南3局0本場:恨みの行方
「……清美はどうした字美?」
麻雀部の部室に4人の満身創痍な男女と一色字美が訪れる。
本来であれば顧問である一色清美が引率するはずだが、そこに居たのは字美。
白夜の疑問はもっともである。
だが、字美の回答は単純明快。
「死にました」
沈黙が場を支配する。
その沈黙を破ったのは、およそ人が発したとは思えないような声。
「……は?」
その声の主は、白崎静。
一色清美に姉である白崎舞を殺されて、その恨みを晴らすために今この場に居る。
目的自体が潰えたと告げられた。
その怒りは、殺意へと変わる。
「……わたしの復讐をお前が奪った?」
だが白夜がその腹を肘で殴り、行動を止める。
「落ち着け白崎。お前がこいつを殺したところで意味はない。こいつの言っていることが真実である保証もない。まぁ、多分真実なんだろうけどな」
「……軍星さん。手、震えてます」
そういうと中原は軍星の痛いほど握りしめられた拳をやさしく包み込む。
「白夜様、残念でしたね。復讐をする相手が居なくなってしまわれて。その顔が見たかったのです。まぁ、いいお顔。とてもイケメンですよ?」
「ちょっといいかな一色顧問。本日は部対抗の交流戦だったはずですよね。人の死んだ生きたはこの際どうでもいいと思いますが」
中原みなみへの異常な愛情を見せる鈴木純。この人間もまた狂っている。
ゆえに、狂人の煽りが効かない。場を鎮める。
「……鈴木の言うとおりだ。清美が死んだなら俺としては復習は終わり。それだけのことだ。白崎も今は抑えてくれ。後で墓を荒らしに行っていいから。俺が許す」
「……あんたも来るの?」
「さぁね」
「あ、あの! あの! よ、よくわからないので、は、はやく、始めませんか? その、じ、じかんもないことですし」
河下更江の言う通り、時間があまりない。
麻雀というのは半荘で1時間程度はかかってしまう。メンバーを変えて何度かやるとしたら1日あったとしても時間が足りるかどうかは微妙。
ゆえに、ここで言い争いをしている時間があるのであれば対局を始めたほうが良い。
「あぁ、河下の言うとおりだ。よし、河下と白崎は卓に着け」
一色字美が連れてきた、佐藤と田中とかいう人間も卓に着く。
その顔には生気がない。
まるで生きた屍。
その状況ではあるが、戦いが始まろうとしていた。
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