第11話
――キイーッ!
窓を開けると冷たい秋の夜風が、狭い屋根裏部屋へと吹き込んだ。
「名残惜しいよ、シェリー……君の身体も心配だ。今日は1日、おとなしくしているんだよ……」
「アレックス……わたしは平気よ。今日は土曜日だから、ゆっくりしているわ」
「ごめんよ……君の勉強の邪魔をしてしまった。シェリー……何があっても、お互いがんばっていこう」
「ええ。あなたのためにもがんばるわ。愛してるわ……アレックス。体に気をつけて……」
「おおっ……シェリー……。行きたくないよ。君と逃げたい! でも……それは許されない立場なんだ。ノースウィッチが各地で暴れはじめた。ぼくはバーナビー教授と北の大地へ偵察に出掛ける」
「そんな……危険な所へ……? いつ頃まで滞在する予定なの?」
「いつ帰るかは未定なんだ。すまない、シェリー……初めての夜なのに、魔法で花を出すこともできないなんて……」
「アレックス……そんなものいらないわ。わたしはただ……あなたがいてくれれば、それだけでいいの……。アレックスどうか……無事にもどってきてね」
「君のためにも必ず元気な姿で帰ってくるからね……愛してるよ、ぼくのシェリー……ぼくのフィアンセ……アダブカダブラ……」
「アレックス……」
わたしたちは情熱的なキスを交わし辛い別れを惜しんだ。アレックスのあたたかい腕が徐々に離れていき、足音が屋根の上を遠ざかる。
「アレックス……アイラブユー……」
アレックスは真夜中過ぎに帝都の魔法学校へ帰っていった。
けだるいカラダで、遥か彼方を見つめていた。あの夜空の下でアレックスが馬を駆っているのかと思うと、いつまでも星から目が離すことができなかった。




