出会い
前回から早三か月たってしまいましたが、やっと書けました。
今回のから第二章になりますので、どうぞ楽しんでください!
あれから数日が経過した。
来ると言っていたアリスさんはなかなか来なかったので、どうした物かと考えていた。
心配するところなのだろうけど、何故か心配したら失礼な気がする。
ここ数日、向こうに言っていたが、アリスさんと出会う事は無かった。
錦戸さん、ヨシュアさんとの特訓により、力の制御と効果範囲を把握する事も出来た。
その時に、スキルの覚醒し、そのスキルが緋炎の三の太刀だった事にその場にいた人たちが驚く。
エンドワールド上では、基本動作がスキルに置き換わる性質上、このスキルが二の太刀からの派生でできるものなのに、制御で覚醒したからだ。
分かりやすく言うと、格闘で構えから、ねじる動作を入れて突き出す正拳があったら、ねじると言う動作のスキルが無いのに、打ち出す方だけ覚えたようなものだった。
料理だと、いきなり野菜を切った後の話をされてるようなもの。
そんな何かおかしい事を起こして、いよいよ明日、後遺症の除去を行えるところまでなった。
「ついに明日なんだよね」
その間、イメージトレーニングは欠かさなかったので、練習の時もうまくできた。
TVを付けると、どこかのアイドルが出ていて、エンドワールドの話をしている。
『ええと、ラピスさんはエンドワールドでは一般の冒険者と聞いていますが、あの世界は怖くないんですか?』
黒髪でロングヘアの女の人が笑顔で答える。
『確かに、あの世界はゲームのシステムが導入されているだけの世界です。現実でもありますが、怖くはないです』
この声、確か何処かで?
アリスさんに似ている気がする?
『じゃあ、やはり殺人も?』
この言葉を聞いた時に初めてテロップを確認した。
【衝撃! あの人気アイドルも快楽者? 沢山の死者を出した話題のエンドワールドについて暴く‼】
沢山の死者が出た事は間違いないし、何人者の心に傷を負わせた。
だけど。
このような報道の仕方は可笑しい気がして、心がざわついた。
あの戦いのさ中、皆それぞれ守るために戦っていた。人の生き死に、街の住人を必死に守っていた人もいたし、嫌でも従わなければいけない人、つらい過去から逃げてあの場に希望を託していた人もいたはずだ。
『確かに殺人を目にした事はあります。私自身あの世界の在り方が正しいとは思ってません』
『では何故行くのですか?』
『行くのはあの世界を守りたいと言う人たちがいるからです。私はあの世界ではちっぽけな存在です』
『アイドルなんだからもっと目立っているのでは?』
『アイドルだからって、目立ちませんよ。この世の中で、目立っているのって一握りですよね。地下でもアイドルをしている子なんています。お金が無くて、おしゃれできない人たちもいますが、彼女たちは輝けていませんか? 私はそれぞれ輝けていると思います。でも、私達みたいなのが居るから、自分には無理だと傷を負わせることがあるんです。何を言いたいかと言うと、向こうの世界では皆が輝いているんですよ。だから私は、向こうだと一般の冒険者なんです』
『なるほど。だから殺人も?』
『はい。この世界でも妬みや恨みはあります。あの世界、あのゲームが出来てこの世界での犯罪が減ったのも事実。誰かが裁かないといけないと感じて、自警団も組織されました。最近起こった大量死亡事件。あのさ中に私もいましたが、本来はもっと悲惨だったと思います。その時、命を懸けて守ってくれた人もいますから』
この子、凄い。
TVの誘導に関して意に止めない受け答えをしている。
ただ、聞く方は全く関係ない話をされていると感じるだろう。
そんなインタビューと言うのか、回答は、僕の感覚からして、そう言うのしか出来ないのだろうとも感じるのだから、向き合い方なんだろう。
そう考えてるとインターホンが鳴る。
僕はこんな時間に誰なんだろうと思い、玄関に赴き、ドアチェーンを掛けてから声を出す。
なぜモニターで見ないのか? と感じる人もいるだろう。
それは、現在壊れていたからだ。
「どちら様ですか?」
「約束」
この声何処かで聞いた気がする。
ドアチェーンの状態でドアを開けると、隙間に綺麗な指が割り込んできて、頭が視界に入って来た。
顔は見えないけど、この帽子何だっけ?
キャビネットみたいな名前だった気がするんだけど?
「キャビン? キャスト?」
「帽子の事言ってる? これはキャスケット! そろそろ開けてくれない?」
ちょっと不機嫌な声を聴きながら、チェーンを外して中に居れる。
「ええっと、アリスさんであってます?」
「そうよ」
キャスケットをかぶり、シャツに、短パン? いいや確かショートパンツって言うんだ。それにベルトを付けている。
そして帽子を取ると、黒い何かが舞った。
それが髪だと気が付くのにどれ位の時間がたったのだろう。
サラサラしており、空気抵抗と言うのだろうか? そこを舞っている、重力すらも感じない程綺麗に舞っていた。
何度も何度もくどいけど、その綺麗な髪に見とれていたんだと気が付くのに遅れて、初めて顔を見た。
少し釣り目状で、でもどこか幼さが残る顔立ちは、ゲームの世界とはかけ離れていた、大人の人の空気まで持ちあわえていた。
「あの、僕あの後すぐ来ると思って、色々待ってたのですが?」
「それは後で話しましょう。中。入れてくれる?」
そう言われて玄関にいる事に気が付いて、自分の部屋に通した。
あの感じ。そうだ。さっきまで見ていたアイドルの子に似てるんだ。
飲み物を持って、自室に行くと、我関せずの顔で普通にベットに腰かけていた。
「殺風景ね」
「うん。楽しくなくてごめんね」
「いいよ。いつも女の子の格好してるのに家ではしないの?」
そう問われる。
答えられない。
現実では、それは許されない事だと、人として存在しては行けないものだと、そう刷り込まれたからだ。
「だ、だって変でしょ? 『男』が女性の格好するなんて」
そう言いながら机にドリンクを置く。
それを待っていたのか、置いた瞬間に腕を力いっぱい引かれてバランスを崩し、そのままベットに倒れ込む。
でも、上にはアリスさんがいた。
「それでいいの?」
その目を見ていると、どこか悲しそうな、何かを訴えてくる空気を与えてくる。
そして、顔に彼女の手が振れ、首、肩、腕と流れていく。
「こんなに細くて、すべすべで。どれだけ努力してきたのかも分かる。男性とか言っているのは周りの評価、学問上だけ」
そしてお腹を指すって脚に。
彼女の髪が顔にかかる。
「こんな事されてるのに、顔色一つ変えない」
そう言いながら顔を近づけてきてるけど、抵抗が出来なかった。
振り払えなかった。
どれだけ、自分はそうありたいと、そう居たいと願った先にあるもの。性別の垣根を超える事は出来ないし、今の自分での不可能な現実。
その全てを彼女が持っていたから、彼女になら何されてもいいと感じたのかもしれない。
それだけ、自分はどこかで、それが正しくありたいと願ってしまっていた。
「まぁいいわ。私の名前。天王寺アリス。記憶にあれば嬉しいけど」
「ごめん。わかんないや」
「でしょうね」
その言葉は、悲しみに染まっているのを感じる程度には感覚は生きていたみたいだった。
でも、来るのって明日じゃなかったっけ?
そんな疑問を今更ながら思い出すのだった。
現実世界での出会いは本来危険な事です。
そんな中で、由紀はアリスに合う事になりました。
ゲーム内では同性として機能してますが、現実では男女関係に当たりますので、実際したら危険が伴うので警戒しましょう。
と、前置きはこの辺で。
今回の話は、由紀とアリスに関する出会いの話になります。
読んでいただいたら分かりますが、アリスさんは由紀の事を知っています。
過去の事を調べたのかはたまた噂で聞いたのか?
その事はまた後で。




