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オーラス4本場:指摘する中原

「ロン」


 だが、それでも一色の勢いは止まらなかった。

 先まで使用していた黒牌と白牌ではなく、竹牌であるためさすがに余剰牌はない。

 故に手役自体は安くなっている。

 それでも、聴牌から和了までが普通の早さより少し早くなった程度。

 この状況においてもイカサマをしているのは確か。


(おかしい)


 だが、それでも中原はその正体に気がつきつつあった。

 おそらく、白夜も気がついているであろう。

 しかし白夜は指摘しない。

 熟練者である白夜にバレるのは字美とて認識している。同じイカサマが今日までバレなかったとしても、次の一瞬ではバレるというのは当然ながらあり得る。


(さっきまで手牌に入っていた牌が、いつの間にか牌山に戻っている)


 そして、そういった人間を崩すには「格下」の人間に指摘させるのが一番効く。

 故に白夜は中原みなみを信じ、すべてを託した。


(って事は、やってるイカサマがわかったかもしれない。後は、現場を抑えるだけっ!)


 イカサマは現行犯逮捕しなければ意味がない。

 でなければ「勘違いでしょ? ふざけないで」と言われてしまう。

 証明の出来ないイカサマの指摘は無意味である。


(いつ来る……)


 中原は牙を研ぎ待つ。

 もちろん、自身の手を進めるのも忘れない。

 そして、数巡。


(来たっ! 今っ!!)


 河に牌を捨てようとした一色字美の手を、折る位のつもりで思いっきり叩く。

 あまりの痛みで一色字美はつかんでいた牌を落としてしまう。

 その牌の数は2枚。


「何で河に捨てようという場面で、牌を2枚持っているんですか? 説明できないならイカサマって事で良いですよね」


 圧をかける中原。

 麻雀において複数の牌を同時に持つことは、配牌を行うときとボンやカンやチーなどで牌をさらすとき。

 少なくても不要な牌を河に捨てるという場面で、牌を複数枚持つことはあり得ない。

 そのあり得ない事が起きたと言うことは、あり得ない事が行われている証左。

 すなわち――イカサマである。


「……一色、言い逃れられるなら言い逃れてみろ。最もこの衆人環視で証拠を抑えられている状況で出来るのなら、な」

「……ぐっ」


 よく「ぐうの音も出ない」という言葉は聞くが、「ぐっ」という音は出たようである。

 イカサマはバレなければ技術かもしれないが、バレてしまえばただの間抜けである。

 軍星がかつて生きてきた裏の世界であれば、それだけで二度と麻雀を打てない身体にされることもありうる危険な行為。

 故に、皆自信のあるものしか行わない。

 それを見破られた。

 すなわち、その手の内をすべて見破られたに等しい。


(ぐっ、なんとか言い逃れをしないと、沽券に関わる……。 しかも、単なる女子高校生に見破られたとなったら、終わる)


 一色字美は2秒で考える。

 そして、自分勝手な結論を出す。


「……あらぁ、あんたにぶっ叩かれたから、たまたま手の中に飛び散った牌が 」

「そんなわけ無いだろ。 諦めろ、お前の負けだ」

「……なんか往生際が悪いのって見苦しいんですね。 何をやったところで、あなたの負けです。 諦めてください、一色字美!」


 一喝する中原みなみ。

 その姿を見て、一色字美は恐怖を感じていた。


(なんで、こんなのまるで、舞先輩みたいじゃ……)


 一色字美の心は折れそうになっていた。

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