07. 意味のない戦闘
「それで、あの二人が仲悪くなった原因はーー」
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「猫淐爪牙! 」
技を口にしながら勢いよくルカとの間合いを詰める。光る鋭い爪、素早い動きで両手を使って攻撃するが、それを軽々と避けるルカを見つめる。
「本気……出せよ」
レオが追ってくると分かっていたからわざわざここまで来た。それはいつか莉桜が妖怪に襲われたところ。
もし二対一なんてなったら不利すぎる。ルカ、一人にも勝てないのにレオまでいたら完全にこちらの負け。
ーーレオは首を突っ込むようなヤツじゃないからそういう心配する必要はないが、いちようだ。
「どうせまたお前は俺に負ける」
淡々とした声で図星を言われたネコは苛立ちを覚え、顔を歪ませた。
無表情でもどことなく自信があり、そして気迫もある。それがなにより気に食わない。
「そんなのやってみなきゃわかんねーだろ」
真っ直ぐな目で相手を見据える。ネコはルカを倒すためだけに生きてたみたいなものなんだ。
「12223戦中……12222勝、1敗。お前が言うセリフじゃないだろ」
「なにっ……」
これまで戦ってきた功績を口にすると、鼻で笑って相手を侮辱するルカ。
それを真に受けたネコは、このままじゃ相手のペースに飲まれると落ち着きを取り戻した。
「やっぱあの人間の目にある力の石を奪わなきゃ、あんたに勝つのも無理ってことか」
そこでルカの眉がピクッと動いたのをネコは見逃さなかった。
「どういうことだ? 」
どこまで知っているのか、余計な事を言って知らない情報を与えないために詮索だけする。
「どういうこともなにも、知ってるでしょ? ハウラの力の欠片……氷力石があの子の右目に入っちゃったって。それを取れるのはハウラ自身、だけど丸ごと取っちゃえばそんなの関係ないよね」
立場逆転してネコがルカのことを挑発する。
『丸ごと』というのはそのままの意味だ。氷力石の入った目を抉り取る。なんとも残酷な光景になるだろう。
ご丁寧に分かっている事を全て話してもらったルカは、無表情を貼り付けているがどこかもどかしさを感じる。
「取るつもりなのか? 」
「さあね。その時その時の気分次第」
慎重に訊いてきたルカを知ってか、適当に返すネコはおもしろがっていた。
いつもは興味を示してこないルカが、莉桜を挟んだとしてもこうやって自分の顔色を伺い、何を思っているのか考えているから。
「悪いがそうはさせない」
「そうはさせないって言ってもさ、取られちゃったらおしまいじゃん」
そう得意げに続ける。
「ちゃんと守っているようだけど、隙だらけなんだよ。だから今日だって簡単に近寄れたし、氷力石もどこにあるのか分かった」
ーー楽しんでいるネコとは逆に、考えこむルカ。
こいつはいつもちょろちょろしている。気分次第とか言ってるが、いつあいつの目にある氷力石を取られるか分からない。
だったらどうするべきか、決まっている……か。
「お前を消し去るしかない……ってことか」
「お、本気になった? 」
待ち望んでいたかのように、ルカの様子を覗く。瞳を伏せるように、視線を下げたルカが何を思っているのか知らずに。




