12. 破った約束
特に何も変わりのない風景。学校帰りにいつも通る道。いつもと違うのは手元に鞄が無いことと、隣にレオがいること。同じ歩幅で歩いてくれている。
鞄はルカを探して家まで行った時に置いてきたんだ。またその家に向かっている最中。またルカがどこかに行っちゃったけど。
「莉桜ちゃん。約束破ったね」
「え? 」
考えごとをしている時ちさらりと名を呼ばれ、初めてという驚きが重なり隣にいるレオを見上げる。
「危険な行動は取らないこと」
ーーあ。
そこで思い出した。レオと約束をしていたんだって。だけどわたしはそれを破った。ルカがネコミミくんに剣を向けている状態の二人の間に入ったんだ。これは危険以外の何物でもない。
穏やかな表情を見る限り怒っていないみたいだけど……ここは謝ったほうが良いよね。
「レオ、ごめんなさい。わたし……」
申し訳なさで俯き加減になりながら最後まで謝ろうとしたが、そこで遮られた。
「さっきのことなら謝らなくていいよ。あの行動でルカは少し救われたと思う」
わたしがルカをーー救った?
どうして? わたしは何もしていないのに。
「氷力石を狙う妖怪は全て抹消対象。単純なルカはそれを成し遂げようとしているんだ」
成し遂げる、ってことは誰かがそんなことを計画したってことだよね。
「誰がそんな計画をしたの? 」
「ナイショ」
わたしの右目にある氷力石を狙う妖怪は全て抹消……つまり、この世から消し去るってこと。それを考えたのはルカかレオ、どちらか二人しかいない。
意味ありげに笑むレオだったりと、その横顔を見てまさかなと思う。
「だから今回だけ許してあげる。次からはちゃんと守ってね」
首を傾げこちらを向くレオのストレートな髪がサラッとなり、白髪が目立つ。
一度決まった事は守ろうとネコミミくんを消し去ろうとしたルカ。それはわたしのせいだ。わたしの右目に氷力石があるから。
森の中に入らなければ、井戸を覗かなければ、こんな事にはならなかった。ネコミミくんとルカの間であんな悲惨な出来事は起こらなかったんだ。
あの時、あの場所に行かなければこんなことにはならなかった。




