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第6話 探索者組合にて2

 俺は自分の出自を知っている。

 きっとあの受付嬢は俺の親父に報告するのだろう。

 それ自体は構わないけど、余計なちょっかいだけは出さないでほしい。


 俺が親父の元を離れたのは今から5年前。

 俺が10歳の時だ。

 ちょうどその時に俺の母親が亡くなり、俺は俺のことを気にしていた祖母である師匠に引き取られた。

 理由はまぁよくある兄妹間の確執というかそんなもの。

 

 親父には俺の母親以外にもう2人の奥さんがいる。

 いわゆる第一夫人と第二夫人、第三夫人というやつだ。

 俺の母親は第三夫人のほうで、だからといって第一夫人と第二夫人と仲が悪かったかというとそんなことはなかった。

 むしろ両夫人共に俺の母親が大好きだった。


 親父はエルフで、第一夫人は人間で、第二夫人はエルフ。

 俺の母親は一応エルフっぽい何かだった。

 正確にはエルフではないけどエルフと見た目はほぼ変わらないらしい。

 師匠曰く、神代の存在らしい。

 

 そんな出自のせいか、俺は幼少期からやたらと精霊に好かれていた。

 もちろん転生者ってのもあるしそういうスキルもあるからではあると思うけど。

 そんなこんなで当然他の兄妹からは羨ましがられたり嫉妬されたりするわけで、まぁそこそこ確執に繋がった感じだ。


 「ところで。親たちは元気ですか?」


 不意にそんな言葉が口をついて出た。

 この女性の主人はうちの親だろうと踏んだからだ。


「お元気ですよ。でもご両親もご兄妹も揃ってみんな寂しそうです。1つの過ちで2つのものを同時に失ったと嘆いておられましたから」

「そうですか……」


 この国、この街には俺の事情を知っている人が少なからず存在している。

 師匠が俺を親父たちに会わせたくないと考えていることも。


「もしお帰りになられると決められた時には、私にお申し付けください。ただ、グレモリー様はいい顔をしないと思いますが……」

「まぁ、気が向いたらってことで……」

「そういえば妹君が会いたがっているようですよ? 10歳の妹君と5歳の妹君が」

「……」


 そうは言われても俺は今のところ会う気がない。

 それはきっと向こうもわかっているはず。

 しかしこれで兄が2人に姉が2人、妹が2人の合計6人加えて俺を入れて7人になったわけか。


「とりあえずこの依頼行ってみようと思うので、よろしくお願いします」

「はい。私のほうで受理しておきます」


 くだらない私用の話を終え、俺は依頼の受理をお願いした。

 家族のことについてはまた考えよう。

 そんな俺の考えを見透かしたのか、受付嬢は困ったような笑顔を浮かべてしまっていた。


「さてと、依頼の受理までもう少しなにか見てみようかな」


 バターン!!

 

 さっそく案内所を離れ依頼掲示板に戻ろうとしたところで突然組合の扉が大きな音を立てて開かれた。

 みんなの視線が扉に集まり、俺も一緒に扉の方を見る。

 するとそこには光の職業精霊であるブランがいたのだ。


「あれはブラン様!?」

「ブラン様が組合に来られるとは珍しい」

「それにしてもブラン様、なにか慌てたような顔をしてないか? もしかしてブラン様が慌てるような何かがおきたのか!?」


 組合内の人たちはブランのことをよく知っているようで口々にどうしたのか気にしていた。

 そんなブランは、組合内に視線を彷徨わせて俺を見つけると、一足飛びにふっとんできた。

 

「イリスちゃああああああん!! なんでどうして! 私のこと嫌いになっちゃったの!?」

「は? はぁ?」


 突然理由のわからないことを言い出すブラン。

 俺、なにかしたっけ? いや、してないな。


「お姉ちゃんね、さっきショックなこと聞いちゃったの! イリスちゃんの初めてが奪われたって!!」

「うるさっ!? はぁーーーーっ!? 誰だよ、そんな訳のわからないこといってんのは!」


 慌てて否定するが、なぜか組合内はざわめきが溢れていた。

 人々は好奇の視線で俺を見る。

 いやまて、俺は何もしていない!!


「お相手はエミルちゃんだって聞いたもん!!」


 ブランがそう口にした瞬間、ざわめきはさらに大きくなった。


「おい聞いたか!? あのエミルちゃんに手を出したんだってよ!?」

「最低だなあの男」

「いや、どう見ても女の子でしょ」

「あんな女がいてたまるか!」

「いや、でもよく見ると可愛いような……」

「可愛い系男子もありでは?」

「お前頭いいな」

「はー、ばかばっかり」


 やれ犯罪者だのやれ男だの事情を知らない外野がうるさい。

 性別のことはどうでもいいとして、とりあえず謎の犯罪者レッテルだけはどうにかしておきたい。


「ブラン、とりあえず落ち着いて」

「説明をお願いします」


 突然落ち着いたブランは真顔でそう説明を求めてきた。

 えー? そこでおちつくの?


「あーっと、俺のスキル知ってるだろ? 【精霊との絆】」

「はい」

「あのスキルには絆を深める以外の効果があったんだよ。それが絆を結んだ精霊のスキルを使用したりお互いを強化できるってもの」


 周囲には聞こえないように小声でブランに説明する。

 それを聞いたブランはこっちに顔を向けると目に涙を浮かべ。


「やっぱり寝取られたああああ!! 初めては私が狙ってたのにいい!!」


 突然絶望したかと思えばそんなことを口にしやがりました。

 おかげで周囲はやっぱりざわざわ。


「お姉さんに幼女、より取り見取りか? 許さねえぞこの野郎」

「このハーレム野郎!」


 一部変な声が混じっていますがどうやら嫉妬されているらしい。

 いよいよ収拾がつかなくなってきたぞ……。

 と、そんなことを思っているとき、不意に師匠が現れた。

 

「ブラン、いい加減におし!」

「げぇっ、グレモリー様!?」

「何がげぇだい。周囲もイリスも困っているだろ。さっさと店に帰るよ」

「ああ~ん! ひっぱらないで~!」

「まったく、突然現れて突然出て行ったと思ったらこれだよ」

「だって~……」


 哀れなブランはずるずると引っ張られて行ってしまったのだった。


「グレモリー様、相変わらず可愛らしい」

「あれで千歳超えてるってまじ?」

「あれがロリババアってやつか」


 師匠は外見のせいもあって男たちにも人気だ。

 まぁ外見だけ見れば美少女だもんなぁ。

 俺もちゃんとしてればそれなりに見えるのだろうか? 師匠にもよく似てると言われるわけだし。

 まぁあんまり気にしてないけどね!

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