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第15話 学園と技術

 この世界の学園は前世でいうところの大学のような存在だ。

 研究機関と大学部があり、その下に専門科や高等部や中等部、初等部や幼稚園がある形になっている。

 この形式は昔この世界に来てこの街の開拓に尽力した異世界人が提案した形式とのことだ。

 

 なお、このドレアの街だが様々な国境に属しているせいか都市収益が結構大きいらしく、他の都市に比べれば学習関係施設のお値段が比較的安め二設定されている。

 なので結構街の人は子供を学園に通わせてたりするんだよね。

 実際他の都市にも学園都市はあるのだけど、このドレアは研究施設の増設にも力を入れているとのことだ。


 その都市を導いているのが各種族の代表と副代表からなる連合議会だろうか。

 もちろんエルフの国の一都市ではあるのだけど、国としては関与しない方針を示している。

 まぁこの都市が聖域の森に近い場所にあるというのも1つの要因なんだろうけど。


 そんなわけで俺は今日最後の配達の仕事を終えるために学園前に来ているのだが……。


「人、多くね?」


 もうすぐ夕方だというのにやたらと人が多かったのだ。


「お、男女じゃん! お前俺達と年齢近いんだから入学しろよな!」

「イリスちゃ〜ん! イリスちゃんなら絶対制服似合うと思うんだよねぇ? 高等部からでもいいから通いなよ〜」

「イリス、お〜っす」

「よう! というか俺は男女じゃねえし! 入学なぁ。うちの師匠次第かな」


 中等部のガキ共が早速俺にちょっかい出してきやがった。

 こいつら俺を見かけるといつもこうなんだよな。

 あと入学に関しては今のところ予定なしだ。

 まぁうちの事情が事情で複雑だからな。


「親御さんの授業参観の話なら学園長に話を通せばいいんじゃない?」

「そうもいかねーの。まぁ師匠に話でもつけてくれ」


 俺は話をつける気はないからな!

 そんな感じでガキ共を躱しつつ、裏手に回って職員・関係者・仕入れ業者専用門に入っていく。


「イリスじゃないか。なんだ? 入学する気になったのか?」

「それは師匠に言ってください。今日は納品ですよ。魔法薬の」

「あぁ、いつもありがとな。グレモリー商店の魔法薬は質がいいからなぁ」


 そんな風に話しかけてくるのは裏門で守衛をしているドレア警備隊の隊員の男性だ。

 名前は【チェスター】さんという。

 ドレア警備隊は騎士鎧や歩兵鎧のようなものは着用していなく、前世の軍服のようなものを着用している。

 ちなみに防御魔法が組み込まれていて対刃・対魔法の効果が付けられている。


「警備隊も大変ですね」

「まぁそうだなぁ。でも役割分担されてるだけまだマシなんだよなぁ」

 

 そう口にするとチェスターさんは隣を見る。


「我々も協力していますからね」


 そこにいたのは警備を担当している職業精霊の男性だった。

 そう、何を隠そうこの学園は職業精霊の子供も通っているのだ。

 ちなみに職業精霊は精霊関係の素材を求めるときは拒否をする傾向にあるけど、こういった治安を守ったり働いたりする分には特に命令拒否のようなことはしない。

 そのあたりは普通の人と変わらないのだ。

 あまり横柄なことをすると職業精霊の代表者に叱責されてしまうってのもあるけど。


「しかし、改めて考えると職業精霊と人類が同じ学び舎にいるって不思議ですよね」

「たしかに。ただその辺りはグレモリー様が示された方針でもありましたのでね。精霊も人類も同じ世界に住むなら同じ権利を得、同じ規則に従うべきと」

「それ大昔の話でしたっけ」

「そうです。まぁ精霊の職人は素材が素材だけにいまだにその辺りは厳しいですけどね」


 2人の会話を聞いていてもやっぱり不思議に思ってしまう。

 違う存在が同じ世界に住んでいるということが。


「そういえばもうすぐ学園祭なんですね?」

「そうそう、もうすぐなんだよね。みんな頑張ってくれているみたいだからなぁ」

「今年はどんな感じになるんでしょうかね。見ている限りでは実験系が多いようですが」

「実験かぁ……」


 そういえば師匠が最近蒸気機関という技術の開発が各国で進んでいるという話をしていたっけ。

 元々原理を研究をしていたこの世界の技術者と知識を持った異世界人が出会って始まった開発だとか。

 ふむ、文明開化の匂いがしてきたぞ。

 もしかすると電気が使える日も近いのか?


 ちなみにこの世界のトイレ事情はまだ最低ランクといっても過言ではない。

 ドレアの街はまだ汲み取り式のトイレが主流ではあるものの一部では水洗式トイレが採用され始めている。

 もちろんそれに伴う下水処理設備も少しずつだが建設されているが数や規模の問題があるようだ。

 ただ研究者たちは日夜頑張って研究しているし、たまたまやってきた異世界人にも手伝ってもらったりしているようなので快適なトイレももうすぐ現れるかもしれない。


「やっぱり技術者志望が多いんですか?」

「今の時代の花形だからね。この学園にも【魔法科学科】というのが大学部のほうにできたんだけど、結構な人数がいるよ。なんでも魔法と科学を同時に研究しつつ両技術の融和と発展を目指しているんだとか」

「ほー」

「じゃあもし魔法がなくなったとしてもどうにかできるってことですか?」

「どうもその辺りも研究しているらしいね」

「ふぅん」

 

 個人的には魔法という力がいつまでも存在しているとは思えない。

 なので自然科学などの方面も研究してくれているなら個人的には安心だ。


「人類は長い間、魔法に頼りすぎていたからね。異世界人の知識人に出会って少しずつ考えが変わっていったんだよ」


 チェスターさんは遠くを見ながらそう語った。

 さてそろそろ帰りますかね。


「それじゃあ魔法薬は納品しましたので受領証ください」

「はい、こちらだよ。ありがとうね」

「また来てくださいね」

「はーい」


 よし、これで学園への配達は完了だ。

 さっさと店に帰るとしますかね。

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