表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

48/53

オーラス3本場:あの日の雀牌

充電完了したので、更新していきます。

「で、軍星様。牌交換ですか? 別にかまわないですけど。そんなこと程度で私を倒せると思ってるんですか?」


 一転して落ち着きを取り戻したらしく、口調が丁寧なものに戻った一色字美。

 それを意図的に無視して軍星は二組の麻雀牌を取り出す。

 傷が入り、所々赤黒くシミがついている牌。


「何、ガン牌ですか? ずいぶんと情けないですね。軍星様ともあろうものが」


 ガン牌というのは麻雀牌に傷や印をつけることによって、どの牌が何処にあるかを把握するイカサマである。

 麻雀牌136枚が透けて見えるも同然なので、軍星のような熟練者であれば容易に状況を把握できる。

 だが、一色字美とて熟練者。

 数局は耐えられるかもしれないが、どの牌にどのような印がついているかを把握してしまうであろう。

 そうなれば、結局有利不利は溶けて消える。


「……お前ごときに、この牌は使いたくなかったけどな」


 ()()は自嘲めいた笑みとともにつぶやく。


「お前には地獄など生ぬるい。無間地獄に落とす」

「軍星様。だから、その程度でこの私を倒せるとお思いですか? ずいぶんと私も舐められたものですね」


 一色字美には勝算があった。

 かつて茂索の元でともに麻雀を打っていたときから度々使ってきた牌の入れ替え。そしてもう一つのイカサマ。

 今日までそれが見破られたことがなかった。

 たとえイカサマを指摘されたとしても、言い逃れるだけの自信がある。

 そうして、今日まで裏の世界で生き残ってきたから。

 一色字美という女はそう言う女である。


「どっちの組も竹牌だ。だからよく血が染みこんだ。あの日、あの時の……」


 そう言うと、()()は自らの頬を叩く。

 気合いを入れるかのように。

 後悔を振り切るかのように。

 そして、敵の一人を殺す覚悟を決めるように。


「舞の血がな」


 その言葉で空気が凍り付く。

 あの日、白崎舞が死んだ日。

 あの日、一色清美が無駄な和了で舞を殺した日。

 あの日、一色字美が一色字美に実行させた無意味な和了をした日。

 その日に使われていた麻雀牌、272枚二組。

 軍星(びゃくや)はその牌を用いる。

 一色字美を殺すために。


 今、殺意に彩られた対局が始まろうとしていた。

恐れ入りますが、作品の評価をお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ