オーラス1本場:苦戦する中原
「あはははははははは、『連開花』と『嶺上開花』。それと『立直』。裏は……なし。残念ながら、満貫には届かないかぁ……」
中原みなみは苦戦していた。
それも仕方ないことではある。
普段は採用されない手役が多数。
知識としては知っていても、経験をしたことのないものばかり。
「は、字美。裏が乗らない時点でお前は雑魚なんだよ」
「白夜クン、間違っていますよ。これは、あなたを苦しめるためにワザとなの」
そして、イカサマありというものが中原みなみを苦しめている。
カンをされればドラが乗る。
平均して3巡もすれば聴牌。
超高速の麻雀。
また、中原は交流戦の時から一度も聴牌に至っていない。
麻雀を打っている人間であれば一度は必ず経験したことがあるだろう。
何をしても裏目裏目になってしまう。
絶不調の日が。
「ロン、『鏡同和』よ」
「残念だな字美。頭ハネの1000点」
白夜も馬鹿ではない。
そして自身も経験があるために、絶不調を察する。
(みなみの奴、やばそうだな。なんとか頭ハネして凌いではいるが、このままだとデカい手に振ってしまう可能性が高い。なんとか、なんとか運が自分に向くまで耐えろ)
そんな中原に入る手牌は。
(やった、これならチャンスがある……)
東南西北白發中1筒9筒1索9索1萬5筒
国士無双のイーシャンテン。
絶好のチャンス。
そして、ツモ牌は9萬。
純正国士無双聴牌。
(やっと、チャンスが……)
5筒に手をかける。
と、そこで
(え、ちょっと待って……。今日の私。その運でいける? Fルールならイカサマあり。まさか……。いや、あり得るか……)
故に中原みなみは牌を倒す。
「すみません。流します」
9種9牌。
それに河下更江が疑問を持ち、仲間に問いかける。
「なんで、あいつあの絶好のチャンス手を捨てたんだ? ありえねぇだろ」
「……だからあんたは、今ひとつ強くなりきれないの。あの相手校の顧問。その顔を見ればわかるでしょ? あの手は『送り込まれた』もの。多分、浮いている5筒を切ったらやばかったと思う」
白崎静の指摘はは正鵠を射ている。
一色字美の手は「純正九蓮宝燈の5筒待ち」であった。
すなわち、この「送り込まれた国士無双」の和了へ向かえば役満3発分の点数を失い、トンでいた。
(やるじゃねーか、中原。これは、俺もかっこ悪いところを見せるわけにはいかないな。とはいえ、卓の支配力は今のところ完全に字美にある。ったく、自動卓でどうやって積み込んでるんだか……。なんとか見破らねーとな)
その一方で、中原は安堵していた。
(あっぶな。表情からして結構高い手を盛ってたみたい。下手したら『人和』あたり? とりあえず振らなくてよかった)
だが、その安堵は油断を産む。
「ロン」
(あ、やっちゃった。でも、タンヤオのノミ手で助かった……)
「中原、お前……」
白夜がその字美の手を見て、中原みなみに「お前、やらかしたな」という目線を送る。
「あら~、ごめんなさい。牌の並び方が間違ってましたね。正しく並べ直します」
234萬の順子が3組。それに5萬の刻子。 アタマとして8萬。
それを字美が並び替える。
2萬の刻子、3萬の刻子、4萬の刻子、そして、5萬の刻子。
「『四暗刻単騎待ち』と『四連刻』の3倍役満ね。トビ終了」
中原は絶不調である。
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