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大盤振る舞い!お金投げ捨て祭り!

「このお金がボンボンと私に振り込んでくる異常事態。あなたたちの仕業なんですね。」


 ビシッとカテリーナさんに指を指すと、彼女は勝ち誇ったように胸を張ります。


「そのとーりっ!これぞ、貴方がエビルス様から受け取ったご加護。グレイススキル【億万長者ビリオンダラー】なのですっ!」


「やめてください。」


「なぜぇっ!?」

 

 私が迷惑そうに返答すると、彼女はとっさに驚きを隠さず詰め寄ってきました。

 

「いや、迷惑なんですよ⋯こんなにお金入りませんし、もう私はお金に振り回される生活はごめんなんです。」


「でもでも⋯!こんなにお金に愛される人生はありえないのですよ?みんなが一度でもいいから体験したい最高の生活!それを手放そうとするなんて⋯」


「貴方には分からないでしょうね。ですがそういう人もいるのです。」


 私は淡々と彼女に説明しますが、聞く耳を持ってくれません。


「ですが、もう無理なのです。これはあなたのさだめ。運命なのですっ!」


「⋯はぁ。しょうがないですねぇ⋯」


「わかってくださいましたか!さぁ、あなたのバラ色の生活が始まりますよぉ!」


 目をキラキラさせながら私をみるカテリーナさんを放っておいて、パンパンになっている部屋の片隅へ近づきます。


 クローゼットから大量の金銀財宝を、大きなリュックのなかに詰め込むことにしました。


「ようやく使う気になったのですね⋯おいしい料理!美容エステ!土地!家!バカンスっ!なにに使われるのか楽しみですっ!」


「そうですか。ふふっ、面白いところですよ。」

 

 ニヤリと笑みをこぼして、私は両親にバレないように外出を始めました。

 

___________________________


 ―貿易都市ライアットヒルズ― 


 私の住んでいるエルフの森、ウッドフィールドから歩いて1時間のところに、このライアットヒルズはあります。


 私の住んでいる国、ダスピラルド、第二の都市にして、貿易の要。


 日本で言うところの、大阪のような場所でしょうか。


 商人たちが行き来している、活気のある土地です。


「いやぁ⋯活気があっていい街ですねぇ⋯ミハル様はよくこちらへ来られるのですか?」


「お友達と遊びに来ることはありますよ。まぁ、あまり多くはないですけど。」

 

「ここならお金をいくら使っても、有り余るほどの娯楽がありそうですねぇ!」


 グイグイと頬に頭をグリグリ当ててくる彼女を、手で制しながら答えます。このちっこいの⋯相当鬱陶しいですね⋯


「⋯そうですね。ですが、今日は遊びに来たのではないのです。」


「?⋯といいますと?」


「ふっふっふっ⋯このお金を、捨てに来たのです!」


「な、なんですとぉっ!?」


「いいリアクションありがとうございます。」


 彼女が小さい体で私の周りを、ブンブンと飛び回ります。


「お金を捨てるなんてぇ⋯なんて勿体ないことを⋯」  


「わかっています。ですが仕方がないじゃないですか。私がどんなに拒んでも降りかかってしまうのですから。」


「でも⋯でも⋯」 


「しかし、ただ捨てるのは周りの人に迷惑です。ここはドーンとスッカラカンになる場所に行きましょう。っとその前に⋯」


 私は近くの土産物屋に立ち寄り、フード付きのマントを購入します。


「これなら顔も見られませんし⋯よし、行きます。」


 夕暮れから夜に移り変わる黄昏時に、ごった返す市場の中をズンズンと歩いていきました。


___________________________


 男たちの怒声、むせかえるようなタバコ匂い、汚らしい金の音。子供が絶対に入れないような場所に、今立っています。


「こ、ここはまさか⋯」

 

「そう⋯カジノです!」  

 

 私の持っているお金の全てをチップに変換しながら、カテリーナさんに言い放ちます。


 この間家族でこの街に来た時に、お父さんが教えてくれました。「絶対に入ってはいけないよ!」と、そのときは言われてしまいましたが。


 「ここで盛大に負ければ、金なんていくらでも減ってくれるでしょう⋯!ふっふっ、神様の呪いなんて容易いものです。」  


「スキルです!グレイススキル!」


「グレイスぅ⋯?こんなのを神のご加護なんて言いません!」


 まず、目についたルーレットに近づきます。


「全額こちらにかけます!この0番に!!」


「えっ⋯!?お客様⋯よろしいのですか?」


「もちろんです!さぁ、こいこいこい!」

 

 私は両手を胸の前で組んで、強く願います。


 『はずれろ!!』


___________________________


「⋯なぜですかぁ⋯なぜなぜなぜぇ⋯!!」


「⋯だから言ってるではないですか。」


 私がかけたチップは、恐らく神の呪いによって37分の1の確率をくぐり抜け、36倍の金額が戻ってきた。


 メイズは日本円とほぼ同じレートだから、ざっと計算して合計は、5000万円ほど⋯


「あなたが何をしてもお金は戻ってきます。それを回避することなんて、不可能なんです。」


「うぅ⋯諦めませんっ!」


「ま、待ってくださいミハル様ぁ!」


「うおおおおっ!!大負けしてやりますよぉっ!!」


 私はこの勝負に絶対に負けてみせるっ!


 バカラ、ポーカー、ブラックジャックに、ドッグレース。手当り次第賭けまくった。大破産を目指して⋯!

ご精読ありがとうございます。

ご感想、お待ちしております。

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