表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハルウタ ー黒兎と白兎ー(下書き)  作者: MIA
【༒】二匹の兎 -ウサギ-
15/38

14. 黒兎と白兎

 レオが『チビ』になろうと言う。それがどういう意味なのか全く分からない。



「なってから説明するよ。とにかく早く寝たかったら、なるよ」

「…分かった」


 ルカはめんどくさそうにしながらも了承した。その後、ポンっと二人の周りに煙が上がり、一瞬だけ見えなくなる。

 それどころか、消えてしまっている。



「…レオ? ルカ? 」


 姿が見えなくなり、不安が広がる。イスに座っていたルカの姿もなくなってしまった。

「二人とも、どこ… 」

 辺りを見回し、諦める。


「僕はココにいるよ」

「え? 」


 左斜め下を見る。小さな物体がピョンっとベッドに乗ったところだった。

 わたしの目に映るものが喋ったとしたらこれはレオ…?


「レオ、早く教えろ」


 今度は右斜め下。こちらもピョンッと同じような形をした小さな物体がベッドに飛んできた。全く状況整理ができない。


「そんなに焦らないで。ちゃんと説明するから」


 え…えと、わたしの目がおかしいのかな、二人が動物に見えるよ。それとももしかして、いろんなことがありすぎて頭がどうかしちゃっているのかな。


 思考を巡らしすぎて莉桜の頭がぐるぐるしてきたところ、ルカに説明しようと口を開くレオ。莉桜が混乱している事に気づいていない。



「僕たち、結構妖力が強いから他の妖怪たちに気づかれ易いでしょ? それじゃあ莉桜ちゃんを守るどころか逆に危険な目に合わせる。だけどこの姿なら妖怪の姿の時より、妖力が激減する。だからだよ」


「そういうことか」


 この光景、わたしには動物が喋っているようにしか見えない。


 小さな物体が二つ。

 左側に白い兎。

 右側に黒い兎。

 対面し合っている二匹……?


「あ、あの…」

 小さな声で尋ねると、白い兎がヒョコっとこちらを向く。

 かわいい……と頬を緩ませそうになる。

「もしかして、頭がついていってない? 」

「うん…」

 くりっとした瞳に見つめられながら素直に頷く。


「見ての通り、白い兎が僕で、そっちの黒い兎がルカだよ」

 そう言われ、黒い兎を見るが、どうしてもルカに見えない。


「ルカ…? 」

 小さなかわいい姿をしたルカがわたしを見据える。思わず固まってしまう。そんなわたしを心配したのか、レオまで見つめてくる。


「どうしたの? 」


 二人が……二匹が左右から覗く。


 本物の兎と変わらない大きさ。

 本物より愛くるしい姿。

 動物が喋っている。

 夢のような出来事。


 この兎があの二人だということを忘れてしまう。それに、くりっくりっとした小さな目が何かを求めているように見える。

 実際、違うとは思うけど……そう見えてしまう。



 なんとか抱きしめたい衝動を抑え、莉桜は正直に言う。

「…かわいいね」

 他に言うことがなかったんだ。


 かわいいと言われた事が気に食わなかったのか、顔をしかめ、莉桜の事をじーっと見つめる。そして吐き捨てるように言うとプイっと背を向け、ベッドから降り、小さな歩幅で歩いていく。


「好きでなっている訳じゃない」

「あ…」


 ルカがきびすを返してベッドから降りる時、かんさわる事を言ってしまったんじゃないかと自分の言ったことを思い直した。


 ーーかわいいって言われたの、嫌だったのかな


 どこに向かっているんだろうと、小さな黒兎もとい、ルカを見続ける。ピョンっと飛び乗った所はさっきまで座っていたイス。


 -*-


「気にしなくていいよ。いつもああだから」


 レオの気遣いの言葉を耳にいれながらも、ルカの着地したイスの背をずっと見ている。特に変化がないところをみると、たぶん寝てしまったんだろう。


 ぶっきらぼうで無愛想。そんなルカの事を誰よりも知っているレオは、今は小さい白兎。ベッドからピョンッと跳ねるように降りる。


「僕も もう寝るね」

「どこで寝るの? 」

「ん~、床? 」

「床!? 」


 レオの驚きの発言に目を見開く。


「慣れてるから平気だよ」

「いや、平気って言われても…」


 いくらなんでも、今の姿が兎だとしても、冷たくて硬い床に寝かせるなんてことはしたくなかった。レオの事を考えて眠られなくなるかもしれないし。


「そんなにわたしに気を遣ってくれなくても大丈夫だよ。ベッドの上で寝ていいから」

「え? 」

 振り返り、驚いているような瞳を向けてくる。まるで、信じられないとでも言うような。そんなレオの反応と、ぎゅーっとしたくなる白兎のレオのかわいさに頬が緩む。


「その姿なら大丈夫だから」

「そっか……、じゃあ遠慮なく寝かせてもらうね」


 またピョンっとベッドの上に飛び乗ると、枕元に縮まった。それを眺める莉桜。

 こうしてみると、やっぱりただの動物にしか見えない。


 -*-


「おやすみ」


 少し時間が経った後、布団ふとんをかけながら言ってみた。けれどもう寝てしまったのか返事が帰ってくることはなく、今度はルカの様子を見に行くと、こちらもまた縮まっていた。


 今にも消えてしまいそうなルカのことが心配になり、タンスから出した毛布をかけてから夕ご飯を作りに一階へと降りて行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ