06. サトリ
「勘違いなんてするつもりはないけど、そうであったらいいな」
急にどこからか声が聞こえた。この部屋にはレオとわたしの二人しかいないはずなのに。
「なにこれ?」
ふわふわと浮いてきた物体がレオのコートの中から出てきた。
「ああ、出てきちゃった」
知っている風なレオを見つめる。
「この子は覚。森の中で会ったんだ」
毛むくじゃらで、綿のようなモノがペコっと体全体を使ってお辞儀する。高くて可愛い声からすると女の子かもしれない。
「何か役に立つかなって連れて来ちゃった」
連れて来ちゃったって……こんな小さなモノに何ができるんだろう。
「ワタシは偽りのない心を読むことができます」
「え⁉」
ちょっと整理しよう。わたしの心が読まれてるってことは、さっき自分が口にしたと勘違いしたものはわたしの心を読んで、この毛むくじゃら……サトリが声に出していたってこと、なのかな。
混乱する中で理解する。
「アナタは自分に嘘をついている。仲良くしたいのなら変な距離なんて置かなくていいのです」
自分にも分かっていないところが読まれているのか、口を挟めない。
「変な距離を置かれて寂しいのなら縮めてしまえばいいのです」
「えっと……」
レオのいる前で心を読まれるなんて恥ずかしい。
誤魔化すために口を開いたんだが何を言えばいいのか分からず、視線をさまよわせる。




