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東3局1本場:突撃

「……にしても、みなみ。お前イカサマ出来たんだな」


 俺たちは今、指定された廃工場に俺の車で向かっている。

 あの手はイカサマしなければつくることはできない。

 他の手はともかくとして、四槓子は俺が国士無双に使っている牌が必要なためつくることはできない。

 そして、動揺していたとはいえ俺も裏で麻雀を打ってきた人間。

 見抜けなかったイカサマは合法。やられる方が悪い。


「だって、裏世界で麻雀を打ってきた人の彼女になりたいって言ってるんですよ。()()()()()は練習しますって」


 普段の打ち方が完全にイカサマなしだったから、俺は騙されたわけだ。

 一応、裏プロとしてのプライドはズタズタだ。


「……帰ったらお互いにイカサマありで麻雀な」


 だから、俺はこの女を倒してプライドを取り戻す。

 小さいと言われても、裏プロとしてはメンツは大事だからな……。

 その俺のつぶやきに「クスッ」と笑うみなみ。


「軍星さん、もうしっかり帰ったからのこと考えてるんですね」

「……当たり前だ。あんな奴に負ける可能性はゼロだからな。 ……唯一心配なのはお前の友達である鈴木さんだっけ? その子が毒あたりを飲まされてタイムリミットがある場合だな」

「……そんな卑怯なことするんですか?」

「する。奴らはお前が今まで出会ってきた人間で一番クズだと思った人間の10倍はクズだからな」


 そんな会話をしていたら、廃工場が見えてきた。

 だけど、軍星さんは速度を緩める様子が無い。

 むしろ、――加速している。


「ぐ、軍星さん!?」

「ちゃんとシートベルトして、どっか捕まって下噛まないようにしとけよ。――ツッコむ」


 そういって、軍星さんはシャッターに向かってその白いスポーツカーをレッドゾーンまでふきあげて衝突させる。


――


「ふふふ、ゴミと馬鹿とハサミは使いよう……。こんな役に立たないブタでも女の尊厳を失わせるくらいの役には立つでしょ」


 適当に軍星とみなみちゃんを連れてくるために拉致してきたこの女。

 はっきり言って、人質の価値が無かった。

 脅迫のためのビデオであんなこと言い放つなんて、もうヤり殺して適当にその辺に捨ててしまえばいい。

 そして、今度はみなみちゃんのお父さんを……。


「清美さん。そろそろ時間じゃないかしら。軍星様はどうも来ないみたいね。残念」

「ははは、この子拉致すれば来ると思ったんだけど意味なかったわ。軍星はもう家族いないし、あのジジイは警備が厳しくて拉致できないし。 ……唯一拉致できそうな女がこのザマ。ブタ、あんたにあげるから適当に食べときなさい」


 白夜とかいう訳の分からない男に負けて、金を回収することが出来なかったブタに「教育」をし直してあげて従順な奴隷にしてあげた。

 奴隷は考える力を持たないことこそ幸福。

 だから、その思考能力を破壊して、私の。いや、私たちのいう事に忠実になるようにした。

 私が「犯せ」と言えば犯すだろうし、「飛べ」と言えばビルの屋上からだって飛ぶだろう。

 そのくらいには従順に仕上げた。

 ただ、私が気に食わないのは人質として連れてきたこの女。

 震えることなく、ただ目を閉じたまま椅子に座った状態で縛られている。

 普通であれば恐慌し、泣くわ叫ぶわ暴れるわと言ったことをしようとする。

 それすらもしない。

 はっきり言って異常。

 そして、女としての尊厳を汚すという宣言をしたにもかかわらず、眉毛一つ動かさない。

 ありえない。

 意味が解らない。

 理解できない。

 だから、理解できるように汚す。

 その時だった。


「メロス」


 突然目を開き、意味の分からないことをつぶやく。

 それと同じくして、シャッターを白いスポーツカーが突き破って入ってくる。

 その車には見覚えがある。

 その白い車は、軍星の車。

 その車からは黒髪で、精悍な顔つきな男が下りてくる。

 ――はずだった。


「フフ、白馬の王子様じゃなくて、白髪のおじさまを連れてくるのかキミは。やっぱキミは最高だ。みなみ」


 その車から降りてきた男は白髪。そして、くたびれたスーツ。

 私の知っている軍星とは違う。

 軍星がこんなだらしない格好をしているはずがない。


「一色清美、そして字美か。俺は軍星。いや、その名はお前たちに勝つまで名乗らないでおこう。俺の名は『白夜』だ」


恐れ入りますが白い☆を黒い★に変えていただけると幸いです。

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