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15. 怪と人間の狭間
ーーバタンッと閉まるドア。
音一つせず静まる空間。起きていたにも関わらず瞑っていた目を開く。
ルカに何かを伝えたくて落ち着いた声音で言う。
「あの子優しいね。やっぱり人間でもさ、みんなが皆、同じじゃないんじゃないかな」
「……同じだ。自分の事以外はどうでも良い奴らばかり」
思っていた通りの返し。分かっていた、ルカからの返事なんて。こんなものだってこと。
それでも少しは『受け入れる』って事もして欲しかった。
「ルカって冷たいよね」
呆れながらも、笑ってしまう。
知ってるよ、ルカがそんな風に人間を拒絶してしまう感情を抱いていること。でも、少しでも人の優しさに触れて知るべきなんだ。心の底では強く願っているくせに、強がってるにしか見えないルカは特に。
「本当の事を言ったまでだ」
ルカ、君は不幸を知り過ぎている。黒色ってだけで不吉と祟られていた。逆に僕は白色だからという事だけで祀られていた。
これは何年前の話だっけ、千年前……かな。
境遇が違うけど、こうやって分かり合えたんだ。人間とも上手くやれると、僕は思うんだよ。
この50年間、僕たち……妖怪が見える人間と関わったのは一人だけだった。
そのせいか、ルカは相変わらず人間嫌い。人間嫌いというか……ただ、怖いのかもね。仲良くなるのが。




