表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/149

第十四話

 今日も順調に軽食販売は進んでいる。肉がトロトロになるまで煮込まれたビーフシチューは客の反応も良い。

 このまま行けば昨日の売り上げも超えるかもしれない。そう4人が考え始めた頃、それは起こった。


 一人の男がやって来て、この店で透明なグラスを販売していると言うのは本当か?と訪ねてきた。男は貴族らしい豪華な服装をしていた。どうやら色々な商会に声を掛けて、レイモンド商会に辿り着き、そこでこの店を知ったらしい。

 すぐにアトマスが対応に付く。アトマスに任せて置けば大丈夫だろうと、他の3人は軽食販売を続ける。

 数分後、アトマスが困った顔でユーリを呼びに来た。どうやらトラブルらしい。ユーリは一旦軽食販売を停止して、店内に急ぐ。


「どうしました。アトマスさん。」


「いや、こちらの貴族様が、ここに並んでいる全てのグラスが欲しいとおっしゃられまして。」


 どうやら貴族は店のグラスを買い占めて他の貴族に売らせない様にしたいらしい。所謂独り占めだ。

 ユーリはこう言う事もあるだろうと想定していたので冷静だ。


「貴族様。グラスは1個銀貨2枚です。ここには100個のグラスが展示されていますが、全部お買い上げとなると銀貨200枚、金貨20枚になりますが、よろしいのですか?」


「私を誰だと思っている。ゴート子爵だぞ。金貨20枚なぞはした金だ。」


「これは、子爵様でしたか。失礼しました。」


 ユーリはあくまでも下手に出る。ユーリの家は伯爵なので、父上の名前を出せば簡単に事は収められる。しかし、それは出来ない。


「子爵様。買占めは良くないと思いませんか?」


「平民が、私に意見するつもりか?子爵家に使って貰えれば、グラスの価値も上がるのでは無いか?」


 ゴート子爵はあくまでも全部グラスを持って行くつもりらしい。


「いえ、そうではありません。実は30分程前に、侯爵様がいらっしゃいまして。ここにあるグラス全てを予約していったのです。後で使用人の方が取りに来るそうです。つまり、ここに並んでるグラスは全て侯爵様の物で、商品では無いのです。」


「こ、侯爵だと・・・」


「そうなんですよ。子爵様、買占めは良くないと思いませんか?」


「そ、そうだな・・・」


 急にゴート子爵が大人しくなる。今が畳みかけるチャンスだ。ユーリは作戦が成功した事を悟った。


「ですよね。でも、大丈夫です。ちょっと待ってて下さい。」


 そう言うとユーリは事務所へ向かいすぐに戻ってくる。手にはトートバッグを持っている。


「これをお持ち下さい。」


「こ、これは?」


「このバッグはマジックバッグになっています。中には、ここに並んでいるのとまったく同じグラスが100個入っています。」


「なんと、つまり、グラスが手に入ると言う事か?」


 実は時間稼ぎをしている間に、ユーリは魔法で準備していたのである。


「はい、金貨20枚になります。ただ、そのマジックバッグは使い捨てですので24時間で魔法の効果が切れます。お屋敷に着いたら中身は全て出して下さいね。」


「ああ、分かった。感謝する。」


「こちらこそ、お買い上げありがとうございます。」


 そう言って後はアトマスに任せ軽食販売へ戻る。こうして買占め騒動は無事収まったのである。買占め防止の為に個数制限とか必要か後でアトマスと話し合おう。


 10分程度の停滞で軽食販売は再開された。大した混乱も無く、お客さんは列に並んでいてくれたようだ。お客さんに感謝だ。


 この日も売り上げは約銅貨30000枚、日本円で約300万円。それにグラスの売り上げが金貨20枚。日本円で約200万円。併せて金貨50枚分、実に500万円の売り上げだ。心なしかアトマスさんが嬉しそうに見える。グラスが売れたのが嬉しかったのだろうか?

 その後、アトマスに綺麗な鏡を見せて、売れるかどうか相談してみる。


「凄いですね。レイモンド商会でも鏡は扱ってますが、これ程綺麗に映る鏡は初めて見ます。これは絶対売れますよ。」


「アトマスさんなら、この位の大きさで幾ら位の値段を付けますか?」


 そう言ってユーリは30センチ×25センチ程度の装飾の無い鏡をテーブルに出す。そして、もう一枚、同じ大きさで豪華な飾り縁を付けたものも出してみる。


「そうですねぇ。飾りの無い物で銀貨5枚。飾り付きは貴族用として金貨1枚って所ですかね。」


「アトマスさんの目利きは信じてますので、それで行きましょう。悪いんですが、早速これを特許登録して来て貰えませんか?僕は、その間にショーウインドウを作って置きます。」


「構いませんが、ショーウインドウってなんですか?」


「透明なガラスで囲った見本商品の展示場所です。店舗に半分埋め込む形で作りますので外を通る人から商品が見えるので客寄せになると思います。」


「それは良いですね。是非お願いします。では、私はギルドへ行ってきます。」


 ユーリは店員2人に休む様に言ってから作業に入る。作業と言っても魔法でチャチャっと終わらせるのだが・・・

 そう言えば、店員を増やす話はどうなってるんだろう?アトマスさんが帰ったら聞かないとな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ