06. 複雑な事情
「ルカとネコミミくん、本当は仲が良かったんだ」
「そうなの? 」
レオの首に腕を絡ませ、下に落ちないようにしている。
またお姫様抱っこをされそうになった時に拒否したら、絶対に落ちないようにしてって言われてこんな格好になった。
太ももあたりにある片手。それだけに支えられているのにがっちり固定されている。
「前に……ていうか昔の話なんだけど」
ルカの元に着くまでの間、教えてもらった。あの二人のことを。
「あの二人はね、似たもの同士なんだ。どちらも村の人から祟られていた。ただ黒色ってだけで」
淡々と話すレオ。
何も悪さをしていないのに祟られる人の気持ち、わたしにはわからない。……苦しいって事だけは分かる。
「ルカたち……妖怪は、普通の人には見えないんじゃなかったの? 」
妖怪は普通の人間には見えない。わたしにレオたちが見えるのは目に入った氷力石のおかげ。
レオの話を聞く限り、昔の人は誰もが妖怪を見えていたんだって思ってしまう。
見上げると、何かを思い出しているような遠い目をしているレオの顔があった。
「これが妖怪の時の話じゃないんだ」
ーー妖怪の時の話じゃない?
レオの発言にはてなを浮かべるしかない。
「言葉で表すのなら『前世』ってところかな」
「前世……」
前世って、そんなもの覚えていられるものなの?
不思議に思いながら違う姿って事なのかなと、予想してみた。
「僕たち、兎に化けれるでしょ? それは妖怪になる前の、本当の姿なんだ」
それじゃあレオたちの前世は兎だった。それで妖怪になった後でも化けられる。そういうこと?
妖怪にはどうやってなるものなんだろう。
「黒色だから祟られていたって言ったよね。でもあのネコミミくんの髪の色、黒じゃなくて青じゃなかった? 」
レオの言っていた事が少し引っかかっていた。さっきは、妖怪は人間に普通に見えていたような事を言っていたからそれに話がいってしまったけど。
二人とも黒色だから祟られていたと言っていた。でも図書室で会ったネコミミくんの髪は黒ではなく、青。暗いところで見れば黒に見えるかもしれないけど、そんな単純な間違いをしないと思うんだ。
「そうなんだけど……ルカの事を庇うネコミミくんを村の人が良い風に思わなかったのか、いつからか〝不吉な黒猫〟として村に伝わっちゃったんだよね」
ネコミミくんはルカのことを庇ったせいで、不吉な黒猫という名がついてしまった。ネコミミくんもまた何も悪さをしていないのに、それだけの理由で祟られた。
「なんか……かわいそう」
不謹慎な理由で嫌な目にあったネコミミくんもそうだけど、何よりそんな目にあわせてしまったルカの心情が労しい。
「僕もそう思うよ」
そう言うレオは少し、悲しげに見えた。




