62 勇者の剣と魔王の剣3
一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。
なろう投稿する第2作目です。
魔王宮の最下層の地下に、魔王ゲールの妻でザラの母親、最高位の魔女であるサバトの工房があった。
その日の早朝、工房の中央で「魔王の剣」業火は自己創成の最終段階に入っていた。
魔女はそのそばで完全に意識を失っていた。
やがて、剣は黒を基調にした美しい姿を完成させた。
その刃先は妖しい赤い光りを帯びていた。
すると、魔女サバトは意識を回復させ、業火が完成したことを確認した。
「まあっ、1000年魔王に引き継がれる伝説の剣、業火が再び魔界に姿を現わしたのですね。これで、我が娘ザラは1000年魔王となり、人間界へ大侵攻するのです。どれくらいの人間を死に追いやるのでしょうか。100万人、1千万人、いや1億人はいくかも、ほほほほほほ―――――」
その後、魔女サバトは黒い絹の布で業火を包み、手で大事そうに抱え工房を出て、螺旋階段を登り始めた。
寝室のベッドで眠っていた魔王ゲールは、胸に激痛を感じて目を覚ませた。
「う――――この激痛は私が生きて感じる最後の感覚だな。業火が完全に姿を現わしたのか。ランスロ君、愛するザラを救ってくれ。殺伐とした未来ではなく―――― 」
魔王ゲールは息絶えた。
既にこの日が近いことを側近達は認識していたので大きな混乱は起きなかった。
大至急の知らせを伝えるため、上級魔族第1位の炎人バーン、2位の魔神グリゲイド、3人の竜人ドランの元に使い魔が放たれた。
最高位の魔女サバトは「魔王の剣」業火を抱えながら、娘のザラが意識を失い横たわっているベッドがある部屋に着いた。
魔女はベッドの横に立ち、目を閉じている娘の顔をじっと見た。
「私の娘はなんて美しいのでしょう! これから業火をその手に握ることで、さらに美しさが増すわ。」
魔女は娘の手に業火を握らせた。
すると、意識を失っていたザラが大声を上げた。
「いやだ! 私が私でなくなる! 人間を殺戮することが快楽になってしまう! 」
その後、ザラは静かになったが、再びふと目を開けた。
そして、体を起し母親の姿を見て、ぶきみに笑った。
完璧に美しいザラの顔は、これまでにない冷酷な顔だった。
「母様。私に『魔王の剣』業火を与えてくれてありがとう。父様の命はもう絶えてしまって、私に引き継がれている。私が1000年魔王、人間界への大侵攻を速やかに開始し、最大限の人間を殺戮する。」
魔女は娘に聞いた。
「1000年魔王様。上級魔族達を呼び寄せますか。」
「母様。私が自ら呼ぶ。上級魔族よ! 人間界への大侵攻を開始する1000年魔王の元にただちに集まるのだ。そして、私の元にひざまずけ! 」
1000年魔王になったザラは強い精神感応の力で、上級魔族達に働きかけ、その後で、魔王宮の謁見の間の王座に座って待った。
序列第4位ゴーレムのクレイと第5位の獣人レオはすぐにやってきてひざまずいた。
しかし、それ以上の上級魔族はザラの元に集まらなかった。
「母様。これはどういうことか。我が魔族軍の先頭に立つべき、第1位の炎人バーン、2位の魔神グリゲイド、3人の竜人ドランはなぜ来ないのか。」
「1000年魔王様。彼らの魔力は不思議なことに魔界のはて、人間界との連結空間が作られる場所に留まりそこから動こうとしません。彼らの眷属の軍団もそこに集結しています。」
「彼らは人間界と最も近いそこにいて、私の到着を待っているのか。それとも反乱か。」
「反乱の可能性もないわけではありません。」
「そうか。ではもう1回ここで命令をかけよう。そして我が軍団をここ魔王宮で編成する。『魔王の剣』業火の力を使い、全ての魔族を私に従わせる。」
そう言った後、ザラは魔王宮で最も高いバルコニーに出て、業火を頭上に振り上げて叫んだ。
「1000年魔王ザラが、魔界に暮らす全ての魔族に命ずる。人間界への大侵攻を開始する。ただちに我が元に集まるのだ。遅れることは許さない。遅れた魔族は人間と同様、私が『魔王の剣』業火を振るい殺戮する。魔族は私の命に逆らうことはできないのだ!!! 」
業火の力が加わり、ザラの精神感応の力は最強なものとなった。
魔界の中で魔族の大移動の動きが起こった。
上級魔族第1位の炎人バーン、2位の魔神グリゲイド、3人の竜人ドランは、魔界のはて、人間界との連結空間が作られる場所にいた。
魔族軍をそこで押し留めようと、自らの眷属の軍団を終結させていたのだ。
すると、魔王宮の方から1000年前魔王ザラの最強の精神感応の力が放たれた。
自分達の眷属の軍団は、その影響を受けてぞろぞろと魔王宮に向けて移動し始めた。
強い力をもつ炎人バーン、魔神グリゲイド、竜人ドランも精神感応の力に逆らうことがとても難しかったが、やっとのことでその場に留まっていた。
バーンが、グリゲイドとドランに言った。
「1000年魔王となられたザラ様の力は予想をはるかに超えている。ドラン、魔界のこのような状況を人間界のランスロ殿に伝えてくれ。グリゲイド、申し訳ないがこの場で、私と2人で大侵攻の軍団をできる限り押さえ留めるのを手伝ってくれ。」
ドランが不服そうに言った。
「バーン様、私もグリゲイド様と同じようにここにおります。」
「私達より若いおまえは生き残り、魔族と人間のすばらしい未来のために尽くしてくれ。」
バーンは強い口調でドランを説得した。
「深いお心に私は従います。」
ドランは2人に深く一礼すると、人間界への連結空間を作り、そこから姿を消した。
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