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第48話 月光と星光を素材に

 明るい時間帯にひたすら属性鉄を作り続けた結果、夜までに結構な数が揃った。

 これで最後の材料は1つだけとなる。

 というわけでそれから時間が進み真夜中。

 俺はいつも通り2人で錬金釜の前に立っていた。


『さすがは私の転生体。集めるのがすごく早い』


 どうやら俺の前世さんもわかっていたようでそれほど驚きはない様子だ。


「みんな積極的に提供してくれたからな」

『仲が良いのはいいことだよ。貴女が優しいから他の子も応えてくれている。忘れないでね』

「もちろん。どうお礼をすればいいかはまだわからないけどね」


 いつかこのお礼はしなければならないだろう。


『それなら概念錬金術を学べば解決する。じゃあ最後の素材の準備を始めよう』


 そのまま会話を一度止め、声に従って素材の準備を始める。


『魔法液に月光の粉を混ぜて精霊の火で加熱』


 言葉に従って月の光に手を翳す。

 すると前回と同じく俺の手のひらから白く輝く粉末が零れ落ちる。

 やがてそれは魔法液に触れると何回も何回も白く輝きを放っていく。


『魔法液の魔力と精霊の火の精霊力と月光の粉の星光力が混ざり合ってるの。ここだけでしか見られない唯一の現象。そうして魔法液は星光液へと変わる』


 その言葉通り、精霊の火で熱せられていた魔法液は白く輝く液体へと姿を変える。

 ただキラキラと輝くそれは、星々の光のようにも見えた。


『属性鉄を中に投入して』


 1本1本手で星光液の中に属性鉄の延べ棒を落としていく。

 延べ棒は液に触れ、沈んでいくたびに消えていってしまっているようで、硬質な音は何1つ聞こえてこない。

 やがてすべての属性鉄の延べ棒を投入しきると、星光液は再び光を放った。


「何が起きてるんだ?」


 強烈な光が放たれた後、釜の中の液体はすべて消えており、底の方に白く輝く延べ棒が残されているのが確認できた。

 拾い上げてみると、その白く輝く延べ棒は定期的に明滅しており、まるで脈動しているかの様に見えた。


『それが【月光鉄】。貴女の意志を受けてその通りに動く。今ある錬金釜の組成を月光鉄に変換するように念じてみて』

「念、じる……?」


 よくは分からないけど、言われるがままに月光鉄に対して釜の素材になるように念じてみる。

 すると月光鉄がひときわ明るく光ると、錬金釜に吸い込まれて行ってしまったのだった。


「何が起きたんだ?」


 月光鉄の吸い込まれた錬金釜を見てみたが特に変わった変化はない。

 

「特に変化はないようだけど……。うわっ!? 触ったら光った!?」


 見た目に変化はなかったが、俺が触れると錬金釜が一瞬白く光ったのだ。


『貴女だけがその釜の真の性能を扱える。他の者が扱っても普通の釜。さぁ、【概念錬金術】を始めよう』


 俺の中の彼女はそう高らかに宣言した。

 【概念錬金術】、一体どのような物なのだろうか。


「なぁ、概念錬金術って何をすればいいんだ? 大雑把すぎていまいちピンとこないんだが」


 何でもできるとは言うものの、俺としては明確な指標が欲しいところだ。

 慣れていないせいもあって何をどうすればいいのかがわからない。


『手始めに星光液を作る。もう魔法液はいらない。月の光をそのまま粉にして釜に溜めてみて』

「わ、わかった」


 声に従い、俺は月の光に手を翳す。

 再び粉が手のひらから零れ落ちるとそのまま釜へと降り積もっていく。


「粉が降り積も……ってえぇ!? 液体になった!?」


 釜の底に溜まった月光の粉はなんとそのまま液体になったのだ。

 しかも魔法液に月光の粉を落とした時と同じ白く輝く液体にだ。


『これは星光液の中でも月の力を強く受けた、いわゆる【月光液】というもの。星の光でも同じことができるけど、星の光はどちらかというと属性の無い液体みたいなもの。だから星の光で作る星光液は何にでも使える。月光液は少しだけ用途が限定される。じゃあ次、星の光を受け取る器を作って。月光液と月光鉄を使って【星の器】を作る。これはその後に作る道具の材料を用意する物。ここからは私たちにしかできないことだから、楽しんで』


 早速言われるがままに属性鉄を月光液に投入。

 すると月光液はそのまま蒸発し月光鉄が残る。

 月光鉄を入れたまま再び月光液を満たし、星の器をイメージする。

 底の深い深皿みたいなイメージでいいだろうか? そんなことを考えていると月光鉄の錬金釜の水面にいくつかの奇妙な画像と文字が浮かんでいるのが確認できた。

 

 どうやらこの素材で出来る成果物と足りない素材を示している様子だった。

 月の器、星の器、太陽の器とあったのでそのまま星の器と書かれた場所の中空を軽く指で押す。

 すると画像と文字の表示は消え去り、月光液が再び蒸発。

 底の方に白く輝く大きな金属製の深皿が生まれたのだった。

 深皿の上には何かを置くようなスペースが存在している。


『その星の器と次に作る【月光結晶】をセットにして夜に星の見える場所に放置して。そうしたら星光液が溜まっているから。月の器はそのうち素材が足りなくなったら作ればいいから。じゃあまず各種の精霊石を10個ずつ投入して【精霊結晶】に変化させて。その後各種精霊結晶を同じように月光液で再度変化させれば【月光結晶】ができる』


 言葉の通りに各精霊石を10個単位で月光液に投入。

 1つずつに纏まり大きな精霊結晶に変化するのが確認できた。

 続いてこれを再び月光液に投入して少し待つと、白く輝く結晶体が出来上がる。

 この白く輝く結晶体を星の器にセットすると、徐々にだがすぐに結晶の周りから白っぽい液体が生成されるのが確認できた。

 どうやらこれが【星光液】のようだ。


「できた」

『星光液は月光液と違いすべての大本になる。【星光液】を集めて釜に入れて月光結晶を入れると【星光結晶】になるから。今度はそれも作ろう。【星光結晶】は昼間でも星光液を作ってくれる。便利だよ』

「なるほどなぁ。これでその後に色々な素材を作るってわけか」


 核となる素材は【月光液】と【星光液】のようで、これらを基に新しい素材を作るようだ。


『うん。今度は廃鉄のリサイクルとか素材の複製についても教える。今日はここまで』

「素材も複製できるってどういうことだよ……。まぁわかった。また次頼む」


 こうして俺たちの夜の実験は終了した。

 今後この素材たちで何ができるのだろうか。

 ちょっと楽しみだ。

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