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第49話 次の予定と回復術士の臨時バイト

 次の日、素材の複製について調べた結果、わかったことが1つあった。

 簡単に言うと、素材そのものをそのまま複製できるのではなく結晶の形で栽培し、その結晶が育つとその素材を収穫できるというものだった。

 原理としては結晶の内部構造が置き換わるということらしい。

 つまり、鉄の結晶株を作れば時間はかかるけど鉄を収穫できるということになるようだ。


「ほんと不思議な素材だな」


 そんなわけで一旦この件は置いておく。

 出来上がった星の器はそのまま錬金術室の窓際に放置し、次の行動に出ることにした。


「そろそろ一旦ほかの街にも行ってみないとかなぁ。ここは物流拠点にも良さそうだしメインの商会機能をここに置いておくのも悪くなさそうだな」


 この街での本来の目的は商店の新店舗の確保だ。

 つまり店舗を確保した上である程度の物流網も構築できたとなったら次の街に店舗確保に向かうのも悪くない。


「そうねぇ。もう少し待って資金確保を続けるのもいいとは思うけど。せめて100万ブラウまで待ってみない?」

「そうだなぁ。100万ブラウ分の資金があれば店舗の確保もしやすくなるか」


 ブランの提案を受け俺は一旦100万ブラウ貯まるまで待つことにした。

 だいたい25トン分の鉄鉱石を売り切ればそれくらいになる予定だ。


「次行く街決めてるの?」


 資金面について考えているとブランからそんな質問が飛び出す。

 ちゃんとは決めてないから相談したほうが良さそうだな。


「完成品の売買ってあまりやる気はないんだよな。それは他の商人に任せればいいと思うし、持ちつ持たれつも大事だと思うから」

「まぁそうねぇ」


 となるとやはり原材料を集められる場所が一番良いとなる。

 その辺りを重視して街を選定すべきだろう。


「そういえばイリスちゃん。ドレアの神殿が回復術士を募集してたわよ? イリスちゃん挨拶ついでに行ってみたらどうかしら」

「あー……。行ってみるかぁ」


 ドレアの神殿はうちのお得意さんでもあるので顔出しは必要だ。

 それにしても相も変わらず回復術士は人手不足か。

 どうにかしないとだな。

 そうと決まれば早速ドレアに移動して神殿へと向かおうじゃないか。


「あら~? イリスちゃ~ん! いらっしゃ~い!」


 ドレアの神殿に来て早々俺は女性神官たちに捕まってしまった。

 そしてあれよあれよと神殿の奥へと引き込まれ、回復術士の衣装を着せられる羽目に。


「よく似合うわよ? イリスちゃん」

「そ、そうですかね……」


 ドレアの神殿の回復術士の衣装は時折デザインが変わるらしい。

 今回着せられた衣装は、頭から顎まで覆うタイプの大きめの帽子と一体型の頭巾のような物と日本でいうところの看護師服にメイド服を合わせたような感じの服だった。

 全体的に白を基調とした衣装で、頭巾の口元にはマスクのようなものが取り付けられており、口元を隠すような設計がされている。

 足元に至っては白いタイツにちょっと短めのスカートを穿かされてしまった。

 正直に言うと少し恥ずかしい。

 ちなみに服自体もメイド服要素があるせいで若干ひらひらしているし、腰には大きなリボンが取り付けられている。


「あの、スカート短くないですか?」


 ちなみに女性神官たちはほとんどがローブタイプのため足元まで隠されている。

 俺たち女性回復術士だけこんな装備をさせられているようだ。


「もう少し肩を出して胸元を出す案もあったのよ? でもさすがに破廉恥かな~って」

「服の腰部分に大きなリボンを添えたのは正解だったわね。可愛さアップよ」

「名付けて白衣のメイド天使ね」


 なお看護師要素は上半身部分に集約されている。

 靴はこれまた可愛らしい小さめのてかてかしたタイプの靴である。


「いえね? 治療に来る患者さんからの要望が多かったのよ。雇いの回復術士さんに可愛い格好をさせてくれればもっと通いたくなるって。でも破廉恥なのはだめでしょ? だからぎりぎりのところを攻めてみようかなと」

「ギリギリを攻めないでほしいんですけど……」


 患者の要望とぎりぎりのラインを攻めた結果が、このメイド服型看護師服ということなのか……。


「足元は可愛らしく、脚も隠しすぎないようにしつつも出しすぎないように。なおかつ万一捲れても事故が起きないように白タイツで大事な部分を隠すという設計よ」

「でも上半身も別にメイド服でよかったわね。ちょっとミスマッチじゃない?」

「それだとただのメイド服じゃない。それだったらまだボディーラインの出るローブのほうがいいわよ」

「あー、あのローブは男性患者の視線のせいで苦情が来たのよね。おかげで神殿長にこっぴどく叱られたし」


 そんな女性神官たちの話を聞きながら、俺はうんざりとした気分になっていた。

 神殿ってもっと厳格な場所だと思ってたのになぁ……。

 俺は全身を映せる姿見を見ながら、自分の服のスカートをつまみ上げてみた。

 姿見の中の俺は暗い表情をしながら可愛らしい服のスカートをつまみ上げている。


「さぁイリスちゃん! さっそくお仕事開始よ!さぁ笑顔笑顔! お給料弾むからね!!」

「は、はぁ……。仕方ない、少しだけがんばりますか……」


 陰鬱な気持ちになりながらもその日一日、臨時の回復術士としての仕事をこなした。

 男性患者女性患者問わず、このメイドナース? みたいな感じの服に興味津々らしくすごい目で見られてしまった。

 なお女性患者からはよくわからないけどお菓子の差し入れをたくさんいただいてしまったので、女性神官たちと分けて食べることにした。

 

 

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