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東3局0本場:動画

お久しぶりになってしまってすみません。

COVID-19のワクチンを打つための準備してて、書いてられませんでした。

そろそろ更新ペースを戻していきます。

『はーい、み・な・み・ちゃーんげんきー? 私は便秘―。ほんとイライラしちゃう。あなたのお友達をイジメてあげたくなっちゃうく・ら・い。もう、この動画見てるからわかってると思うけどー。あなたのお友達のこと預かっちゃったから。返して欲しい? 返してほしかったら―、軍星連れて東堤防にある廃倉庫に今日の夜9時までにきなさーい。もし来なかったら、このお友達は終わりだからね。ほら、みっともなく命乞いしてみなさいよー』


 動画の中で、純ちゃんは噛ませられていた猿ぐつわを外される。

 使われているタオルには見覚えがある。私が純ちゃんの誕生日にあげたタオルだ。


『すまない、みなみ。捕まってしまったよ。いや、我ながら情けない。この折れてしまったバカ脚のせいで逃げるに逃げられなくてね。でもさ、キミは気にしなくていいよ。こんなマヌケな奴のことは忘れて暮らしな。そして、時々思い出してくれればそれでいい』


 そこまで言ったところで、純ちゃんは一色清美に殴られる。


『……あんた、命乞いをしろって言ったわよね。日本語分からないのかしら?』

『ボクはみなみの事が好きだ。だからこそ、彼女の迷惑になるならこの命を捨てることは惜しくない。残念だけど、あなたは人質に取る人を間違えたんだ。みなみ! ボクのことは気にするな。キミはキミのしたいようにするんだっ!! ボクはそれをすべて肯定するだからッ!!」


 純ちゃんが腹部を激しく蹴られたところで動画は終わった。


「……純ちゃん」

「……一色たちのよくやる手だ。その人間が最も大切にしている人間を人質にし、逃げられないようにする。そして、出てきたところでその人間を終わらせる。俺も何度も見てきたし、聞いてきた話だ」


 軍星さんが絞り出すようなか細い声でこぼす。

 その苦悶の表情にはかつて救えなかった人への後悔と、その「悪事」を見ていることしかできなかった悔恨が浮かんでいる。


「……俺はダメな人間だ。俺とかかわる人間はすべて不幸になる。この、鈴木さん? だっけか。この人も俺とみなみがかかわったために巻き込まれた。俺は、病原菌みたいな人間なんだな」


 その軍星さんの発言に私は――怒りを感じた。

 だから、その頬を平手でたたく。


「……何しやがる、みなみ」

「悲劇の主人公ごっこは終わりにしませんか、軍星さん」


 虚を突かれたような顔をする軍星さん。

 自分で言うのもなんだが、私は軍星さんへの好感度は高い。

 多分、現実にステータス画面みたいなものがあったら100%中120%くらいまでは指しているだろう。

 そんな人から、突然ビンタをされる。

 普通であれば思考がとまってしまうだろう。

 まぁ、軍星さんは普通ではないのですぐに文句を言ってきたわけだけど。


「……悲劇の主人公ごっこだと? 誰がだ?」


 静かな声に、確かに混じる怒声。

 だけど、私はそれを恐れない。

 今この時が、軍星さんが「白夜」という殻を破れるかどうかの瀬戸際だと思うから。


()()()()、私と勝負をしましょう。あなたが勝ったら、私の友達を助けるのを手伝ってもらいます。その間は、弱音をいう事を禁止します。私が負けたら、 ……あなたの前から()()()姿を消します」


 白夜さんに考える時間を与えず、どんどん勝手に話を進めていく。


「……どうせこの家、麻雀牌と自動卓くらいあるでしょ。時間もないので、麻雀なんかしません。山34枚から14枚で満貫以上の手をつくる。それをお互いに見せ合い、高い手を上がっている方の勝ち。それでいきましょう」


 白夜さんが状況を飲み込めていないうちに、デモンストレーションを終わらせる。

 そして、ゲームを始める。


――


(……みなみの奴は何を考えてるのかわからないな。だが、俺の前から消えてくれるならちょうどいいか)


 みなみの説明によると、このゲームは自分の目の前にある山34枚を開いて、できるだけ高い手をつくる。

 そして、それを倒してより高い手だった方の勝ちという単純なゲーム。

 俺の34枚で出来る最高の手は「国士無双」。文句なしの麻雀における最高手役の一つ。

 これを出せば、まず負けることはないだろう。

 だが、ここでみなみの言葉が引っかかる。


(……あなたの前から()()()姿を消します)


 その発言が気になる。


(「永遠」ってどういうことだ?)


 例えば、ブラジルあたりに引っ越したとしても「永遠に会わない」という保証はできないだろう。

 たまたま旅行か何かで行って、偶然に再会する確率はゼロではない。

 そこで、俺の脳裏に一つの可能性が浮かぶ。


(まさか、逝くつもりか?)


 それならば断言できる。「永遠に会わない」と。

 ならば、この手を倒すことが出来ない。

 人一人をこの手で殺すことはできない。

 と思っていたが、麻雀打ちとしての本能には勝てない。

 俺は理性を殺す。


「国士無双。俺の勝ちだな」


 ゆえに、俺はそのみなみの豊かな胸を突きさすような宣言を行う。

 抜き身の日本刀で心臓を突きさすような一撃。

 だが……


「大四喜、字一色、四暗刻、あぁ、すみません。四槓子もおまけで」


 その一撃をものともせずに、攻城砲のような強烈にして激烈、猛烈なビックバン。

 麻雀における最高手。

 その考えうる最高得点になる組み合わせの手。


「私の勝ちですね」

恐れ入りますが、白い☆を黒くしていただけると幸いです。

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