オーラス8本場:終局
(……終わった、か)
白夜は心の中で呟く。
中原みなみの「十三不塔」で全ての決着がついた。
「ふっざけんなぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!!!!!!!! そんな手が成立するわけないだとぉがぁぁぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
「……一言一句、妹さんと一緒なんですね。情けない。あなたは負けたんです」
「一色字美さん。あなたの負けです。それも完膚なきまでに。実力では俺に負け、運ではみなみに負ける。若さでもここにいる誰一人にも勝てない。もう、あなたが勝てるものはないんですよ」
それは冷徹な死刑宣告。
その軍星の指摘に対して、何かの糸が切れたかのように突如立ち上がるといずこかへと絶叫しながら走り去る。
数秒後にトラックの急ブレーキ音と、48kg程度の骨付き肉を地面にたたきつけるような音が聞こえてきた。
おそらく、トラックに轢かれて死んだのであろう。
もはや確かめに行く気にもならない軍星はタバコを吸おうとして、学校であることを思いだし胸ポケットにしまい込む。
「……顧問が死んだかもしれないので、これで失礼致します」
相手校の田中とか言う生徒がそう言い残し、一色が連れてきた部員たちが去っていく。
白夜は最低限の礼儀として警察の手配をし、大人としての務めを済ませる。
新しい未来へ歩を進めるために。
――――
「私を彼女にしてください」
「断る」
中原みなみは六道軍星へ交際を申し込む。
腰まであるつややかな金髪に豊かな胸。
うっすらと化粧をして、その美貌を際立たせている。
こんな女性に交際を申し込まれて断れる人間は、そういないであろう。
ただ、ここに一人いたが。
「俺とお前は先生と生徒。 せっかく定職に就いたのに、仕事を失いたくないです」
六道軍星は白髪の交じった髪を黒に染め、くたびれたスーツを新調した。
その見た目は以前からは信じられないほど清潔感にあふれており、あえてストレートな表現を刷るのであれば「モテそう」という言葉が似合う容姿に様変わりしていた。
「……なら、軍星さん勝負しましょう」
「勝負?」
「ええ」
そして、中原は一言。
「わたしが勝ったら、軍星さんの彼女にしてください。私が負けたら、私の彼氏になってください」
軍星はその提案に頭を掻きながら、ため息をつく。
「その提案は今は受けられないな」
そう言うと、中原の顎に手をかけその唇を自らの唇で塞ぐ。
そのまま、数分がたち二人の顔が離れる。
「お前が卒業したら、その勝負受けてやる」
「……待っててくださいね。絶対勝ちますから!」
「……舐めるな。俺が勝つさ」
寒い冬が終わり、春が訪れようとしていた。
(了)
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