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第21話 旅路 街道の動物事情

 というわけで、俺たち4人は1日を準備に使い、シャーリーから特製テントを貰って、翌日旅に出ることになった。

 一応ドレアの街からも乗合馬車は出ているのだけど、道中にある馬車の停留所まで歩いて進んでみることにした。

 もちろん前日の時点であいなも探索者組合に登録済みだ。


「イリス、本当に気を付けて行けよ? いつでも戻ってきていいからな?」

「追い出されるわけじゃないし大丈夫ですよ」

「おっちゃん心配なんだよ」


 門を警備する警備隊のおじさんが心配そうな顔で俺たちを見る。

 まぁ気持ちはわかるけどさ……。


「周辺の巡回情報は貰っているので問題はないと思います」

「一応ターレスの街に着いたらあっちの警備隊事務所にこの手紙を届けておいてくれ。イリスたちのことを書いてある。まぁ門番でもいいが」

「承知。じゃあ行ってきますね」

「いってきまーす」

「ん」

「いってきます」

「がんばれよ~!」


 まるで旅に出る子供を見送る親戚のおじさんのようである。

 では気を取り直して早速進んでいこうか。


「旅、初めてなんですけどどうすればいいんでしょうか……」


 若干不安そうなのが1名。あいなこと1号だ。

 間違えた、逆だ。


「この街道は魔物除けの結界塔が一定間隔でいくつも建てられているんだ。基本的にはその中にいる場合は安全だと思ってもいい。ただ結界塔と結界塔の間は魔物が入り込むことがあるからそこは気を抜かないように。ここだと、ほらあそこに石灯篭みたいなのが建ってるだろ? あれが結界塔だ」


 俺が指示した先には日本の寺社でよく見るような形の石灯篭が設置されていた。

 この石灯篭の結界は灯りにもなり、暗い夜道の目印としても重宝されている。

 この世界には異世界人が来ることは珍しくない。

 その理由の1つがこの石灯篭といえるだろう。


 この石灯篭、今から何百年も前に日本からやってきた【法然ほうねん】という僧侶がこの世界の神殿組織と出会い、協力して作り上げた産物といわれている。

 神殿組織、今の神殿と同じらしいのだが、当時の彼らには結界を小さくして長く維持させる術をもっていなかったそうだ。

 そんな彼らが異世界からやってきた僧侶に出会い、僧侶の知る小型の結界術を取り入れ生み出した物らしい。

 そのせいか、石灯篭の中には梵字が刻まれているのだ。


 でも不思議なんだよな。

 この梵字の効果って精霊文字の効果とそっくりなんだよ。

 もしかしてこの世界の精霊の源流って古代仏教と関連あったりするのだろうか?


「石灯篭、ですか。なんとなく馴染みのある言葉ですね」

「まぁ起源は異世界の僧侶らしいからそうだろうね」


 俺はこの世界になぜ日本からの転移者が多いのかその理由を知らない。

 この世界と古代日本にどんな関係があったのかも、その成り立ちも知らない。

 けど、この梵字の一件は何かしらの密接な繋がりがあるのだと確信させてくれる。


「奇妙ですけど、なんかわくわくします」

「この世界に住んでてもわからないことだらけだからね」


 そう、わけわからないことが多すぎるのだ。

 例えば勇者。

 特殊な方法で女神が召喚するときのみその能力を宿すという普通には存在しない職業。

 勇者自体がスキルだという話もある。


「この道をずっと辿るとそのターレス? の街にたどり着くんですか?」


 あいなは目の前に伸びる道を指さし、道の先の空へと辿るように向ける。


「そう。途中にもいろいろな設置物があるから見ながらいくよ」


 この街道には一定間隔で石灯篭の結界塔が設置されているほか、間隔は広いが警備隊の連絡塔が設置されている。

 中には当然当直の警備隊員が勤務しているほか、出張探索者組合の窓口と近隣の村などの依頼が掲示されている依頼ボードが併設されている。

 

「あ、遠くに狼の群れがいます!」

「あれは草原狼だね。平地に生息する狼で、それなりの数がいるんだ。穴を掘って巣穴にするらしいから穴に落ちないように注意する必要があるよ」

 

 草原狼は平地の厄介者といわれている。

 道がない場所で何も注意せずに進むと気づかないうちに巣穴にはまり込んでしまうからだ。

 もし草原を走る狼を見つけたならその方向を避けて通ることが推奨されている。

 なぜなら草原狼の巣穴の範囲は基本的に狭く密集しているからだ。

 ちなみに、警備隊の定期駆除対象でもあると同時にこちらも探索者組合の定期駆除リストに載っているので、腕に自信がある人にはおすすめとなっていたりする。


「角の生えたうさぎにそれを狩る猫、なんか色々いますね」

「基本的にみんな動物だね。魔物じゃないよ」

「そうなんですか? どんな子たちなんだろう」


 一角うさぎは硬い角を持った中型のうさぎだ。

 攻撃は基本突進だけだけど、その一瞬に身体強化魔法を使うので矢のような速度で飛んでくることが知られている。

 急な方向転換はできないので落ち着いて回避することで対処が可能だ。


 草猫は草原や森に潜む猫科の動物で、素早い狩猟者として有名だ。

 特殊能力はひっかき攻撃時に出る爪を起点とした延長された斬撃だ。

 ひっかき攻撃と同時に魔法攻撃が発動し、まるで見えない爪が襲い掛かってくるように感じる斬撃が襲ってくる。

 爪を使い始めたら急いで回避することが推奨されている。


「こわっ! 草猫こわっ!」

「一応手懐けると飼いならせるそうだけどね」

「どんな豪胆な人ならできるんですか!?」

「ちなみに飼いならすと独占欲を発揮するらしい」

「報酬は魅力的ですけど、その前に私がバラバラにされちゃいます!!」


 あいなは猫好きなのだろうか? 悔し涙を流してそう言い放ったのだ。

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