南2局8本場:清美の散華
「ロンっ!!!」
「そう、そうよ。もっと、もっとよ!」
「ツモっ!!!」
「あはは、素晴らしいわあなた。どっかのデブとは大違い。優秀ね」
一色清美は自身が所属する組織が買収した学校。その麻雀部で指導を行っていた。
だが、その指導は常軌を逸している。
周囲には爪を剥がされた男女が何人も倒れている。よく見ると、腕や足があらぬ方向に曲がっている者もいる。
恐怖による支配。
それが一色の強さである。
「ふーん、何とか4人は強いのが出てきたかしら? でも、まだ駄目ね」
「あら、清美さん。何をしていらっしゃるのかしら?」
ふらっと現れた一色字美。
その蠱惑的な瞳に見つめられれば、惚れない男はいないだろう。ただし、トゲと猛毒を持つ華ではあるが。
「白夜が教員になっていて、しかも麻雀部の顧問になっていたんです。なので、潰そうかと」
「あら、清美さんにしては珍しく正攻法なのね? 何か変なモノでも食べたのかしら?」
「白夜を潰すのに絡め手を何度も使ってダメでしたので、真正面から行ってみようかと」
「そうなの。ただ、一ついいかしら? 白夜『様』ですよ? 清美さん?」
字美は清美の首を掴んで持ち上げる。
清美の陶磁器のような白い肌が酸素を求めて赤色に変わる。
「清美さんのような男性にだらしない方が、白夜様の名前を軽々しく口に出さないでくださいませんか? 白夜様の品位が下がってしまいますの」
清美のトマトのように染まった顔色が青く変わり始める。
「良いですの清美さん? 白夜様を倒すのは私の役目ですの。あなたは引っ込んでいなさい。いえ、むしろあなたはこの間、完全に格付けが済んでいますわ。きっともう100回やっても、1000回やっても、10000回やっても、あなたは白夜様には勝てない。あら? では、もうあなたの存在価値ってあるのかしら?」
清美の顔色が茄子のような色に変わり、字美の手を引きはがそうとしていた手から力が抜けダラリと垂れさがる。
そのまま、字美は清美を窓の外に投げ捨てる。
ここは3階。
通常であれば大けがで済むかもしれない。
だが、ここは学校であり清美には意識がない。
大きなハンマーでコンクリートブロックを叩き壊した時のような音が聞こえる。
「さて、麻雀部の皆様。これから顧問はこの一色字美が務めます。まずは対抗戦でしたね。頑張りましょう」
人を殺した。それも血を分けた妹を。
にもかかわらず、まるで「午後は雨が降るらしいから傘を持っていこう」くらいの態度。
人間として何か大切なものが欠落しているとしか思えない。
この欠落こそが、字美の「強さ」であり「異常さ」である。
「白夜様。あなたを殺して、はく製にして、永遠に保存して差し上げますわ」
対決の日は近い。
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