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40.聖女の宿命、勇者の使命

約6800字です。いよいよ、5月16日が、今回で終わります。長かった。

面倒な方は、ジャ~ンプ!で。

5月16日(土)つづき


40-1.勇者の特徴


 今夜、ブリジット家では、アニーも交えて、俺のお別れパーティが開かれていた。

戸外にあるトイレで小用を済ませた俺は、井戸で手を洗うと、ついでに水筒に水を汲み直す。食堂に戻ると、ちょうどブリジットさんの声が聞こえてきた。


「そうなると、話の真偽に関係なく、勇者が降臨したという話になるな」


「真偽に関係なくって、どういうことですか?」


 俺が、驚いて訊ねるとブリジットさんは、俺に顔を向け、話を続けた。


「カーク教会では、査察の期間中は、是非にでも勇者の話題で持ち切りにしたい。

 そこで、今回流した噂の真偽に関係なく勇者降臨の兆しだと断定すると言う事だ。

 どんな小さな情報でも詳しく調査すれば、勇者候補の一人位は、見つかるはずだ」


 ブリジットさんは、一旦話を切ると手元のワインで口を潤し、更に続けた。


「そうすれば、自分たちの教区に『勇者が現れた』ことになり、箔もつく。

 それに、仮に査察の件が、後に発覚しても、その時に彼を勇者として祭り上げ

 れば、カークの民に対して、絶好の名誉挽回の手段となるはずだ」


「でっち上げる可能性もあるっていう事ですか?」


 俺がそう尋ねると、ブリジットさんは頷き、俺は何とも不安な気持ちになった。

そんな中、スノーさんが茶化すように言ってきた。


「じゃあ、リュウくんは気をつけた方がいいわよ。

 教会関係者でもないのに神聖魔法が再現できるってポイント高いわよ」


「え~!? そんなの困りますよ。アニー何とかならないのか?」


 俺が、すがる様な目でアニーを見ると。


「それじゃ、一緒に王都に行く? 査察は、予定だとあと8日は続くわ。

 多分、それが終われば、勇者探しも落ち着くはずだから、最長でも今月末まで

 王都にいれば、大丈夫なはずよ」


 アニーは、笑いながらそう言っているが、ちょっと期待含みな目をしている気がするのは、俺の考え過ぎか?


「もし、その気があるなら、私の実家に泊まれるように紹介状を書いてもいいぞ」


 ブリジットさんのありがたい申し出があったので、もしもの保険に頼んでおいた。

しかし、月曜までは、ボロダー商店の依頼がある。俺のためにわざわざ延長してくれた依頼を投げ出したくはない。アニーと一緒に行くのは、どの道無理な話だった。


 それに王都行きは、実力的に時期尚早だし、金銭面からも、もう少し余裕が欲しいところだ。王都では、一通り装備も整えたい。


「ブリジットさん、誰が見ても分かる勇者の外見的特長と言うのはあるんですか?」


 要は、俺にそういう特徴がなければ、神聖魔法をしばらく封印すれば済む話だ。

隠し称号が見える人材がカーク教会にそんなに都合よく居るとも思えない。


「そうだな、まずメジャーな所で、左右の瞳の色が違うオッドアイ。

 マイナーではあるが、翠色の瞳だな」


 ブリジットさんは、少し考えてから、そう教えてくれた。


「ご主人、確かもう1つありませんでしたか?」


「あれは、建国神話の話だからね。教会としては、候補に入れ難いと思うよ」


「確かに、そうですね」


 ブリジットさんとアニーのマニアックな会話を聞きながら、俺は、瞳の色と言うよく分からない勇者の特徴を不思議に思い訊ねてみた。


「実際、オッドアイの勇者が過去に幾人かいるのさ、もっとも勇者だから

 オッドアイだったのか、オッドアイだから勇者にされたのかはわからないがね。

 まあ、オッドアイに生れると何かと大変な目に会うのは確かだよ」


(ありがとう! エルエル、あの時の俺を止めてくれて)

 俺は心の中で、遥か彼方の天界にいるエルエルに深く感謝した。


「それから翠色の瞳だが、何も勇者だけの瞳の色と言う訳ではないんだよ。

 この色の瞳は、神より使命を授かりし者という伝承があるんだ。

 その使命が勇者のそれなら、勇者という事になるだろう?」


 ブリジットさんは、分かり難い説明をした。


「そうすると、翠色の瞳の者が必ずしも勇者とは限りませんが、

 何かの使命を神さまから授かっている可能性があると言うのですね」


 納得したようにアニーがそう言うと、ブリジットさんは頷いた。


「でも、リュウイチの瞳の色ってあんまり見ない濃い翠色ですよね。

 大丈夫なのかしら?」


 アニーが心配そうに呟いている。アニーの呟きを聞いたブリジットさんは……。


「リュウイチの場合は、濃いし、翠色は知る人ぞ知る特徴だから多分大丈夫だろう」


 ブリジットさんがそう言うなら大丈夫なはずだ。


「そうそう、だって、リュウくんの使命は、お嫁さん探しだもん」


 スノーさんが、そう言うとアニーは、心の中の複雑な想いが顔に出たようだ。

一方、瞳の色も嫁――ミヨコ探しも、神から授かった物ではなく、すべてが、

俺の願望に過ぎない。それを唯一人知る俺は、アニー以上に複雑な想いだった。




40-2.聖女の宿命、勇者の使命


 俺は、気分を変えるために、少し基本的な質問をしてみた。


「ブリジットさん、勇者って一体何をやるんですか?

 やっぱり魔王と戦って、平和をもたらす者なんですか?」


「聖女さまが、現れた所を見ると今回の勇者は、それが使命なのかも知れないな。

 でも、私は、世の中の固定観念や悪しき風習などを、しがらみに囚われずに

 一遍に破壊できる者が本来の勇者だと思うよ」


 固定観念を壊すって、前衛芸術みたいなやつか?

確かストリーキングもこれに入るんだけ?


 それに元の世界でも、誰もやらないことや、やれないことをする者を『勇者』って呼んでたけど、前に『ある意味』とか後ろに『(笑)』とか付く類の勇者だった。

そんな勇者は、俺のイメージとちょっと違う。それよりも……。


「聖女さまが現れた事と魔王には、どんな関係があるんですか?」


 結び付きそうもない2つの事柄が、なぜ結びつくのか、俺は不思議に思った。


「魔王を封印する事が聖女の宿命であり、それを助ける事が勇者の使命になる」


 ブリジットさんの話は、聖女や勇者に抱いていた俺のイメージとは、全く異なっていた。


「封印と言うのは? 『助ける』って勇者は何をするんですか?」


 ブリジットさんが、話してくれたのは、前にエルエルに聞いた封印術の話だった。

聖女は、神聖力や加護の力を使って、自らの身体を依り代にして、魔王を封印する。

その際、聖女は、生命活動がほぼ停止し、石の彫像のように直立不動の状態になる。


 何十年も、そのままの状態でいるが、少しずつ灰化して、ある時、その彫像が

一気に形を失い、完全に灰になった時、聖女も魔王も死んでしまうと言われている。

一方勇者は、聖女が封印の儀式をする間、魔王と戦い力を削ぐ役割をするらしい。


「どうして、若い娘1人に世界の命運を肩代わりさせるんですか?

 皆が力を合わせて勇者と共に魔王を滅ぼそうとしないんですか?

 そうすれば、封印なんてしなくても済むじゃないですか?」


 俺が、思わずそう叫ぶと、俺の話に3人は顔を見合わせた。


「それは、無理な話だな。

 使命を授かった聖女や勇者と肩を並べて戦えるような者は、そうはいないんだよ」


ブリジットさんが残念そうに言う。


「多くの人が、加護の力によって、大きな力を授かっているじゃありませんか?

 レベル10のアーツは、見たことないですけど、すごいんでしょ?」


「確かにすごいらしいわ。でも、スキルレベル10の人なんて聞いたこともないわ」


 アニーは、そんな人がいるもんか、ヤレヤレという感じで俺を見る。

俺は、ちょっと悔しかったので、身近な具体例を出してみた。


「アニー、ギルドの職業訓練講師のネルネさんは、算術レベル9だって言ってたぞ」


「ああ、算術の天才ネルネ女氏のことだな。

 リュウイチ、算術を覚える気なら絶対に彼女から教わるんだぞ」


 ブリジットさんは、力説した。


「ネルネさんは、孤児院の子供たちの憧れよ」


 確かにネルネさんも孤児のはずだが、そこまでとは。

すると、スノーさんまで、会話に加わってきて、


「リュウくん、彼女の生徒は、王都のお役人の中にもいるぐらいなの。

 それに、私も前に教わったことがあるのよ」


「レベル9でその扱い? レベル10の人は一体どうなっちゃうんですか?

 アニー、教会には、神聖魔法のスキルがレベル10の人もいるんだろう?」


「さっき、言ったでしょう? そんな人、見たことの聞いたこともないわ。

 聖女さまだって、そんなレベルじゃないはずよ」


 じゃあ、俺はどうなるんだよ? そっか、スーリンが言ってたな、Pスキルではアーツが使えないから意味がないって。


 俺は、実力からして、勇者ではないし、勇者になりたいとも思わないが、二人の人間にその他大勢の幸せをすべて背負わせ、知らない振りをする事は出来なかった。

何か出来ることがあれば手伝いたいと、心から思った。


「リュウイチは、聖女を助ける勇者にはなれないかもしれないが、

 私が言った本来の勇者の使命である固定観念や悪しき習慣の破壊するという

 面では、すでに勇者だな」


 思わず俺は、裸で走り回って、憲兵に追いかけられる自分を想像して、その映像を記憶の奥深く封印した。ブリジットさんは、真剣な口調で続ける。


「私は、固定観念として、魔王は聖女によって封印される物と決めつけていたよ。

 本来は、自分たちで、解決できなかった場合の最後の拠り所が、神が用意された

 聖女と勇者であったはずが、最初からそれに頼り切っていたようだ」


「確かに、そうねぇ」


「リュウイチ、私、何だか目から鱗が落ちた気がするわ」


 ブリジットさんは、もちろん、スノーさんやアニーまで、何かの天恵でもあったかのような清清しい顔をしていた。しかし、俺は、俺自身が偽者だと知っている。


「勇者と言われても、俺は、弱いですし、大層な事ができるわけでもありません。

 オッドアイだけのニセ勇者と同じような物です」


「リュウイチのような考え方をする者が、多いのも確かだが、本来は少し違う。

 仮にオッドアイの一般人だろうと、多くの民衆が彼を勇者と信じて、

 そう呼んだ時から、彼は勇者なんだよ。そして、後は、彼の行動に力が宿る」


 つまり、隠しでも仮称でも称号を持つ俺は、既に勇者で、その行動によっては力を得ることが出来ると? まさか、加護もない俺がどうやって力を得ると言うのか?

俺は、自分の現状とに大きなギャップを感じ、もはや苦笑いをするしかなかった。


「だが、教会が公然の秘密として、適当にでっち上げた勇者では、無理だろうな」


 ブリジットさんの言葉通りなら、皮肉にも、俺はこっちの勇者に近いようだ。




40-3.アイテムバッグの使い道


 しばらく続いた沈黙も、スノーさんが、俺の腰に巻いたウエストバッグを目敏く見つけたことで終わりになった。


「ねぇ、ねぇ、リュウくん、その腰のウエストバッグ、どうしたの?

 なかなかいいわね」


 ボロダーさんからお礼として貰ったアイテムバッグのことだった。


「はい。実は、助けたお礼にと贈られたアイテムバッグなんですよ」


「へ~、リュウイチにしてはセンスがいいと思ったけど、頂き物だったの」


 アニー幾らなんでも酷いぞ。ブリジットさんも感心したように言う。


「アイテムバッグをポンと渡して来るとは、相当感謝されているんだな」


「魔力量に応じて、サイズが決まるそうなんですが、訳有の品らしくて、

 基本容量が小さいらしいです。今の所、サイフ代わりといった感じですね」


 会話をしながら、バッグに手を入れ、硬貨を出そうとしたが、底に手が届かない。

俺は、改めて自分の目でバッグの中を覗き込んだ。


「あれ?! バッグの底が見えない……」


 驚いて声を上げると、全員が寄って来て中を覗き込む。


「「「本当だ!」」」


「これは、かなり大きいようだな。

 リュウイチ、取りあえず取り出したいものを思い浮かべてみるんだ」


 ブリジットさんのアドバイスに従って、銅貨を思い浮かべると取出口の位置が移動したのか、何かに手が当たった。取り出してみると確かに銅貨だった。


「ブリジットさん、無事取りだせました」


 俺は、今取り出したばかりの銅貨を掲げながら報告した。


「故障している訳では、ないようだな。

 リュウイチ、設定の項目から最大重量がわからないか?」


「やってみます。……『生…・…麦・……ご……』 え~と、文字化けしてる?」


 よく見ると数字以外の文字が、数字として表示されているようだ。

そのため、実際の正確な数値は、わかりそうにもなかった。


「表示の桁数は、5桁か?……「はい」…じゃあ、99999kg――

 約100t以上だから、容量は、最低でも10立方mだな。

 上流貴族の家宝級の性能という事になるぞ」


 俺は、男児の憧れ、100t積みのダンプトラックを思い浮かべた。


「ブリジットさん、流石にそれは、ないでしょう?

 俺の魔力なんて、たった15ですよ」


「リュウイチ、この場合あれこれ考えなくても、目の前に現物があるんだ。

 調べれば分かることさ」


 まあ、確かにブリジットさんの言う通りではある。

でも、家宝級の物を持っているとなると小心者の俺は落ち着かない。


「リュウイチ、まず使用者を限定するべきだな」


 俺は、ブリジットさんの言う通り、取り敢えずアイテムバッグの使用者を俺だけに限定した。これで合言葉を知らない限り、アイテムバッグから物を出し入れできるのは、俺だけになった。ブリジットさんからの助言が続く。


「あとは、リュックをサブバッグに設定して、普段はそっちを使った方がいい。

 仮に、盗まれても、ウエストバッグが無事なら、またサブバッグを作れる」


 サブバッグとは、アイテムバッグの一部を共有、または占有する事でアイテムバッグと同様の機能を持たせた物入れのことだ。サブバッグ自体には、物を収容する能力がないため、アイテムバッグとの繋がりを絶てば、普通のバッグに戻る。


 高価なアイテムバッグに対し、サブバッグは、普通の市販のバッグに紋章石を付けるだけで、より安価に作れるという利点があった。


「リュウくん、リュックをこっちへ貸してみて」


 面倒な設定を終えた頃、奥の部屋から戻ってきたスノーさんが、俺に声を掛けた。

どうやら、裁縫箱を持ってきたようだ。俺が、リュックをスノーさんに預けると、どこから調達したのか、サブバッグ用の紋章石を取り出した。


「リュックの蓋の裏でいいわよね?」


「はい。でも、スノーさん、それいいんですか?」


 俺は、紋章石の正確な値段は知らないが、安くないことだけは確実だった。

スノーさんは、手早く紋章石をリュックの蓋の裏に縫い付けてくれた。


「いいの。いいの。私からのプレゼントよ」


 俺は、ありがたくリュックを受け取ると、早速サブバッグの登録をしてみる。

念のためにリュックの中身は、全部出して置いた。


 前以て、ボロダーさんから教わった手順で、サブバッグを登録し、再設定を使って、占有割り当て重量を最大の99999kgとした。

中を覗くと、かなりの広さのサブバッグが出来上がったようだ。


「スノーさん、ありがとうございます。設定が無事出来ました」


「リュウイチ、もう一度、設定可能重量を確認してみなさい」


「……まだ、数字表示にならないみたいです」


「という事は、約200t以上か……」


 スノーさんは、次に女物の小さな肩掛けバッグを出して来て、俺に渡した。


「紋章石は、蓋の裏よ。石のロックは、外してあるから、さっきと同じ手順でね」


 俺は、スノーさんの言葉通りにサブバッグの登録と再設定を行い、占有割り当て重量を99999kgとした。そして、アイテムバッグの設定可能重量を再び確認するが、まだ数字表示にならなかった。


 俺の苦笑いを見たブリジットさんは、つられる様に苦笑いをして話し出す。


「リュウイチ、まあ300t以上入るという事でいいだろう?」


 俺は頷く。ちなみに、300tとなると大貴族の家宝級のものらしい。

スノーさんは、先程設定した女物の小型バッグをアニーの所へ持って行った。


「はい、アニーちゃん。お古だけど、使ってね」


「スノーさん、サブバッグは、アイテムバッグから離れ過ぎると

 本来の性能が出せないって聞いています」


「アニーさん、100tも設定してあれば、王都とカーク間でも手紙程度なら

 余裕で共有できる。非常に贅沢なアイテムバッグの使い方だが」


 ブリジットさんがそう言うとアニーは、そのバッグを受け取り、スノーさんにお礼を言ってから、俺に訊ねてきた。


「リュウイチ、これ預かって行って大丈夫?」


「容量が有り余ってるから、大丈夫だ。ブリジットさん、使い方を教えて下さい」


 俺がそう頼むとブリジットさんは、丁寧に教えてくれた。

封筒の宛先に必ず相手の名前を書き、受け取る際は、自分宛の手紙を思い浮かべて、バッグに手を入れれば、手紙があれば取り出せるらしい。


 手紙を出す際は、アニーの場合は、サブバッグに入れるだけでいいが、俺の場合は、アニーの持っているサブバッグを思い浮かべながら、アイテムバッグに手紙を入れる必要があるそうだ。


 試しに、やってみると結構簡単にできた。

これで、王都に行ったアニーとも連絡を取れるな。


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 まとめ


 え!? 勇者をでっち上げる?

 カーク教会の不名誉の隠蔽のためにそこまでする?

 部外者が、神聖魔法を使えると、候補に挙がるかもって? 俺、やべ~じゃん。


 アニー、ちょっとどうにかならないか。アニーの魅力で俺を助けてくれ。

 一緒に王都へ逃げようって? 愛の逃避行? ちょっとそれは……。


 ブリジットさん、勇者ってどんな格好なんですか?

 アザがあったり、頭髪が緑色だったり、髪型がツンツンしてたりしません?

 第一候補は、オッドアイ? ありがとう、エルエル、あの時の俺を止めてくれて。


 勇者ってやっぱり、魔王退治が、メインの仕事ですか?

 え!? 聖女のお手伝い……、魔王が、聖女に近づかないようにするの?

 単なる時間稼ぎをすればいいって? なんだか、警備員みたいな仕事だな。


 後は、聖女任せなの? じゃあ、勇者と一緒に皆で魔王と戦った方がよくねえ?

 若い娘に丸投げじゃ、カッコ悪いだろう? だよね? やっぱりカッコ悪いよ。


 へ!? そう言う事を言える奴を勇者って言うって?

 ブリジットさん、ご冗談を、俺なんてニセ勇者ですよ。

 言われたもん勝ち? 言われちゃえば、力が付くって、それは、盛り過ぎ!


 スノーさん、このウエストバッグですか?

 ちょっと、もらい物でして、あんまり入らないんですが、お礼にもらったんです。

 ほら、手を入れると、すぐ底が、底が……ない、底がないよ、これ!


 100t以上入る? ウソと言って下さい。心配で夜も眠れません。

 200t以上? もう、片時も目を離せない……。

 300t以上……、ふっ、俺はサトリを開いたぜ。


 ほら、アニー、このサブバッグ持っとけ、これで、俺たちは、ペンパルだ。


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