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伝説の始まりは現実の終わり  作者: 一ツ柳八重
第二章 奴隷都市ブロッサムプリズン
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乖離・兆候・理解

一か月かかりましたが、人によっては刺さるかもしれません。

そして、今回は初めて由紀が行うことがあります。

どうぞ、楽しんでいただけたらと思います!

 これ以上何もできないと考え、自室に籠ろうとしたら、玄関が開いた。

 既に21時を回ってるんだ。

 親が帰ってきてもおかしくない。


「はぁ、腹減ったなー」


 そんな声が聞こえる。


「由紀―。ご飯はどこにある?」


 そんな声を聴き、少しストレスが溜まる。


「はぁ。仕事から帰って来たのに、出しもしないんだな」


 そう言う。


「ちょっと待って」


 急いで、リビングに行く。

 冷蔵庫にしまっていたおかずと、炊飯器からご飯をよそってテーブルに置く。


「はぁ疲れた。あ? はぁ、これ辞めてくれって何度言っても理解できないんだな。疲れてるって言うのに」


 そう、おかずにラップをかけて出していた。

 人によっては許さないだろうし、我慢できないのだろう。

 こんな事を思っていたら、批判も出ると思うが、仕事してればいい訳じゃない。

 言い訳に聞こえるが、人にはそれぞれやらなければいけないことが存在している。

 それを行うのが、働く事よりも楽なのだろうか?

 そう、考えてしまうときがある。

 昔の話だけど、SNSで仲間になった人が居たが、確実にルールを決め、それをしっかりとやらなければいけないという事があった。

 その窮屈なルールに意を唱えた。


 『仕事みたいじゃないか』


 これを言ったのがダメだった。

 働いたことも無いのにそんなこと言わないで。と。

 ゲームはすぐ辞めれるけど仕事は辞めれないと、そう言った。

 働いてないから分からない、そうゆうのは確かにある。

 それが大変なのもあってるのだと思う。

 でも。

 それは、学生時代よりも現実が厳しいからだと感じる。

 そして、何よりも責任の大きさだと感じるんだ。

 これが、何よりも大きいが、言っている側には分からないのだと思う。

 それ以上の責任を強要していることに。

 働くのは、嫌だから、辛いから、我慢しないといけないから。

 その感情によって、不満が溜まっていく。

 その為、家庭でその不満を、ネットで不満を漏らす。

 それが、さぞ正しいと言うように。

 働くことは、素晴らしい事なのに、それが外から見たらどんなに大変でも。

 それを見ている人は、頑張りを見ているんだから。

 でも。

 他の人の頑張りを見えてない。

 学生は楽なのか?

 受験がある。

 勉強が義務づけられている。

 ただ責任がないだけ。

 でも、それを、責任を進んで取ってくれない大人もいる。

 そう。

 他人に危害を加えて、強要する人は責任感を持ってない可能性がある、と個人的に感じていた。

 そして、役目や役割を与えて、願望道理にこなせないと、不満だけ口にする。

 その事は当人にとって、あくまで優しく諭したと、そう考えている事が多い。

 直せると、そうただ教えてるだけだと。

 それが、溝を生んでいるのに。


「ご、ごめんなさい。今度は気を付けるから」

「もうういい。どうせ直す気なんてないんだろ」


 そう、怒りを含ませていってくる。


「ごめん」


 その一言が。

 気持ちに刺さる。

 怖いんだ。

 父親はTVを付けて、笑い始める。

 僕は、自室に向かった。

 働くって、どうゆう事なんだろう?

 他人を傷つけてもいいのだろうか?


「おじいちゃん」


 お爺ちゃんもそうだったのかな?

 記憶の中に、お爺ちゃんの顔が浮かぶ。

 ベットに倒れ込む。

 その間も父親の声が二階まで聞こえてきてる。

 若いって、それだけで罪なのか?

 いう事を聞かないといけないのか?

 そこに、本人の気持ちは。

 その人の気持ちは?

 こんな事を考えれば、わがままだと取られても仕方ないだろう。


『由紀。お前は素直に過ごしなさい』


 その言葉を思い出す。


「人それぞれ違うんだ。今自分にできる事を」


 そう。

 向こうはゲームかもしれないが。

 僕がやらないといけない事がある。

 調べよう。

 まだたくさんのやる事がある。

 机に向かって、椅子に座る。

 手元にある書籍を漁り、ある一冊の本をめくる。

 その本のタイトルは。


「イマジナリーヒーロー」


 この本は、昔に読んだ本で大切にしていた。

 今でこそ絶版になり、この日本では珍しい禁書指定されてる。


「この本が禁書にされた理由」


 ページをめくり、マーカーを引いた部分を見る。


 人は生まれながらにして、役目がある。人を殺す事が役目の人もいるだろう。宗教では許されない行為だ。だが、それが環境によって変わってしまう。もし、戦時中なら、戦った人を責めるだろうか? その時は戦わなかった人を責めるだろう。戦時中じゃ無ければ? 戦う人を責めるだろう。その責任は、誰に行くのか。それを言い始めると、何も変わらないのだ。その人にとって本当に大切なのは、正義感や責任感じゃない。その人が正しく在ろうとする心なのだ。他人を、見知らぬ人を助けよう、その事に大人も子供も関係ない。出来る人が進んでやらなければいけない。成長とは。歳をとる事ではない。大人とは、働ける人の事ではない。本当の成長と大人は。正しい事を、正確に読み解き、間違いない事を疑える事だ。自分自身の事を疑い、他人を認めようと、理解し手を差し伸べる人その人なのだ。それこそが本当のヒーローである。


 この言葉に救われた。

 分からないけど、何を言いたいのか全部は理解できないけど。

 自分の役割は、自分だけが知っている。

 幻想だと思う。

 自分の事なんて分からない。

 でも。

 その事を疑い、やれることを信じることの大切さは。


「今の僕になら、分かる」


 この言葉は社会に響かないだろう。


「やるべきことは」


 システムに使う正しい基準と、滅ぼした人が走らせたプログラムの内容の把握。

 その把握した後に、切り取る断罪のシステムの理解が最優先。

 公安の人が話していた感じだと、たぶん身体と精神に影響させることだと考える。


「精神と肉体」


 この二つだと、宗教が出てくるだろうが、多分そのたぐいじゃない。

 それならば、洗脳した方が早い。

 わざと、影響を出させるようにしたんだ。

 そうなると、もっと根本的で人にもともと備わってるものに作用させる事。


「欲求」


 そうだ。

 公安の女性が制御が効かない、意識が持っていかれると言っていた。

 そして、男性は筋肉痛と過度の恐怖。


「三大欲求と、強制力」


 この二つ。

 もしこの二つなら、切るに切れない。

 悪の、いわゆる強制力は切り離せる。

 断罪は罪を罪として切り裂く仕組みのはずだ。

 殺人を起こしたら、その人の邪悪の種を切り裂き、その大きさをダメージとして与える。それが断罪だ。

 その罪が許されない、いいや、違うその事柄が、生に向かってない事柄を切り裂くことが本質だったとしたら。


「三大欲求の一つ、多分男性は睡眠欲を消されたのかもしれない」


 昔、非人道的な実験があった。

 睡眠の重要性を検証するもので、確か。

 睡眠実験。

 この場合、15日眠らない場合精神に異常をきたす筈だ。

 近くに置いてある携帯を持ち、検索を掛ける。

 ノートを出して、メモを取る準備。

 睡眠実験。

 強制的に覚醒状態を維持させた場合、数日後に幻覚を見始める。

 更に期間が過ぎると、叫び声を上げ始め、不安と恐怖感覚を失わせる。

 つまり限界を超えている事に気が付かないんだ。


「これだけじゃ、向こうの世界では死んでしまう。アリスから聞いた話だと、間違いなく」


 そして、短時間に激痛が走った。

 これは、僕も経験していたから、多分意識的にかかった負荷だとも思ったが。

 経験を何百とさせて、たった一日が何日分として、フィードバックさせるための物なら。

 確か強化学習。データーが存在するあの世界なら。

 上手くいったものを、正規として扱う、そんな事だった気がする。

 本来可能じゃない事を起こしたんだ。

 彼ならやれるはずだ。

 それだけの事はやってのけると、感覚的につかめる。

 だって、彼はチュートリアルを行う村を滅ぼし、研究者が多かった、今なら分かる隔離地域にまで侵入し殺したのだから。

 そうなると、僕が切らなきゃいけないのは強欲だろう。

 欲望に逆らえなくし、上手く行った、悪く言えば欲望に忠実になった精神状況を上書きしたのだから。


「もしそうなら、今の僕には切ることが出来ない」


 ゲームなら、このような事態に対応する仕組みが存在するだろう。

 運営が用意しているだろうし、そうなる事は検証済みのはず。

 でも、七光鉱石の暴走に関しては、対策されてなかった事を考えると、その対策はされてないのだろうと考えられる。

 そうじゃ無ければ、僕の力を使う話なしで、ヨシュアさんがそのシステムを特定できるはずだ。

 あの後も何度か向こうの世界に行ったが、何も変わってない。

 準備にかなり時間かかっているのは、僕に原因があるのかもしれない。


「いかなきゃ」


 僕は、このもやもやした気持ちのまま、向こうの世界に行くことにした。


 ♢  ♢  ♢


 エンドワールドに来てから、初めに向かったのはTLSのクリス博士の場所だ。

 理由は簡単だ。

 この始まりの街周辺の訓練場を聞くためだ。


「ん? おお、由紀じゃないか。こんな夜遅くに歩いてたら、儂みたいな変態に絡まれるじゃろ」

「今回も遠慮しますが、この付近でレベルを上げる所はありませんか?」

「ふむ」


 顎に手を当てて考え込んでる。


「この付近でと言っても、お主は七光じゃ。並の相手だったら地域をそのまま焦土にするじゃろう。儂の記憶上だと、プレイヤーが狩る場所ではダメじゃな。少し待っとれ」


 そう言うと、手元からスマホを出した。

 スマホ?!


「く、クリス博士! スマホって持ってこれるんですか?」

「ん? ああ、持ってこれると言えば持ってこれるわい。ただ、端末にかなりの負担をかけるからお勧めはしないがのう」

「じゃあどうして?」


 どうして持ってくるんだろう?

 そんなリスクを負ってまで。


「今見せてやろう」

「はい」

「へい、し……。メインサーバーに接続して初心者以外が戦える場所を教えて」


 ちょっとまって。

 いやいや、ちょっとまって?

 今なんて言った?

 へい、し――。

 言おうとしたら、なんか言葉に詰まる言語を言わなかった?


「何でリンゴなんですか?!」

「若い者が何言っておるんじゃ。あたり前じゃろ? 音声入力なんて」

「いやいや、確かに使う人はいるけど、そこで使うんですか?」

「そっちの方が使いやすいなら使うじゃろ、お? でたぞ。ここから、北に向かって3キロ。そこから東に5キロ進んだ先に沈黙の森とテロップが出てくるところがある。そこなら問題ないじゃろ」


 ここで突っ込んでは話がおかしな方向に行くのが分かるので、スルーしないといけない。


「ありがとうございます。それでは」


 気持ちを抑えて向かおうとすると声がかかった。


「すまんの。由紀の様な少女に頼らないと、この事態を収拾できなかった、わしら大人のふがいなさが恨めしいんじゃ。ここ数日、ワシ等はこの世界の判明している所を探したんじゃが、精神汚染の解除するものを見つける事が出来なかった。申し訳ない」


 その声は、悔しさを感じるには大きすぎた。


「大丈夫です。クリス博士にはたくさん助けてもらってますから。今回は見つけられなかっただけで、実際はあるかもしれないじゃないですか。向こうで、医学が発展するのも、知らなかったことを見つけられたからです。ゲームでもデバック作業を行って、不具合を修正するじゃないですか。でもそれは普通のやり方で見つけられるものではないです。だから、今回は僕が出来るだけだった、それだけですよ」


 後方に向けて話しかける。

 そう僕は考えていたから。

 世の中には、さも当たり前と、行う人もいるだろう。

 でも、中には怖がり恐怖を覚えながら頑張る人もいるんだ。

 その人たちが頑張ってくれたから現実では、沢山の研究や発展が行われた。

 だからこそ、クリス博士の苦痛は、何となくわかる。

 だから少しでも、クリス博士の苦痛を和らげるように、振り向きながら一言。


「ありがとうございます」


 そう笑顔で言った。

 そのまま、僕は走り出した。

 たぶん見てはいけないんだろう。

 歳いっても尚、誰かの身を案じるそんなお爺ちゃんなら。

 言われた所に向かい、ただただ目的地に向かった。


いかがだったでしょうか?

今回は、若い故の悩みや、大人が故の考えがそこにはあると思います。

その中で、双方が理解しあえるのは本当に少なく、由紀自身にも分からないことが起こってます。

でも、ゲームに入り少しずつ、変わり始めてます。

自分とは何か、何がしたいのか、それを見る様になってきました。

もし、今回の話で、当たり前だろ、と思っていただけたなら、それは本当にありがたい感想です。

そうじゃない、わかってないだろう! そう感じたのなら、きちんと表現が出来てると感じます。

今は由紀の周り、特にゲーム世界では、人に恵まれてます。

ですが、現実では反対です。世界は狭い範囲でしか物事を把握できませんが、たった少し違うだけで、このように対照的になりえます。

理想だとしたら、その理想は、誰が手に入れられたのか? それを感じてもらえたら、執筆してる私自身とても嬉しいです。

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