランスロが剣を振って鍛錬していると、ちょうどすぐそばに魔界との連結空間が開き、そこから竜神ドランが姿を現わした。
ドランの切迫した厳しい表情を見て、彼は全てを悟った。
「竜人様、『魔王の剣』業火が姿を現わしたのですね。そしてザラさんは1000年魔王になって、人間界に大侵攻して来るのですね。」
「ランスロ殿、そのとおりです。今、炎人バーン様と魔神グリゲイド様が、人間界との連結空間が開く特異ポイントの前で魔族軍を留めようとがんばっておられます。ただもう、時間がありません。ゾイゼン一族の若き最高の鍛冶師は剣を完成させましたか。」
「いえ。まだです…………最悪、間に合わなければ普通の剣で戦うしかありません。」
「炎人様と魔神様が時間をかせいでくれるに違いありません。その間に、ランスロ殿。ゾイゼン一族の工房に行って見ませんか。」
「コンラード君は、全力を尽くして一生懸命に剣を打ってくれていると思います。ぎりぎりの精神状態の時、あまりせかすのはどうかと…………わかりました。ゾイゼン一族の工房で待っていれば、剣が完成したらすぐに受け取ることができますね。行きます! 」
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年末年始休暇はできる限り更新をがんばります。




