13. 『チビ』
「もっと、ちゃんとした説明は明日でいいかな? 少し寝かせて」
「え…寝るって、どこで? 」
まさか、ここ、とか言わないよね。
「ココって言ったら、迷惑? 」
莉桜の考え的中。伺うように見られ、なんて答えればいいのか困惑する。
レオたちは、わたしのせいで睡眠を取れていなかったのと同じだ。今日は助けてもらったし、そんなレオに迷惑だなんて……。
でも、妖怪と言われてもどう見ても人間の男性だから抵抗感があるというか、意識してしまうというか……。
ついにはなにも答られず、黙り込んでしまう。
「無理はしなくていいんだよ。嫌だったらイヤだって言ってくれればルカを起こして出て行くから」
気を遣ってこう言ってくれてるけど、……どうすればいいんだろう。
レオは立ち上がり、ルカを起こそうと彼の元へ歩いて行く。その背中を困惑しきった哀しげな眼差しで見つめる莉桜は心の中で言い聞かせ、自分自身を説得しようとする。
守ってくれたんだよ?
明日、説明してくれるんだよ?
レオたちは、疲れているんだよ?
「あの、待って」
ルカのことを起こそうと名前を呼ぶレオは、肩をポンポンッと叩くのをやめ、振り返る。
呼び止めたはいいけど、何も言うこと決めてない。
ぐっと気まずくなった莉桜は俯きぎみになりながら、瞳を揺らす。
「その人、ぐっすり寝てるから起こしたら可哀想というか……えっと…よく分からないけど、わたしの目に氷力石がある以上、レオたちはわたしを守ってくれるみたいで。だったら、その…
一緒にいたほうがいいというか……」
なんて、回りくどい言い方なんだろうか。どうして、ここで寝ても良いよとはっきり言えないんだろう。
自分の気持ちを伝えるのは難しいということを改めて知った。
「ありがとう」
戸惑いながら言ってくれる莉桜。微笑ましくなったレオは少しの間眺めてからふっと微笑んだ。
その笑みに、心が舞い上がるような感覚を覚える莉桜。言って良かったと思いとは別に不安が過る。
二人はあくまでも妖怪。でも、姿は人間。そんな二人がいて、ちゃんと寝れるんだろうか。……寝不足になるかもしれない。
「ルカ、少しだけ起きて」
なぜかルカを起こそうとするレオ。ここで寝ていいと言ったのに、何か違う目的があるんだろうか。
ぐっすり寝ているのに起こしてしまうなんて、なんだかかわいそう。
止めることもできずにただ見ていると「ん…」とルカが起きる。
「あの姿になるよ」
「あの姿? 」
眠そうにしながらも、レオの話に耳を傾けるルカ。何の話をしているのか、ルカの反応にわたしも同感。
あの姿って、なに?
「チビになんなきゃ」
…チ…チビ?
レオの言葉になんのことなのか全く想像がつかず、目をパチクリさせる。そんな莉桜とは対象的に納得するルカは、訝しげな眼差しをレオに向ける。
「ああ…アレか。なんでアレになんなきゃいけないんだ? 」
アレ……? もうなんのことかさっぱり。お二人さん。どちらか、わたしに何のお話をしているのか教えてください。
遠くで二人を眺めながら、仲間外れにされている気分になる莉桜であった。




