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オーラス2本場:苦悩する中原

 控え室にて部活メンバーが対局の様子を振り返る。


「……軍生さん、私ダメダメでしたね」


 一色字美の行っているであろうイカサマの前に手も足も出ない中原みなみ。

 無理もない。

 相手は一色字美。

 裏世界で生きてきた白夜や、白崎舞の先輩に当たる。

 麻雀の腕前自体はさほどではないが、イカサマの腕は抜群。

 茂索も「イカサマをしてもよいというルール」の際は最優先で起用していた。

 月並みな言い方になってしまうが、「実戦経験」というものがまるで違う。


「……みなみ、もうわかってるとは思うがあいつはイカサマをしている。それを指摘しろ。今のルールであればイカサマを指摘された場合は役満払いだ。それで一度奴をトバせ」

「……私に出来るんですか?」


 先の戦いですっかり自信を無くしている。

 だからこそ白夜は檄をとばす。


「……俺が指摘したとしても、あいつの心は折れない。『格下』とみているお前に指摘されてこそ意味がある。これは、お前にしか出来ないことなんだ」

「……わかりました、やってみます。3局ください。()()()把握して見せます」

「……あぁ、そうだ。鈴木、ここまでの対局データをお前取ってたよな? 見せてもらえるか?」


 鈴木から大学ノートに書かれた対局の模様を受け取る。

 3巡目には聴牌。

 それから、1~2巡後には和了ってしまう。

 この「異常」といえる早さ。そこからイカサマをしていることは明白である。

 故に、そのイカサマの手段を解析することが出来れば……。


「……純ちゃんが拉致されたときの持ち込み牌? でも、あれは妹の方がやっていて、姉の方はやっていなかったはず。なら、一体」

「……そんなショボい方法はあいつは取らないだろ。だけど、異常な高速和了。確実にイカサマをしているはずなんだ」


 とそこで、


「あ゛? なんだこれ?」


 河下が何かに気がつく。


「どうした? 河下?」

「どーしたもこーしたもねーよ。さっきの中原パイセンが振り込んだときの手。同じ牌が8枚あるじゃねーか。余剰牌をどっかから持ってきてんだよ! その前の対局も6枚同じ牌がないと成立しねー」


 部の対抗戦ということで録画したデータを見直していた河下更江が指摘する。

 見ると確かに相手の男子部員の手牌に4枚同じ牌がある。

 それと同じものが字美の手にも。

 すなわち、一色清美と同じ余剰牌。

 ただ、いつ入れ替えているのかが全くわからない。


「……新品の牌を使ったのが徒になったか」


 部活を始めるに当たって、備品として購入した新品の麻雀牌。

 故に、どこかから入れ替えてもわからない。

 麻雀牌など何処でも買うことが出来るから。


「……なら、一つだけ手段があるか。舞、力を貸してくれ」


 軍星が鞄から何かを取り出す。


「軍星さん、それは?」

「あいつのイカサマを潰すための一つの手段だ。舞に力を借りる」

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