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伝説の始まりは現実の終わり  作者: 一ツ柳八重
アンダーグラウンド
39/53

決着

開いてくれてありがとうございます。

今回も少しドロドロしてしまっている内容になりますが、何が原因で人を狂わせるのか、と言うことが書きたくて、このような内容になってしましました。

それでもいいよ! と言う方は読んで楽しんでもらえたらと思います。

 どれくらい歩いたのだろうか?

 あの部屋を出てからの感覚が分からなくなっていた。

 今目の前には5メートルはあるだろう大きな扉がある。

 事前情報だと部屋として認識してた為、このような大きな扉になっているのが更に精神を圧迫してくる。

 扉には、何本もラインが走っており、中央に丸い水晶が填まっていた。

 ここまで来るのに、痛みや強制的な快楽と言うべきものに襲われてた。

 他の人はどちらかのみなら、精神に異常をきたす筈だ。


「ここに犯人が」


 重い扉を開けようと扉に手を触れる。


【認証若しくは権限の提示を行ってください。現在、特定の人物及び、管理者以外の入室を禁止しています】


 メッセージと警報がなり、権限の証明を要求される。

 頭が割れそうになりながら、纏まらない思考をめぐらす。

 権限の提示若しくは、特定人物のみ。

 つまり、特定人物って事は仲間がいる可能性も考えないといけない。

 同時に権限の提示は。

 僕が申請した街の権利を提示すれば。


「認証を承認したいんだけど、どうしたら良いですか?」


 息が荒くなりながらも扉に問いかける。

 基本、アナウンスが行われる所は、質問や疑問に対して自動応対が行われるようになっているのを、権利を付与された際に頭の中に出された。


【認証に必要な権限の提示は、認証申請とアクセス機に言ったのち、こちらの水晶に触れてください。認証する権利及び権限の名称をその後お伝えください】


 つまり、良くある本人確認みたいなのだろう。


「認証申請」


 アクセス機に言い、水晶に触れる。

 Connectionと言う文字が出た後、OKと表示され、権利の宣言をするように促される。


「街の管理者権限を提示。全システムを私のアクセス機に統合を求める」

【認証確認。解錠します】


 眩い光が目の前を染め上げた後、大きい扉が八方向に開かれる。

 中に脚を踏み入れたら、そこはこの世界の、現実に本当にあるのか? と感じる程の場所だった。

 部屋の真ん中って言っていいのか分からないが、中央に黒いモノリスみたいなのが鎮座している。

 それは黄色い光るラインが何本も走っている。

 そして、何よりも異常と感じたのはその空間そのものだ。

 部屋の角が見えない。

 天井も、床も、壁も。

 その空間は無限に広がっているようなそんな感覚をもたらしていた。


「アニメの中か空想の中じゃん」


 ゲームの世界って言うのは分かっているが、明らかに現実として存在していると分かる恐怖と畏怖。

 そして、それが作りもので見た事のあるそんな印象まで与える、無の空間と言ってもいいそんな部屋だった。

 一面白い世界。

 遠近感も存在しない。

 モノリスに向かおうと歩みを進めると、先ほど来た場所も白くなる。


「閉じた?」

 

 そこに不安がなかったのか? と聞かれれば嘘をつくことになるが、それでも不思議と大丈夫な感覚を同時に与えてくる。


「まさか、動ける人が居たなんてね」


 落ち着いた男性の声が聞こえてきた。

 モノリスの方を向くと身長は170前後に見える男性で、シャツにベスト、スーツのパンツをはいていた。

 如何にもどこかの御曹司の様なそんな感じで、顔つきも優しそうな?


「それに女性とはまた皮肉なもんだ」


 その声音も優しいと感じてしまうほど、柔らかかった。

 その時に、僕は既にアリスから借りてきたソードブレイカ―を構えていた。


「あなたは!?」


 そしてまじまじと観察していたら、その顔に見覚えがあった。

 アリスに見せてもらった冤罪を掛けられた男性。


「そうか。僕を知っているんだね。で。ここに何しに来た」

「街の皆を助けるために」

「なぜ?」


 その声には感情が乗っていない。

 こちらを見つめてくるその目には、生きる生気すらなくなっていた。


「街の皆が辛い思いをしているから」

「そうか。君は善意で助けようと。僕がされたことを知っていて、それを言うのか?」

「痴漢の冤罪で、家族離散だよね」

「そうさ。あの冤罪で僕は全てを失った。人の人生は簡単に壊せる。だが、なぜ冤罪で、無実の罪で失わなければならない」


 反射的に体を捻った。

 頬に痛みが走る。

 その場所に手の甲を這わすと、紅い液体が。

 血が、デテル?

 その感触に思考が一瞬奪われそうになった。


「ここの空間は、開発者が残した特殊空間だ。現実、向こうの世界に限りなく近く、プログラムによって非現実を実行できる。いわば宇宙空間と同じ世界だ」

「なんでこんな事を?」

「復讐さ。たった一人の女子高生によって人生を狂わされ、それが冤罪だとしても警察はその事を公表しなかった。愛する妻も僕を軽蔑した。殺そうとまでした。娘は、化け物を見るようなそんな顔をしたさ。職場の人は全員例外なく、犯罪者と呼び、女性は皆汚物を見るような目を向けた」


 現実では当たり前だ。

 冤罪だったとしても、その可能性があったと言う人は沢山いる。たった囲う性だったとしても自分と、そうしてしまうかもしれないと言う理由だけで排他的になってしまうそんな世界だ。

 そして法と言う物で守られている筈なのに、その法は守ってもらえず、それを使うと更に危害を加える。

 報道もそうだ。

 面白おかしく報道するのに、冤罪だ、と言う事や事実は報道しない。

 批判を恐れるからだ。それが幾ら嘘で塗り固められたモノでも。


「だからって」

「だからってだって? お前らみたいな女がいると世界は可笑しくなる。無実の人が殺され加害を行う物は野放しになる。なら、世界を作り変えればいい。そう言った人が居た。奴隷にしてしまえばこの世界から戻った時、世直しが完成するとね!」


 そこには憎悪が纏わりついていた。


「女は快楽だけを求めて、男は皆労働のみをする。冤罪で苦しんだ人は、冤罪を作った人をこき使え、女は」


 全部言われる前に飛んでいた。

 一気に間合いを詰めて、突き出す。


「おまえ!」


 無言で左肩に短剣を突き刺した。

 その感触は生々しくて、今の感覚に重なって、至高の快楽に誘われているような、危険な感覚を受ける。


「お前! 女じゃないな! 何でお前みたいなのが居る! まぁいい。女は三大欲求の一つを与えているんだ。感謝されるよね。そしてお前は僕が可愛がってやる」


 引き抜こうにも引き抜けない。

 剣先ががっちりと相手の筋肉に押さえつけられている。

 その間も、短剣の溝から血が流れている。

 何か。何かないのか。

 確かこの短剣は先端だけに溝が無かった。

 それはつまり別の用途がそこにあるっていう事だ。

 脳天に激痛が走る。

 殴られた? 

 意識が途切れそうになるが、倒れなかった。


「やっぱり、女じゃないんだな。甘い独特な香りを出してるが、中身は。なら遠慮はいらない。スキル、グロウ」


 水色の粒子がどこかに集まっていくのを感じる。

 考えろ。考えろ。

 創造の基礎が頭の中に蘇る。

 そのものの性質を理解して、それを数値として解析実行する。

 そのものの?

 確か数値は触ることによって、計測できる能力を付加されていたはず!

 実行方法は分からない。

 でも。

 思い出せ。

 この短剣に本来ない溝がある事、剣先しか刺さっていない理由。

 そして、血流しが存在している理由を!

 そして一つの仮説に到達した。

 血流しが存在している理由は確か抜けやすくすること。

 槍でも存在していて、主に突き刺したときに今の様に筋肉などで抜けなくなることを予防する目的もある。

 そして、それは刀だと修復困難なものでもある。曲がるとだ。

 じゃあなんでそんな面倒な事がこの短剣に刻まれているのか。

 それは。


「飛べ」


 迷わず、左手に粒子を集めて、短剣の刀身を側面から殴った。

 短剣は剣先から折れて、外れその勢いのまま回転し、後ろに飛ぶ。

 買ってもらった服の胸元が破かれるが気にしない。


「その出力、七光鉱石か。運がいい。この鉱石を取れれば僕は」

「そんなこと言っても、僕には勝てないよ」


 やっとわかった。

 僕に創造と言う能力を継承するに至った事。

 その使い方が。

 鉄の棒を薄くし、持ち手を太く。


「クリエイト」 


 赤い粒子が舞い、右手に鉄の棒が現れる。


「それで何が出来る?」

「できるよ」


 居合をするような構えを取り、刀身とは呼べないような、そんな棒の側面に左手を添える。

 スキルの意味。

 そして、わざわざ振るのではなくて、こうしないといけない意味。


「スキル。緋炎」


 赤い粒子が舞い、筒状に刀身を隠していく。


「そうか」


 相手は虚空から何かを取り出し構える。


「左腕は使えなくなった。先ほどの衝撃で、関節が砕けた様でね。同時に止血もされたわけだが、刃の先端が中にある。だが、片手で十分だ。語り合おう。君には僕の恨みをすべて受け取ってもらう」


 踏み込む。

 振りぬく。

 その作った鉄の塊は、相手の何かによって阻まれ、砕け散る。

 赤い粒子が爆発を起こし、刀身が行く予定だった進行方向に散る。

 勢いのまま、回転し、更に新しい鉄の棒を作り出す。

 すると頭の中に新しい文字が出てくる。


「二の太刀」


 左下から切り上げる。

 左肩に向かって。

 間一髪のところで、彼は回避をしたが、ベスト含めうっすらと切断されていた。


「殺す気あった?」


 それは分からない。

 意識がだんだんと飲み込まれかけていて、息も上がってきている。

 下半身がふら付き、気を抜くと快楽に身をゆだねてしまいそうなほどだった。


「意識はないか」


 そう言って、彼は銃のようなものを取り出す。


「意識? 確かにもう限界だよ。でもね。僕は世の中全員が悪じゃないと思う。だけど、それを良い事に、悪事に使う人がいる。それは事実だよ。人を殺しても裁かれない。更に、冤罪を作っても権力などによって隠ぺいまでする。そんな人たちをさばける人は現実にはいない」

「だったら分かるだろう? 僕のやっていることの正当性が」


 何かを籠めるしぐさを相手はして居る。

 何しているのかは分からないが、先ほどの一撃で鉄の棒は消し飛んでいる。

 この状況を打開する最後の手段は。

 彼らのスキルの模倣。

 そしてスキルの昇華。


「わからない。でも、その間違いの被害にあった人たちが間違いを犯す事を止める事が悪になるならば。それは必要悪だと僕は思う!」


 完全再現じゃなくていい。

 形だけでもいい。

 彼を救う最後の手立て。

 意識が飛ぶ前に。

 闇に落ちる前に。

 彼だけは。

 彼を助けようと、謝ろうとしてきた親子の為にこれ以上悲しみの連鎖が広がらない様に。


「この弾丸は、女性には快感を何倍にも膨れ上がらせる。麻薬と同じものが込められている。奴隷都市せいだ。撃たれたら最後。一生抜け出せない依存が生じる」

「それが?」


 錦戸さん、アリス。

 二人の力を貸してほしい。

 彼を助けるための、道を踏み外さない為に。


「非人道的で、現実なら即死刑にもなるだろう。だが、今まで一度も使ってこなかったんだ。今回が初めてさ。君みたいに折れなくて正論をぶつけてくる人に使わないといけない」

「撃たれたら、その時はその時。でも、まだ言っているだけなら変わらない。してないも等しい。でも、その言葉だけでも批判する人はいると思う。でも、それを解かせるのも被害を出した人たちと同じ人じゃないかな」


 スキルのイメージと、感覚を模倣する。

 剣術も同じだ。

 先人の技術の模倣。

 それは何か月もかけて皆伝されるもの。

 だから僕がする事は。


「クリエイト」

「もっと早く君みたいな人に合えてたら」


 発砲音が響いた。

 だけど、銃弾が当たる事は無かった。


「なぜ、その技が?」


 彼の胸には粒子でできた短剣が刺さっている。

 血は出てないが、明らかに辛そうにしている。


「これは、僕を助けてくれた女の子が使っていた技です。そして、僕を無理やり連れて行った人が使ってた技でもあります」


 女性には女性なりの戦い方がある。


「なんで殺さない?」

「僕は殺すためにここにいるんじゃない。止めるために来た」

「声は可愛いのに」


 少しずつ近づき、彼の目の前で足を止めて膝をつく。

 既に立てなくなっていたのだ。


「僕は、いいえ、貴方には私の方が良いわね。私は貴方を殺したくない。殺す意味がないの。現実でレッテルを張られる怖さは知ってるわ。何度も何度もそれで死にたくなったから。でも、それを恨んでいたとしても何も変わらないって思う。それを止める人も恨む事だってあるわ。でも、全員が見捨てた訳じゃない。わかってくれる人もいるの。今の貴方には響かないかもしれない。でも、五日分かる時が来るわ」

「馬鹿なやつ。止めるなら、そこのUSBを外せばいい」


 彼はそう言うと倒れた。

 僕は立ち上がり、言われた物を取り外しにかかる。

 でもどう頑張っても取れない。

 なんで!?

 どうして取れない?


「取れない! どうして!」


 何度も引くが、取れる気配がない。

 そして、彼の方を向くと、黒い粒子を纏った拳銃をこちらに向けていた。


「すまない。もういいんだ」


 そして引き金を引かれたと同時に、金色の短剣が目の前を横切る。


「女なめんじゃないわよーーーーーー!!!」


 叫び声が響いた。

 そこには立っているのもやっとなアリスの姿があった。


「あんたの自己満足な主義に私たちを巻き込まないで! 今頃みんな目を覚ましているわ。本当気持ち悪いことしてくれたわね! なーにが」

 それ以上は聞いてはいけない気がする。


「なんで?」


 そして、碧い粒子が舞い彼を拘束した。


「遅れたな。すまない。由紀君はこの街の権利者になったんだろ? なら外さなくてもいい。今すぐに管理者コードを検索してみろ。どのみち彼を無力化しないと出来ない事だったがな」

「早くして。まだ半分しか同期してないわ! 完全に同期されると、もう私も戻れなくなるから!」

「う、うん」


 管理者権限を検索って?


「普通に言えばいいの! 早く!」

「管理者権限を検索!」

【何を検索しますか】

「システムの消去」

【現在のシステムを消去する事は不可能です。ですが、新しく接続されている物を放棄する事が可能です。実行しますか?】

「はい!」

【システムの実行。バックアップと同期。現在の新しく接続された物を放棄。人格データーに与える影響の範囲を再構築します】


 すると先ほどまであった疼きや痛みがなくなっていくのが分かる。

 アリスもなんか落ち着いたような感じを受けた。


いかがだったでしょうか?

前書きに書いた様に、ドロドロした内容だったかと思います。

特定の方には本当に申し訳ないと感じてますが、それでも書かないといけないと思ったんです。

世の中、性別に関する感覚と言うのは人それぞれです。それを武器として使う人もいれば、性別その物を道具としか見ない人もいます。

この感覚は、現実でも結構目にしており、武器として扱う人は批判され、道具として使う人は優遇されているかと感じてます。

道具はいけない、モノとして扱っている、と言い批判が実際にある! と言う人もいます。確かに道具として見ている人は批判されます。その人にも考えがありますし、自分の持てるものを使ってやっている人です。それを道具として見て批判されてしまってます。

私は、今回ので性別という物を悪い事に利用しているのはどんな人なのか? と表現してみたかったんです。

初めにも書きましたが、後半の話は本当に批判されるようなものだと思います。でも、本当に向き合っている人は意外にまっとうに頑張っている、認めてあげないといけないと感じました。


人の世の中では、簡単に人の、他人の人生を狂わせても平気な人がいます。

ですが、そんなのは当たり前じゃないんです。どんなものでも、当事者とそれに類する人が助ける事によって報われることもあるんです。

それを、知ってほしいと思いました。

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