03. 犬猿の仲、兎と猫の関係。
扉のように左右開く窓が全開している。妖怪を追いかけるためにルカはそこから出て行ってしまった。ここは3階だというのに大丈夫なのか。下に落ちて怪我はしていないか。ルカがそんなへまはしないと分かっているが、心配になる。
「大丈夫だよ。ルカはあのくらいで怪我する奴じゃないから」
ここに残っていたレオの言葉に頷き、疑問を口にする。
「あの妖怪、レオたちが来る事を知っていたような言い方してたけど……知り合いなの? 」
ルカと初めて会ったという雰囲気ではなかったから、ちょっと訊いてみた。
「まあね。ルカとあのネコミミくんとの間に色々あって、犬猿の仲なんだ」
「犬猿の……」
“ネコミミ”には納得がいった。頭に耳が生えていて、手に付けている武器が爪のようで猫みたいだから。
犬猿の仲って……相当仲が悪いんだ。二人の間に何があったんだろう。
「あ、そうだ。あと……」
もう一つ訊きたかった事を思い出し、顔を上げるとさっきまでいた所にレオがいなかった。
「どこ行くの? 」
軽く飛んで窓の淵に立つレオに問いかけると、こちらに顔だけを向けた。
「どこって、ルカのところだけど? 」
「ならわたしも行く」
いつもなら言わないセリフにキョトンとする。
「ダメだよ。莉桜ちゃんは狙われる身なんだから、僕たちと一緒にいたらーー」
「それでも行く」
冷静に落ち着かせようとするレオだが、断固として引かない。わたしにだって意地がある。
「これはわたしの問題だから。自分の事なのに、関係ないレオたちに迷惑をかけっぱなしなのは嫌なの」
バカみたいな考えだって分かってる。レオたちはおじいに頼まれたからわたしを守ってくれるにすぎないんだって知ってる。でも……それでも、ちゃんと向き合わなきゃ。
「分かった」
まさかのきっぱりとした返答に驚く。レオを見つめる瞳は正直で、驚いているのが伝わったんだろう。ふわりと笑ってこう言った。
「だけど危険な行動は取らないこと。この約束、守れる? 」
ーーこの優しさ、好き
「うん 」




