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03. 嫌な予感
手首を掴まれたまま、森の中を全速力で駆け抜ける。どうして若葉がこんなに焦っているのか、莉桜は知らない。
道路に出ると足を止め、やっと莉桜を解放した。膝に手を当て息を荒くする二人。
肩を上下させながら話し合う。
「はあー……なんでこんな、走って来なくちゃいけないの? 」
「なんか、背中に変なものが通った気がしたのよ。…ゾクってして、嫌な予感がしたの 」
若葉は霊感があるのか、いつもこういうことを言う。だからたぶん、何か不吉なものが通ったんだ。
ーー今のわたしにはそれしか分からなかった。
自分の前に妖怪が現れるとも知らずに。




