第52話 エイリスさんと抹茶カフェにて
精霊組合を設置後、俺たちはドレアに移動しカフェに入ることにした。
ターレスよりはドレアのほうがそういったお店は多いし、連れたって入りやすいお店が多いというのも理由だ。
「ではこちらのカフェに致しましょう」
エイリスさんが選んだのは緑茶カフェだった。
武蔵国から茶葉を輸入しているらしく、抹茶関連の商品なども販売しているようだ。
「こちらのカフェはわたくしの懇意にしている者が経営しておりますので」
「なるほど」
どうやらエイリスさんの知り合いが経営しているお店らしい。
ちなみに俺は入ったことはない。
「いらっしゃいませ〜、お席は自由席となっております。お好きなところにどうぞ」
ニコニコ笑顔で接客してくれる店員の女性精霊が俺たちにそう教えてくれる。
どうやら自由に席に座っていいらしい。
「辰巳はいる? ちょっと用事があるの」
「店長ですか? 承知致しました。今は地下の倉庫にいるはずですので少々お待ちください」
エイリスさんがそう尋ねると店員の女性精霊はすぐに対応してくれた。
それからしばらくして、白髪の老精霊がこちらにやってきたのだ。
「ふぉっふぉっっふぉっ。誰かと思えばエイリスではないか。わしに用とは珍しいのぅ」
どうやら見た目にそぐわずの年齢の様子。
白く長く伸びた髭がチャームポイントだと思う。
俺、老人結構好きなんだよね。
「辰巳、こちらわたくしの現在の上司のイリス様ですわ。まぁ貴方もご存知だとは思いますけど」
辰巳と呼ばれたその老精霊は俺の方を向き、じっくりと見てくる。
「グレモリー様のお孫様ですな。えぇえぇ。存じておりますとも。それにしてもその髪の色……。もしや……」
辰巳さんは俺の髪の色が気になっているらしい。
まぁ俺も珍しい色だとは思うけど。
「それもありますが、今回裏道を使い【アルタイ】の街にイリス様をお連れすることになりました」
「ほう、【アルタイ】に。あそこは火山地帯にある良い温泉街じゃからのぅ。それに武蔵の者も多く居住しておる」
どうやらこれから行く予定の街は【アルタイ】という名前の街らしい。
話を聞く限り温泉街とのことなので、今からちょっと楽しみだったりする。
「それで【星の里】にお連れしようと思っているのです。それについての相談です」
「【星の里】のぅ。構わんとは思うがイリス様をお連れするのは時期尚早ではないかのぅ?」
「それについては否定できません。しかし【星の里】には【月の遺跡】があるのでそちらに行く必要はあると思っています」
「ふむ……」
話は見えないがエイリスたちは俺に何かをさせたがっているようだ。
とはいえ、話を聞く限りでは精霊たちの話だろうから、俺にできることはあまりなさそうだけど。
「月の女神様は常におっしゃっていました。『私が転生し再び戻ったとき、新たな地へ皆を導きましょう』と。しかしそれ以外にも【月の遺跡】には月の女神様にしかわからない仕掛けがあるという話を月の女神様には聞いています」
「たしかにその話は聞いてはおるが……。誰も確認したことがないんじゃ」
「はい。それゆえです。おそらくイリス様に必要なものかもしれませんし、何も起きなければそれはそれでいいと思っています」
「わかった。里には連絡を入れておこう」
「ありがとうございます」
話は月の女神様とその遺跡に関することだったようだ。
どうやらそこに何かしらの隠された仕掛けがあるようなのだが、それについては誰にもわからないらしい。
夜にでも確認してみるべきだろうか。
それにしても、この2人は月の女神様に詳しいようだ。
「というわけでイリス様。【アルタイ】に行きましたら【星の里】に向かいたいと思うのですがよろしいでしょうか?」
考え事をしているとエイリスからそんな言葉を掛けられた。
「いいですけど、ずいぶん月の女神様に詳しいんですね」
俺としてはどうしてそこまで詳しいか気になるけど。
「わたくしも辰巳も元々月の女神様の第一秘書で従者でしたので。辰巳はいわゆる執事的な立場でもありましたし」
「ただのお世話係の1人じゃわい。偉くも何ともないわい」
「ふふ」
どうやらこの2人は古い仕事仲間だったようだ。
「なるほどねぇ。まぁ何で俺をそう思ったのかは聞かないでおきます。聞いたところで理解できそうにないですし」
髪の色がそっくりだからという理由だけで、俺が月の女神関係だとは断言できないだろ?
それにこんな風に話が勝手に進んでるけど、俺は俺の前世からそんな話は1つも聞いたことがない。
周りがそう思っているだけで違うかもしれないからね。
それに俺の予想では、聞いたところで答えてくれはしないだろう。
ならその遺跡とやらを見に行くのが一番いいのではないかと思う。
「ご自身に関することは割とどうでもいいのですな。その辺もそっくりですわい」
「あの方もご自身のことを神だと名乗ったことはありませんでしたからね」
「そうじゃのぅ。おっと、せっかく来たのじゃから店特製の茶と茶菓子でも食べていくのじゃ。今日はわしのサービスとしておこうかのぅ」
「あら? それはありがとうございます」
「あ、ありがとうございます」
それから俺はこのカフェ特製の抹茶シリーズを食すことになった。
抹茶本体に抹茶系スイーツが山盛りだ。
あいなも連れてきた方がよかっただろうか? まぁ後で連れてきてやろう。
個人的には抹茶のロールケーキと抹茶プリンが好きなので持ち帰りたい気分だけどね!
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