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東3局3本場:如何様

(実力は確実にこっちが上だ。みなみも普段通りに打てれば余裕。問題は……イカサマだな)


 実力だけであれば白夜のほうが圧倒的に上である。

 そして中原みなみも普段通り打てれば負けることはないと白夜は考えており、それは間違っていない。

 それほど、一色清美と字美の実力は大したことはない。

 しかし白夜が危惧している通り、イカサマをされた場合はその限りではない。

 イカサマというものは気が付かなければ、ただの技術に過ぎない。

 それが彼ら、彼女らの世界の常識なのである。


「白夜様、ロンでございます。7700点(チッチー)

「1万点棒で、2300の釣りを頼む」


 一見すると落ち着いて打てているように見える。

 だが、その実。白夜は焦っていた。


(クソ、イカサマをされているのは確かだ。だけど、正体がわからない)


 そう、その正体が見破れずにいる。

 彼らのような世界ではイカサマは「現行犯逮捕」でなければならない。

 その瞬間とその証拠を突き付け、確かにイカサマをしたと証明しなければただの言いがかりとなり、その後盆暗と呼ばれかねない。

 イカサマを押さえるというのはそれだけ難しい行為なのだ。


(シゲさんが言ってたが、こういう場面で人間は『成功率の高い』ものしかやらない。普段やらないようなものをやって、失敗してその場を押さえられれば最悪だから)


 白夜自身はイカサマをしない。

 そんなことをする奴は下の下、それ以下だと思っている。

 ゆえに、「自衛」としてイカサマの手段を知っているだけである。

 いわゆる、「防犯のためには泥棒の手口を知らなければならない」という事をギャンブルという場に持ってきたというだけである。


(クソ、こんな事なら舞に持って聞いておくんだったな。俺の小さくてつまらないプライドめっ!!)


 もともとネット麻雀から入った白夜は、イカサマというものに対して耐性が低い。

 ネット麻雀では白夜の実力がずば抜けていたためイカサマをされたところで、それを利用して勝ってしまっていたためである。

 意図的に利用したこともあるし、無意識に利用して勝っていたこともある。

 要するに、今まで一色姉妹に出会うまで「イカサマ」をされたところで関係ない。そのくらいずば抜けて強かったためである。

 そのため確度が高く、上手なイカサマをされてしまうとイカサマを見破ることはできない。

 ゆえに、白夜が勝つための手段はただ一つ。

 イカサマをされても関係ないというレベルで、「誰よりも高い手」で和了る事だけである。

 ある意味で脳筋。ある意味でゴリラ。ある意味で理想ではある。

 しかし、そんなことが出来る人間は稀である。


「ローーーーーンッ!!!!!!!!!!!!!! 白夜の負け―ーーーーーー!!!!!!!!」


 一色清美が牌を倒す。

 その牌は字牌を1枚ずつ。そして、老頭牌を1枚ずつ集め、その中から1枚だけをだぶらせることで成立する4面子1雀頭の例外に当たる手。

 天下無双を意味する名が与えられた手。


 国士無双


 先の安い手で、白夜の親番を流す。

 そして、完璧なイカサマにより白夜に振り込ませるという姉妹による連携プレー。

 そう、誰よりも早く和了り他人に上がらせないというの目麻雀においては大切である。

 実際、先の手番で白夜はダマで役牌を抱えていた。

 立直をかけることで手を読まれるのを嫌い、あえてダマであったが先に和了られてしまえば何の意味もない。

 結果として、一色清美に親番をまわすことになってしまった。

 イカサマによるであろう国士無双。

 それを和了させるための隙を与えてしまった。


(ごめん、舞……。みなみ。俺じゃ、ダメだったみたいだ)


 白夜がトビで終了。

 それがこの麻雀の結果。

 ――になるはずだった。


「待ってください。その国士無双は無効です」


 中原みなみが突然声をあげる。


「……はぁ? このメス豚がぁ!! 言いがかりをつけるのはいい加減にしろッ!! 証拠もなしに言いがかりつけるんだったら、夜の街に売り飛ばして女として生まれてきたことを後悔させるわよッ!!!!!」

「清美さんの言う通りですよ。メスガキごときが。根拠のないイカサマ指摘はマナー違反ですよ」


 一色姉妹が恫喝をしてくる。

 だが、中原みなみは一切たじろぐことも、ビビることもなく、強く睨み返す。


「その手、和了るのは当然できません。ありえないんですよね。だって……」


 そして、中原みなみは自身の手を倒す。


「ここに南が4枚、白が4枚、そして中が4枚あるんですよ」

恐れ入りますが、本小説の評価をお願いいたします。

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