秋の終わり 2
男の子は行ってしまった。
私は夢の淵をふらふらと落っこちないように歩くように、夕方の公園を散歩していた。
もうすぐ日が暮れてしまう。
今から、学校へいって屋上に上っても、あたりは真っ暗になってしまうだろう。
正直にいうと、もうあの男の子に会えないのは、寂しかった。
もっともっと、一緒の夢の中でお話してみたかった。
ちょっとだけなんだか私に似ていて、一緒にいると楽しかった。
でも、良かったんだ。
そう独り言を呟くと、胸の奥がぽっとあたたかくなった。
なにがあたたかいのだろう?
またひとりぼっちの孤独な切り離された夢や現実の中にもどるとしても、もう怖くないように感じた。
上を見上げると、濃い紫色の空。
(あ、一番星みーつけた!)
どこからか、小さなあの人の声がする。
私の心の中で、生き生きと声がする。
もう否定はしない。私の宝物。卑屈にならないで、大事にしてこう。
そうだ、やっぱり屋上にいってみよう。
きっと星が綺麗だろう。
私は少し早歩きに駅から学校へ向かう。秋の冷たい夜風が気持ちよく、頬をなでる。
目覚めたら、真面目に未来とか将来のことを考えようかな。
逃げないで、現実を生きてみようかな、だって見えないだけで、過去にも未来にもちゃんと繋がってるんだから。切り離されていない。
そして、次にあの人に会ったら、自分から挨拶してみようかな…できるかな…。




